「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!

リフォーム/塗装
住宅設備
管理/空室対策
公開日:2021年3月4日
更新日:2021年3月15日
「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!1

「築20年も超えたし、建物があと何年もつかな」と悩むオーナーは多いのではないでしょうか?実は、きちんと対応していけば、長く収益を生み続けられるのが今の賃貸住宅。ずっと入居者に選ばれる“生涯現役”物件への道、攻守一体の対策を伝授します!

お話しを伺った方
「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

【取材協力・監修】 株式会社市萬 下田晃大 氏

東京都新宿区出身、早稲田大学商学部卒業。石膏ボードメーカーに10 年勤務、二級建築士資格を取得後、現職へ。築古物件の課題分析・満室化・改修提案の実績多数。

建物の長寿命化が進み、ストック活用の時代に

「建て替えるよりも修繕しながら建物を長持ちさせた方が、収益は多くなるという認識が、もう10年もすると一般的になるでしょう。今はまだ、古くなって競争力が落ちたら、壊して新築するスクラップ&ビルドの方が稼げるという考え方が少なくありません」(下田氏。以下同)

多くのオーナーは「建物があと何年ぐらいもつのか」という見通しを持っていません。「法定耐用年数が過ぎたら建て替え時期になるので、なるべく出費を抑えたい」と考えるオーナーも少なくないのが現状です。

この法定耐用年数は、あくまでも税務上の減価償却費を計算するために規定された期間。住宅の場合、RC(鉄筋コンクリート)造なら47年、鉄骨は27年、木造は22年だが、実際の建物の寿命とは一致しません。

建物の性能が向上してきたこともあり、適切な維持管理と修繕を怠らなければ、長寿命を実現できます。元気で働けるうちに、形式的な定年で仕事をやめる必要はありません。人も建物も“生涯現役”を目指したいところです。

建物の寿命は60~100年?長期の稼働で収益アップを実現

では、具体的に何年ぐらいまで収益物件として成立するのでしょうか。

「RC造なら100年、鉄骨や木造でも60年は活用できると考えられます。建築や改修の技術向上に加え、入居者の築浅重視の傾向が弱くなり、機能や設備・デザインなどが良ければ建物自体の築年数にこだわらない、という背景があるためです。あくまでも一例ですが、建て替えるより活用し続けた方が、収益が多いという弊社の試算もあります(次ページ図1参照)」

つまり、建物自体の長寿化と、ユーザーの意識変化があいまって、賃貸住宅として収益化できる期間が一気に伸びたというわけです。

万一手放すことになっても、収益を生み続けられる建物は高めの価格査定が期待できるため、売却時にも有利になります。もちろん、何もせずに60~100年も長持ちさせられるわけではなく、一定の手間とコストをかける必要があります。

ポイントは「攻め」と「守り」の対策をバランス良く実施すること。どちらが欠けても「長寿命化」は達成できません。次から詳しく解説します。

長期活用のためのコストはリターンを増やす投資と考える!

「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

※鉄骨造3 階建て、延べ150 坪の建物の場合 ※1 各数値は市萬の過去管理事例をもとに算出 ※2 給排水の更新等の工事を含む ※3 2 回目の大規模修繕におおよその維持修繕費用が含まれるため5%で算出

建物の長期活用が収支を増やすといっても、半信半疑なオーナーもいるかもしれません。左の図は「ストック活用型」と「スクラップ&ビルド型」の収入と出費を比較した試算例ですが、生涯収支を見ると、AがBより1億4000万円、約1・3倍も税引前の収支が多くなっています。

また、築30年以上の賃貸住宅で、改修後に賃料アップや入居率改善につながる施工例も珍しくありません。

つまり、建物を長期活用する対策を単なるキャッシュアウトと見るのではなく、リターンを得るための先行投資と考えるべきでしょう。

「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

先述した「攻め」と「守り」の関係を示したのが左の図です。経年劣化していく賃貸住宅としての基本性能を竣工時の状態に戻すのが「修繕」で、マイナスを抑える「守り」の対策といえます。

一方、時代の変化とともに、入居者が住まいに求めるレベルは高まるため、守備固めだけでは入居者から選ばれるとは限りません。そのためニーズの変化に合わせて以前より性能を高める「改良」も必要です。プラス面を強化するという意味で「攻め」の対策といえます。

建物本体や設備に手を加えるハード面が対象の「改良/修繕」には管理などの対策も含まれます。いずれが欠けても長期活用は難しくなります。「攻め」と「守り」は表裏一体、車の両輪なのです。

~攻めの対策~築年数が経っても入居者を惹き付ける方法

「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

改良を加えて安心・便利にプラスαのデザインも重要

新築時並みの基本性能を回復したとしても、変化する時代のニーズからかけ離れてしまえば、いくら門戸を開いて入居者を待っていても部屋は埋まりません。周囲の競合物件が多ければ、なおさら空室リスクは高まります。

