約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術

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公開日:2026年7月14日
更新日:2026年7月14日
約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術1

「汚部屋・ゴミ屋敷化」は、賃貸住宅における一部の特殊なトラブルではなく、安定した賃貸経営を左右する管理課題になりつつあります。ブルークリーン株式会社が賃貸物件を所有・管理する400人を対象に実施した調査では、35.5%が汚部屋・ゴミ屋敷化した部屋への対応を経験し、その約6割が直近1年間にも発生したと回答しました。悪臭や近隣クレーム、高額な原状回復費など、建物全体の資産価値や収益性へ及ぶ影響は決して小さくありません。今回はこの調査結果をもとに、汚部屋問題の実態と賃貸オーナーが備えるべき管理のポイントを考察します。

汚部屋問題は賃貸経営の身近なリスク

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

ブルークリーン株式会社が実施した調査では、賃貸物件を所有・管理する400人のうち35.5%が、これまでに汚部屋・ゴミ屋敷化した部屋へ対応した経験があると回答しました。およそ3人に1人が経験している計算となり、決して珍しいトラブルではないことが分かります。

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

さらに、経験者のうち約6割は「直近1年間にも発生した」と回答しており、一度限りの出来事ではなく、継続的に起こり得る管理課題であることも明らかになりました。また、管理戸数が多いほど遭遇率が高い傾向も見られることから、物件数の増加とともにリスクも高まると考えられます。

賃貸経営では空室対策や設備更新に目が向きがちですが、建物の収益性を維持するためには、こうした生活環境の悪化を早期に把握し、深刻化を防ぐ管理体制を整えることも同じくらい重要です。汚部屋問題は、今や日常的な管理業務の延長線上で考えるべき経営リスクといえるでしょう。

室内だけでは済まない二次被害

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

調査では、汚部屋・ゴミ屋敷と判断する基準として「ゴミ袋の放置」が69.25%で最も多く、「悪臭」(59.5%)、「床が見えない状態」(53.5%)、「ベランダへの大量放置」(50.25%)、「害虫の発生」(47.25%)と続きました。

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

また、実際に発生したトラブルでは、「近隣クレーム」が47.18%で最多となり、「悪臭」が45.07%、「家賃滞納」「残置物問題」「原状回復費の増加」がそれぞれ32.39%という結果でした。

つまり、オーナーや管理会社が問題視しているのは、部屋が散らかっていること自体ではなく、周囲の住環境や建物全体に影響が及ぶ状態です。一室の問題でも建物全体の評判を損ねれば、既存入居者の満足度低下や退去、新規募集への悪影響につながる可能性もあります。汚部屋問題を「入居者個人の問題」と切り離して考えるのではなく、資産価値や収益性に関わる経営課題として捉える視点が欠かせません。

原状回復費は想定より高額になることも

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

汚部屋・ゴミ屋敷化によって通常の原状回復工事以外に発生した追加費用は、「10万~30万円未満」が33.1%で最も多く、「30万~50万円未満」が21.13%、「50万~100万円未満」が14.08%と続きました。さらに、「100万円以上」と回答した人も8.45%に上っています。

一方で、「追加費用は発生しなかった」とする回答は4.93%にとどまり、多くのケースで通常退去を超える費用負担が生じている実態がうかがえます。

悪臭や害虫、大量の残置物などがある場合には、通常のハウスクリーニングだけでは対応できず、特殊清掃や消臭・除菌、場合によっては内装材の撤去・交換工事が必要になることもあります。退去後に初めて対応を検討するのではなく、保証内容や保険の補償範囲の確認、専門業者との連携体制を事前に整えておくことが、突発的な支出を抑え、安定した賃貸経営につながるでしょう。

「高齢者だから」では見抜けない。入居者の変化に気づく視点

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

調査では、「汚部屋・ゴミ屋敷化しやすいと感じる属性」として、「高齢単身者」が47.75%で最も多く、「精神的不調を抱えている方」が33.75%、「男性単身者」が24.75%、「若年単身者」が22.5%と続きました。一方で、「特に傾向はない」と回答した人も18.25%存在しています。

