「居住支援法人」の 役割とは?|高齢者入居のいろは
今回は、高齢者の部屋探しや生活を支える「居住支援法人」について解説します。法改正を受け、サポート範囲も広がりました。高齢入居者を受け入れるために、制度を知り、連携できるように備えましょう。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 安心居住委員
株式会社ハウスメイトマネジメント
伊部 尚子さん
高齢入居者の事情に詳しい管理のプロフェッショナル。「高齢者が安心して住める賃貸社会」の実現に向け、業界で先駆けて入居促進に取り組む。
住まいの確保が難しい方と賃貸住宅をつなぐ「地域の相談役」 受け入れは面談を行って判断を
高齢者のほか、障がい者やひとり親家庭など、住宅の確保に支援が必要な方(住宅確保要配慮者)を支える制度として「居住支援法人」があります。賃貸住宅への円滑な入居をサポートする、都道府県が指定した法人です。要配慮者から相談が行政窓口に寄せられると、居住支援法人が本人への聞き取りを行い、希望条件や生活状況を整理します。そのうえで、入居が可能な物件を探し、不動産会社との調整や内見の同行などを行いながら、入居からその後までを丁寧に支援しています。オーナー様側からしても、貸し出す際の心強い支えになります。
近年、居住支援法人は、住まい探しに不安を抱える方とオーナー様や管理会社をつなぐ橋渡し役として、管理の現場でも欠かせない存在になりつつあると感じています。ただし、支援の対象者や内容は法人によって異なります。まずは「地域にどのような居住支援法人があるのか」を知っておくことが大切です。
見守りや残置物処理業務まで総合的な支援に期待が高まる
居住支援法人の役割は、入居中の定期的な安否確認や日常生活の困りごとの相談、福祉サービスへのつなぎに加え、2025年の住宅セーフティーネット制度の改正を受け、死亡後の残置物処理業務まで総合的な支えに広がっています。オーナー様や管理会社だけでは気づきにくい小さな変化も、第三者が関わることで早めに拾い上げられる可能性があります。
こうした取り組みは、結果的に大きなトラブルを未然に防ぐことにつながり、オーナー様にとっても安心材料になります。ただし、改正後の支援体制については、まだ始まったばかりの段階です。今後、地域ごとに試行錯誤を重ねながら、少しずつ形になっていくものだと思っています。
制度を知り、地域を知り、連携できるように備える
まずは居住支援法人という制度を知り、さらに地域にはどんな法人があり、どこまで支援を行っているのかを把握しておきましょう。それだけでも、いざというときに連携を取ることができて安心です。居住支援法人は、超高齢社会に突入した我が国において、住まいに関する「身近な相談相手」になる存在です。今後オーナー様が居住支援法人と関わる場面は確実に増えていきます。制度を理解し、管理会社や地域の支援機関とゆるやかにつながっておくことで、無理なく高齢入居者を見守ることができます。すべてを一人で抱え込む必要はありません。地域の支援の仕組みを知ることが、これからの賃貸経営に向けた一歩となります。
高齢入居者への対応は、今後日常的なものになっていきます。しかし、家賃滞納や大きなトラブルは決して多くはなく、福祉サービスにつなぐ流れを把握していれば、過度な負担はありません。私たちは高齢入居者を「対応が難しい存在」ではなく、むしろ安定経営を支える優良な入居者として捉えています
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年7月1日時点のものです。
取材・文/ 藤谷 スミカ
ライタープロフィール
藤谷 スミカ(ふじたに・すみか)
同志社大学文学部英文学科卒。広告制作プロダクション、情報誌出版社を経て、フリーランスのコピーライターとして30余年。ハウスメーカーの実例取材記事、注文住宅、リフォーム、土地活用に関する情報誌の記事、企業PR誌の著名人インタビュー記事、対談記事、企業単行本の執筆等を手がける。

