安定した収益につなげるには、競争に勝って積極的に入居者を獲得するための攻めのアプローチが不可欠です。第一に、共用部分の「改良」が挙げられます。入居者を惹き付けるには効果的なポイントです。

「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

例えば、エントランス周り。集合ポストを従来の定型郵便物が入る程度のものから、ネット通販の雑誌や小物も入る大型タイプに換えたり、宅配ボックスを設置したりするのも効果的です。

「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

また、入居検討者の第一印象をアップするデザイン性の強化として塗装の色や外構の見直しも考えてみましょう。門扉やアプローチをライトアップし、花壇や植栽スペースを設けると高級感を演出できます。

「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

あるいは、ゴミ置き場をネットで覆う開放型からゴミ集積庫に換えるのも評価を上げるポイントのひとつ。防犯カメラの設置でセキュリティ対策を強化するのも集客効果があります。

「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

その他にも、やや大掛かりにはなりますが、コロナ禍で加速した在宅ワークの環境改善につながる、室内の断熱性・遮音性、インターネット環境などの向上も改良に含まれるでしょう。

入居者を引き寄せるためにできる対策を他にも紹介!

コロナ禍で生活様式や行動意識が変わったことにより、新たな変化が生まれた入居者ニーズ別に今後の空室対策でおさえておきたい商品をピックアップしています。

築古の弱点をカバーして物件を魅力的に見せる方法や、コストを抑えた付加価値アップの方法を紹介しています。

エントランス、共用部の印象を良くするために必要なポイントを紹介しています。

~守りの対策~築古物件の価値を下げずに収益を生み続けるための方法

「攻め」と「守り」の対策で築古になっても入居者に選ばれ続ける収益物件に!2

ハード面の修繕を支える維持管理のサービス

守りの対策の第一は、適切な「修繕」です。明らかに建物が損傷を受けたり、設備が壊れたりすれば、入居者のクレームにつながる前に、すぐに補修や修理を行うことでしょう。

厄介なのは、表面的には大きな変化がなく、時間とともに徐々に性能が落ちていく経年劣化です。外観の多少の汚れ、ヘアクラックや塗装の小さな剥がれ程度なら、見過ごしてしまうことも多くあります。

しかし、長期間にわたって放置すれば、雨漏りや設備故障などを招くだけでなく、構造躯体の腐食など、建物に致命的なダメージを与えてしまいます。

これを防ぐのが、建物の重要な部位や共用設備の大規模な修繕工事。数年から数10年単位に一定期間で行うため、「計画修繕」と言われます。目的は、資産価値の保持に加えて、入居者が安全で快適に暮らせるように住まいとしての基本性能を維持すること。入居者満足度と収益のアップにもつながります。

修繕は、悪化する前に予防的に対処したほうが、建物設備へのダメージが少なくなり、コストも抑えられます。そのために重要なのが、日常的な維持管理です。例えば清掃は美観・清潔感を保つのが主目的ですが、劣化を防ぐ役割もあります。

「放置しているゴミについたサビが建物に移る“もらいサビ”や、水漏れの原因となる雨どいや排水溝の目詰まりなどは、侮れません。きちんと清掃すれば、余計なトラブルを防げるわけです」

建物自体の小さな損傷、設備の不具合など、悪い部分がないかをチェックする定期点検も大切。こうした清掃や点検は、適切な修繕を支える必須のサービスです。

積立ができていなければ金融機関に資金の相談を

大規模な修繕の費用は1回あたり数百~数千万円、建物の構造や規模によっては億単位に及びます。本来は少しずつ積み立ててきたいところです。日管協「長期修繕計画案作成マニュアル」によれば、積立金の目安は間取りが1K~1DKの場合、1戸当たり月額4400~5500円。間を取って5000円と仮定すると、家賃が6万円の場合なら、約8・3%に相当します。

「最近は大規模修繕向けの融資に対応する金融機関も増えています。資金が足りなければ取引のある金融機関に相談してみましょう」

また、一括施工ではなく、部位ごとに分けて継続的に修繕する「分割施工方式」という選択肢も。初期費用以外は毎月定額の支払いなので月々の家賃収入から捻出でき、経費算入もできる仕組みで、利用者が増えつつあります。修繕費用の積み立てができていない場合はこちらも検討してみましょう。

今後は、修繕の有無は売却時にも大きな意義を持つようになります。
「売買契約に先立つ重要事項説明に、建物修繕の実施状況を入れる必要が出てくるからです。履歴を残しておかないと、売却価格が低く査定されるかもしれません」

部位ごとの修繕周期やコストの目安をわかっていれば慌てずに済みます。修繕にあたっての注意点を含めて、以下に記載のリンク先で具体的に解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

同じシリーズの記事を読む

※この記事内のデータ、数値などは2021年2月16日時点の情報です。文/木村 元紀 イラスト/アサミナオ

この記事をシェアする

関連する企業レポート

関連するセミナー・イベント

関連する記事