この結果は、オーナーや管理者が日頃の管理業務を通じて抱いている印象を示したものであり、特定の属性ほど汚部屋化しやすいことを示すものではありません。賃貸経営で重要なのは、年齢や家族構成といった属性だけで判断するのではなく、日常生活の変化に目を向けることです。

たとえば、郵便物が長期間たまっている、ゴミ出しの状況が急に変わった、共用部で姿を見かけなくなったといった変化は、生活環境の悪化や何らかの困りごとのサインである可能性があります。管理会社や保証会社、地域の見守りサービスなどと連携し、小さな異変を早い段階で把握する仕組みを整えることが、深刻なトラブルの予防につながるでしょう。

4人に1人が「対策なし」。今すぐ始められる巡回・情報共有

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

現在実施している汚部屋・ゴミ屋敷対策では、「定期巡回」が32.25%、「管理会社との情報共有」が31.25%で上位を占めました。一方、「特に対策していない」と回答した人も25.5%に上り、必要性を感じながらも具体的な対応に踏み切れていないオーナーが少なくないこともうかがえます。

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

また、今後必要な対策としては、「管理会社の巡回・管理体制強化」が38.25%で最も多く、「定期訪問・安否確認」が30.0%、「見守りサービス・センサー」が24.5%と続きました。

こうした結果からは、トラブルが発生してから対応する「事後対応型」ではなく、異変を早期に把握して深刻化を防ぐ「予防型管理」への期待が高まっていることが分かります。もっとも、専有部への立ち入りには法的な制約もあるため、オーナーだけで対応することには限界があります。管理会社や保証会社、地域の支援機関などと役割を分担し、日頃から情報を共有できる体制を築くことが、効果的なリスク管理といえるでしょう。

資産価値を守る鍵は早期発見と連携体制

約3人に1人が直面。「汚部屋リスク」から賃貸経営を守る管理術2

出典元の調査データ:「賃貸物件の汚部屋・ゴミ屋敷に関するアンケート」 ブルークリーン株式会社

今回の調査では、汚部屋・ゴミ屋敷化によって発生したトラブルとして、「音信不通」が17.61%、「孤独死」が14.79%という回答も見られました。

また、ブルークリーン株式会社が以前実施した調査では、賃貸オーナー・管理者の22.64%が管理物件で入居者の孤独死を経験したと回答しています。

これらの結果だけで、汚部屋化と孤独死との間に直接的な因果関係があると結論付けることはできません。しかし、室内環境の悪化が、生活機能の低下や社会的孤立など、複数の問題と重なって現れている可能性は考えられます。だからこそ、汚部屋問題を単なる片付けや清掃の問題として終わらせるのではなく、生活上の異変に気付き、必要に応じて支援機関や関係者へつなぐ視点が重要です。

入居者の安心につながる管理体制は、結果として建物の資産価値や長期的な収益性を守ることにもつながるでしょう。

まとめ

ブルークリーン株式会社が実施した今回の調査では、賃貸物件を所有・管理する人の35.5%が汚部屋・ゴミ屋敷化した部屋への対応を経験し、その約6割が直近1年間にも発生したと回答しました。さらに、悪臭や近隣クレーム、残置物問題、原状回復費の増加など、室内だけにとどまらない影響が生じている実態も明らかになっています。こうした結果から、汚部屋問題は一部の特殊なケースではなく、多くの賃貸オーナーが向き合うべき管理課題といえるでしょう。

一方で、調査では定期巡回や管理会社との情報共有、見守り体制の強化を求める声も多く、管理の考え方が「問題発生後の対応」から「問題を未然に防ぐ仕組みづくり」へ移りつつあることもうかがえます。専有部への介入には一定の制約があるものの、管理会社や保証会社、地域の支援機関などと連携し、小さな異変を見逃さない体制を整えることは十分に可能です。

賃貸住宅経営では、建物や設備を維持するだけでなく、入居者が安心して暮らせる環境を支えることも重要な管理業務の一つです。日頃の巡回や情報共有を積み重ね、異変を早期に把握して適切な対応へつなげることが、不要な修繕費や空室リスクを抑え、長期的な資産価値の維持にもつながります。これからの賃貸経営では、「見守りを含めた予防型管理」という視点が、安定した経営を支える新たなスタンダードになっていくのではないでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年7月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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