蛍光灯だけじゃない。10年以上使う照明器具に潜む「経年劣化」リスク

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公開日:2026年8月26日
更新日:2026年8月26日
蛍光灯だけじゃない。10年以上使う照明器具に潜む「経年劣化」リスク1

一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入が2027年末までに段階的に禁止されることを受け、賃貸住宅でもLED照明への切り替えを検討する必要性が高まっています。しかし、照明の見直しで注意したいのは、蛍光灯の供給問題だけではありません。今回のパナソニックによるご紹介する調査の対象は「実家から離れて暮らす人」ですが、照明器具を長期間使い続ける実態は、賃貸住宅でも無関係とは言えません。

10年以上使用の蛍光灯器具が半数超。30年以上も15.4%

蛍光灯だけじゃない。10年以上使う照明器具に潜む「経年劣化」リスク2

今回の調査でまず注目したいのが、照明器具の使用年数です。
まだLEDに交換していない人を対象に蛍光灯器具の使用期間を聞いたところ、「10年以上」が54.7%と半数を超えました。さらに「30年以上」使用している人も15.4%に上っています。

照明器具は、ランプが切れた際にランプだけを交換すれば使い続けられるため、「点灯している間は問題ない」と考えられがちです。しかし、長期間使用した照明器具では、内部の部品や配線などにも経年劣化が進む可能性があります。つまり、ランプを交換するだけでは、照明器具そのものの老朽化への対策にはなりません。

これは賃貸住宅においても重要なポイントです。築年数の経過した物件では、入居者が使う住戸内だけでなく、廊下や階段、エントランスなどの共用部にも、設置から長期間が経過した照明器具が残っている可能性があるのです。

「蛍光灯が切れたら交換」では器具の劣化を見逃す

蛍光灯だけじゃない。10年以上使う照明器具に潜む「経年劣化」リスク2

賃貸物件の照明管理では、これまで「ランプが切れたら交換する」という対応が一般的でした。

もちろんランプ交換は必要ですが、それだけでは照明設備全体の老朽化を把握できません。とくに蛍光灯器具には、ランプを点灯させるための安定器などの部品が使われています。長期間使用すれば、こうした内部部品も劣化することは十分考えられます。

そのため、蛍光灯の製造・輸出入が終了することを単純に「交換用ランプが手に入りにくくなる問題」と捉えるのではなく、古い照明器具を一度に見直す機会と考えることが重要です。

たとえば、共用廊下の蛍光灯が切れるたびにランプだけを交換している物件なら、器具の設置年数や状態を確認してみる。設置から長期間が経過している場合には、ランプ交換ではなく器具ごとのLED化を検討する、といった判断が求められます。

LEDに替えれば安心、とは限らない

蛍光灯だけじゃない。10年以上使う照明器具に潜む「経年劣化」リスク2

一方で、今回の調査では「LED化しているから問題ない」とも言い切れない実態が明らかになりました。

すでにLED照明へ交換している人に使用年数を聞いたところ、5~9年が38.2%と最も多く、10年以上使用している人も17.2%存在しました。

LEDは蛍光灯に比べて長寿命というイメージがありますが、照明器具には寿命があります。そのため、賃貸住宅でも「LEDに交換したから、その後は半永久的に使える」と考えるのではなく、設置時期を記録し、一定期間が経過した照明については状態を確認することが大切です。とくに築年数の古い物件では、照明器具の交換履歴が分からなくなっているケースも想定されます。

オーナーが物件ごとの設備状況を把握できていないのであれば、蛍光灯2027年問題をきっかけに、一度確認しておく価値があります。

賃貸オーナーが確認したい「3つの照明リスク」

では、賃貸住宅では具体的に何を確認すればよいのでしょうか。

①蛍光灯を使用している場所
まず確認したいのが、現在も蛍光灯を使用している場所です。
住戸内のキッチンや洗面所、廊下、和室などに加え、共用廊下や階段、エントランス、駐輪場などにも蛍光灯が残っている可能性があります。物件ごとに使用している照明の種類や数量を一覧化しておけば、LED化の優先順位も付けやすくなります。

