相続対策の基礎知識(3)~納税資金対策編~|現金一括納付が基本【不動産オーナー向け】

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公開日:2020年6月8日
更新日:2020年6月15日
相続対策の基礎知識(3)~納税資金対策編~|現金一括納付が基本【不動産オーナー向け】1

相続税は現金一括納付が基本。納税額を試算し、資金の準備をしておくことが欠かせない。ここでは、相続税納税の仕組みと資金準備の方法を解説。「生命保険」を活用した資金づくりの仕組みについても紹介する。(監修協力:フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)

現金一括納付が原則。延納・物納は超レアケース

相続税は現金一括払いが原則で、各相続人がもらった財産の額に応じて支払うことになる。相続税の納税期限までに納付できない場合は、延滞税がかかってしまう。

現金で支払えない場合は、「延納」や「物納」という方法もある。延納は、金銭納付ができない理由がある場合に一定の担保を提供することで、原則として5年、財産に占める不動産の割合が高い場合は最長20年の分割納付が認められる。相続税の申告件数に占める延納の割合は1%程度と少ない。

そして延納もできない場合に現物で納付するのが「物納」だ。しかし、適用条件が厳しくなっているため、許可されるケースは年間100件に満たない。延納も物納も、現実的には難しいと考えて対策を立てておくべきだろう。

納税資金の準備はどうしたらいい?

分割対策では、相続人が納税できるように分けることが望ましいが、現時点で十分な支払い原資を確保できていない場合は、相続発生まで準備が必要である。

納税資金を作る方法には、次のようなアプローチがある。

1:売却しやすい不動産の確保
駐車場など、売却しやすい不動産がある場合は納税資金用に確保しておく。相続開始までは不動産のまま所有していたほうが、先に現金化するよりも評価額は低い。

2:所有物件の収益性をアップ
所有賃貸物件の入居率や収益性を高めて、現金を蓄えておく。単に貯めると、相続財産が増えてしまうため、生前贈与や、相続人を資産管理法人の役員にして報酬を支払う、などの対策も併せて行う。

3:生命保険に加入しておく
生命保険金を活用する。保険契約では「契約者」「被保険者」「受取人」の三者を設定するが、その設定によって、保険金にかかる税金の種類が変わる。

生命保険の非課税枠とは?

生命保険を活用した納税資金づくりとして、代表的な方法は2つある。大家イチロウさんファミリーを例に紹介しよう。

相続対策の基礎知識(3)~納税資金対策編~|現金一括納付が基本【不動産オーナー向け】2
1:相続税タイプ

この場合の生命保険金は、本来の相続財産ではないが、被相続人(例:大家イチロウさん)が契約者の場合は「みなし相続財産」として相続税の計算に含めることになっている。多くの場合、納税資金として活用される手法である。

その際、法定相続人一人当たり500万円の非課税枠があるため、法定相続人が4人なら2000万円まで相続税はかからない。

相続対策の基礎知識(3)~納税資金対策編~|現金一括納付が基本【不動産オーナー向け】2
2:所得税タイプ

保険金は、相続人=契約者(例:長男タカシ)の一時所得となり所得税が課税される。一時所得の課税対象は、保険金から必要経費を引いた金額の半分なので、低い税額で済む。相続税タイプと所得税タイプは納税額と目的によって使い分ける。

Case study:生命保険を活用した納税資金準備

支払い期間別おすすめの保険のタイプ

長期的(10 年以上)に払う|平準払い(月払いや年払い)の終身保険

被保険者となる相続人の年齢が比較的若い場合や健康状態に問題なければ、平準払いがおすすめ。都度の保険料負担が少なく、保険の貯蓄性を活かした準備が可能。

短期(一時払い)に払う|一時払いの終身保険

被相続人が高齢で、健康状態に不安がある場合などは、一時払い保険を活用する。現金を保険に変えることで、納税対策ができる。

(協力:七福計画株式会社)

これらの手法を組み合わせて、相続税の支払い原資がショートしないように対策を考えておこう。

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※この記事内のデータ、数値などは2020年5月25日時点の情報です。
文責/木村 元紀 イラスト/アサミナオ

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