空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点

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公開日:2026年7月27日
更新日:2026年7月27日
空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点1

全国で空き家問題が深刻化するなか、相続登記の義務化や「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」の改正を背景に、空き家対策への関心は年々高まっています。一方で、「重要だと分かっていても行動に移せない」という所有者が少なくありません。株式会社カチタスが実施した「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」では、空き家対策を阻む「年代」「対話」「地域」の3つの壁が浮き彫りになりました。本記事では、調査結果をもとに、空き家対策が進まない理由と、不動産オーナーが今から備えておきたいポイントを解説します。

空き家所有者の7割が"対策の必要性"を認識、でも動けない実態

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

相続登記義務化の認知70.0%
空家特措法の認知58.0%
家族との対話72.5%

これらはいずれも過去最高となり、空き家問題への社会的な関心は着実に高まっています。

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

しかしその一方で、「今後3年以内にどのような対策を取るか分からない」と回答した人は25.5%に上り、4人に1人が具体的な行動を決められていません。

制度への理解が進む一方で、具体的な行動には結び付いていない実態が明らかになりました。

「重要だと分かっている」のに動けない理由

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

調査では、空き家対策を重要だと考える人は約7割に達しました。

しかし、実際に優先的な課題として取り組んでいる人は約5割にとどまっており、およそ2割のギャップがあります。

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

優先的に取り組まない理由として最も多かったのが、「まだ困っていない」「緊急性を感じない」という回答です(合わせて39.7%)。

空き家問題は、税負担や建物の老朽化などが表面化するまで後回しにされやすく、「今は大丈夫」という心理が行動を遅らせる要因になっていることが分かります。

60代以上に立ちはだかる「年代の壁」──"まだ使うかも"が対策を止める

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

調査では、年代によって空き家対策への姿勢にも違いが見られました。

20~30代では売却や賃貸といった具体的な対策を検討する人が多い一方、60代以上では「まだ分からない」と回答する割合が最も高くなっています。その背景には、「今後、自分や家族が使うかもしれない」という意識があるためと考えられます。

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

また、60代以上では「緊急性を感じない」と回答した人が51.1%と半数を超えており、具体的な負担が生じるまで対策を先送りする傾向が見られました。

対話の有無で"未検討率"が2倍以上に──最初の一歩は"家族との会話"

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

今回の調査で最も印象的だったのが、家族との対話の有無による違いです。

家族と空き家について話し合っている人では、今後3年以内の対策が未検討だった人は19.0%でした。一方、話し合いをしていない人では42.5%と2倍以上に増えています。

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

また、対話をしていない人ほど「動くきっかけがない」と回答する割合も高く、固定資産税の通知や相続など、何らかの出来事が起きるまで話し合いそのものが始まらない実態もうかがえます。

地域によって異なる空き家対策の課題

空き家所有者の7割が「対策は必要」と回答、それでも動けない理由とは?──賃貸オーナーが今から備えるべき3つの視点2

「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

空き家対策は、地域によっても事情が異なります。

都市部では資産価値が高いことから、相続人同士の合意形成や費用負担が課題となる傾向がありました。

一方、郊外では「家族が使うかもしれない」という理由から対策を先送りする人が多く見られます。さらに過疎地をはじめとする賃貸需要が限られる地域では、売却が主な選択肢となっており、地域ごとに求められる支援や情報提供の内容が異なることも明らかになりました。

 

賃貸か、売却か──所有者が求めているのは"手離れの良さ"

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「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

今後3年以内に予定している空き家対策では、「売却」が32.8%で最も多い結果となりました

また、売却先として買取会社を検討する人も年々増えており、その検討率は42.8%(2021年比約2.6倍)まで上昇し、仲介会社(46.2%)との差は3.4ポイントまで縮まっています。「残置物を処分してくれる」「現況のまま売却できる」「短期間で売却できる」といった手間を軽減できるサービスへの関心が高まっています。

空き家対策では、単に高く売ることだけでなく、管理や手続きの負担を減らせるかどうかも重要な判断材料になりつつあるようです。

自治体の空き家対策、認知は半数超も"解決"には遠く

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「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」 株式会社カチタス

自治体が実施する空き家対策については、認知率が56.2%となり半数を超えました。しかし、実際に制度を利用したことがある人は23.6%にとどまっています。

また、相談のしやすさへの満足度は比較的高いものの、「解決につながった」と感じる人は多くありませんでした。なお、「利用したことがある」「利用はないが検討したことはある」を合わせた潜在的な関心層は約6割に上り、行動促進の余地は大きいといえます。

制度を知っているだけでは十分とは言えず、相談から売却や活用までを切れ目なく支援する体制づくりが今後の課題と言えるでしょう。

空き家対策は「出口」まで考えることが重要

今回の調査では、「年代」「対話」「地域」という3つの壁が、空き家対策を妨げる大きな要因となっていることが分かりました。

一方で、空き家対策を進めている人に共通していたのは、家族との対話を早い段階で行い、将来の活用や売却まで含めて具体的に検討していることです。

不動産オーナーにとって空き家は、時間が経過するほど維持費や管理負担が増え、資産価値の低下にもつながる可能性があります。

「まだ使うかもしれない」と考えている段階から家族で話し合い、活用・賃貸・売却など複数の選択肢を整理しておくことが、将来的な負担を軽減し、資産価値を維持する第一歩になるのではないでしょうか。

賃貸経営をしているオーナーであれば、保有する空き家について「貸すのか」「売るのか」「持ち続けるのか」を期限を区切って検討できているかどうかが、今後の資産価値を左右するポイントになりそうです。

まとめ

株式会社カチタスが実施した「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」では、空き家問題への関心は年々高まっている一方で、具体的な対策へ踏み出せない所有者が依然として多いことが明らかになりました。その背景には、「まだ困っていない」「家族が使うかもしれない」といった心理や、家族との対話不足、地域ごとの事情など、複数の要因が複雑に絡み合っています。

調査では、家族と話し合いを行っている人ほど具体的な対策を検討している割合が高く、空き家対策の第一歩は「対話」であることも示されました。また、都市部と郊外・過疎地では抱える課題や選択肢が異なり、一律の対応ではなく、それぞれの状況に応じた判断が求められることもうかがえます。

賃貸オーナーや不動産所有者にとって、空き家は放置するほど管理負担や維持費、資産価値の低下といったリスクが高まります。だからこそ、「まだ先の話」と考えるのではなく、早い段階から家族と将来について話し合い、活用・賃貸・売却といった複数の選択肢を整理しておくことが重要です。今回の調査結果は、空き家問題を「いつかの課題」ではなく、「今から備えるべき経営課題」として捉え直すきっかけになる内容と言えるでしょう。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年5月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

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