②照明器具の設置年数
次に確認したいのが、照明器具そのものの使用年数です。
ランプ交換の履歴だけでなく、器具をいつ設置したのかを確認することがポイントです。設置時期が分からない場合は、管理会社や過去の修繕記録を確認してみるとよいでしょう。

③LED化した照明の使用年数
すでにLED化している物件も、もう一歩踏み込んだ確認をしておくべきです。LED照明も長期間使用すれば、器具の劣化や故障が発生する可能性があります。「蛍光灯かLEDか」という種類だけではなく、「いつ設置した照明なのか」まで管理することが、今後の設備管理では重要になってきます。

共用部は「故障してから」ではなく計画的に更新

蛍光灯だけじゃない。10年以上使う照明器具に潜む「経年劣化」リスク2

とくに優先して見直したいのが、賃貸住宅の共用部です。

共用廊下や階段、エントランスなどの照明は、入居者が日常的に利用する設備です。照明が切れたままになれば、安全面や物件の印象にも影響します。

さらに、共用部では同じタイプの照明器具が複数設置されているケースが多いため、一つが故障したときに「その都度交換する」という対応を続けるより、一定の範囲をまとめて更新したほうが管理しやすいケースもあります。

たとえば、築年数が古く、共用部に蛍光灯器具が多数残っている物件なら、

「蛍光灯が切れるたびに交換」
「器具の設置年数を確認」
「一定年数を超えた器具をまとめてLED化」

という流れで、計画的な更新を検討する方法があります。

LED化によって消費電力を抑えられるほか、ランプ交換の頻度を減らせるため、長期的には管理の手間やコストの削減にもつながります。

退去時は住戸内の照明を見直すチャンス

住戸内の照明については、入居中に工事を行うより、退去後の原状回復や設備更新のタイミングを活用する方法があります。

たとえば、長期間使用している蛍光灯器具が設置されている住戸で退去が発生した場合、単純にランプだけ交換して次の入居者へ引き渡すのではなく、器具そのものの更新も検討したいところです。

交換費用はランプ単体よりは多めに発生しますが、次の入居期間中にランプ交換が必要になる可能性を減らせるほか、蛍光灯の供給問題への備えにもなります。

また、LED照明は製品によって調光・調色機能などを備えているものもあり、設備更新を単なる「故障対応」ではなく、住戸の快適性を高める機会として活用することもできます。

ただし、すべての住戸を一度にLED化する必要があるとは限りません。築年数、入居状況、照明器具の状態、修繕計画などを踏まえ、退去時や設備交換のタイミングに合わせて段階的に更新するほうが、賃貸経営上の負担を抑えやすいでしょう。

まとめ:「蛍光灯2027年問題」を設備更新のきっかけに

蛍光灯の製造・輸出入終了が近づくなか、賃貸オーナーが考えるべきなのは「蛍光灯がいつ買えなくなるか」だけではありません。

今回の調査が示したように、照明器具そのものを10年以上、場合によっては30年以上使い続けているケースがあります。さらに、LEDへ交換した後も10年以上使用している人が17.2%存在します。

つまり重要なのは、蛍光灯からLEDへ交換することだけではなく、照明設備そのものを計画的に管理することです。

まずは物件内の照明について、「蛍光灯かLEDか」「設置から何年経過しているか」「どの場所に何台あるか」を把握する。そのうえで、共用部はまとめて更新する、住戸内は退去時に交換するなど、物件の状況に応じて優先順位を付けていくとよいでしょう。

蛍光灯2027年問題は、賃貸オーナーにとって単なる「ランプの入手問題」ではありません。照明設備の寿命と更新時期を見直し、これからの賃貸経営に合った設備管理へ移行するタイミングと捉えることが大切です。

※この記事内のデータ、数値などに関する2026年8月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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