高齢者、外国籍、LGBTQなど「住宅弱者」の住まい探しの現状は?LIFULL HOME’S調査データから解説

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公開日:2022年11月16日
更新日:2022年11月16日
高齢者、外国籍、LGBTQなど「住宅弱者」の住まい探しの現状は?LIFULL HOME’S調査データから解説1

(株)LIFULLが運営する不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」が、高齢者、外国籍、LGBTQ、生活保護利用者、シングルマザー・ファザー、被災者、障害者といった「住宅弱者」と呼ばれる方々の住まい探しについて調査しました。データを基に、「住宅弱者」の方の現状について紹介します。

※同調査における「住宅弱者」の定義
【住宅弱者】
・高齢者:65歳以上 かつ 同居家族なし
・日本在住外国人:居住年数5年以内 かつ 日本国籍を有していない人
・LGBT:自分が「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシャル」「トランスジェンダー」のどれかと自覚している人
・生活困窮層:個人年収200万以下かつ同居家族なしの人 または 生活保護を受給している人
・シングルマザー・ファザー:児童(満20歳未満、未婚の子供)を単身で養育する母、または、児童を単身で養育する父
・被災者:地震や台風などの自然災害にあったことのある方
・障害者:身体障害、知的障害、精神障害を持つ方

※「障がい者」の表記について(同調査より抜粋)
当事者の方からのヒアリングを行う中で、「自身が持つ障害により社会参加の制限等を受けているので、『障がい者』とにごすのでなく、『障害者』と表記してほしい」という要望をいただきました。当事者の方々の思いに寄り添うとともに、当事者の方の社会参加を阻む様々な障害に真摯に向き合い、解決していくことを目指して、「 」サイトの検索カテゴリー、および接客チェックリストでは「障害者」という表記を使用いたします。

住宅弱者の半数以上が物件探しから契約まで1ヶ月以上かかる

高齢者、外国籍、LGBTQなど「住宅弱者」の住まい探しの現状は?LIFULL HOME’S調査データから解説2

直近2年以内に国内での賃貸契約を行った1,534名(うち住宅弱者 1,322名)に「賃貸物件探しを開始してから契約までかかった期間」を尋ねたところ、「1ヶ月未満」と回答した割合は一般層で61.3%なのに対し 、住宅弱者層で48.3%となりました。

賃貸物件探し~契約までを1ヶ月未満で終えた住宅弱者層は半数未満にとどまっており、一般層と比べて住宅探しに時間がかかることが分かります。なかでも「1年以上」かかったシングルマザー/ファザー層が8.8%、在日外国人は7.2%と、他の住宅弱者層と比較してやや割合が高くなっています。

さらに、一人親家庭については「1ヶ月未満」と回答した割合がシングルマザーで44.0% 、シングルファザーで53.3%となっており、「1年以上」のスコアもシングルマザー9.9%、ファザー3.3%となっていることから、母子家庭の方が時間のかかっていることが分かりました。

住宅弱者の17.1%が「来店、対応を断られた」経験あり

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次に、賃貸物件を探す時、不動産会社訪問時、内見や契約手続き時、入居後の各段階で、自身のバックグラウンドを理由に不便を感じたり、困ったりした経験があったかを質問。その結果、住宅弱者層の60.4%が「不便を感じたり、困ったりした経験がある」と回答しました。

44.3%だった2019年調査時よりも16.1ポイントも増えており、新型コロナウイルスなどの社会変化を経て、住まい探しがより困難になっていると推察できます。

困難を感じた段階ごとに見てみると、住宅弱者層は総じて一般層より不便・困難経験のスコアが高く、特に、住まい探しの入口となる「物件を探したり情報収集したとき」と、出口である「賃貸物件に入居したあと」で一般層との差が大きくなっていました。

賃貸物件探しているときに候補物件の少なさを感じている人も多い

WEBポータルサイトで賃貸物件を探したり情報収集をしたときに、「自身のバックグラウンドを理由に、不便を感じたり、困ったりした内容」を尋ねたところ、「来店、対応を断られた」が住宅弱者層17.1%、一般層1.8%と最も乖離が激しくなりました。

次いで「自分の状況を、どこまで正直に開示すべきか迷った/わからなかった(住宅弱者層34.4%、一般層20.0% )」、 「不動産の専門用語が難しく、分からなかった(住宅弱者層24.8% 、一般層10.9%)」となっています。

また、自身のバックグラウンドが理由で候補物件が少なかったと感じる割合が、高齢者44.1%、在日外国人40.9%と4割を越え、他の住宅弱者層より高くなっています。

約3割が入居審査に不安。抵抗があり、バックグラウンドを伝えない住宅弱者も

高齢者、外国籍、LGBTQなど「住宅弱者」の住まい探しの現状は?LIFULL HOME’S調査データから解説2

不動産会社の店頭に訪れた際に「自身のバックグラウンドを理由に、不便を感じたり、困ったりした内容」については、住宅弱者層と一般層との乖離が最も大きかったのは「入居審査が通るか不安だった(住宅弱者層34.2%、一般層17.6%)」でした。入居審査に対する不安は、障害者44.8%、シングルマザー/ファザー44.1%・生活困窮層37.5%の順に高くなっています。

「プライバシーを侵害されていると感じた」も住宅弱者層15.2%、一般層3.9%と10ポイント以上の開きがありました。

また、在日外国人は、「成約手続きまで進める物件が少なかった」、「日本人の保証人が必要だった」、「『外国籍』であることを理由に差別を受けた/不平等さを感じた」すべてが30.0%で、他の住宅弱者層に比べて高くなっています。

内見や契約手続き時に個人情報の開示範囲に悩む人も

不動産会社に賃貸物件の内見や契約手続きの問い合わせをしたときに、不便を感じたり困ったりしたことで、最も住宅弱者層と一般層との乖離が大きかったのは「自分の状況を、どこまで正直に開示すべきか迷った/わからなかった(住宅弱者層31.5%、一般層14.8% )」でした。

実際に6~8割が不動産会社訪問時に自身のバックグラウンドを伝えていますが、障害者は53.7%、LGBT 層は50.9%

と半数程度にとどまりました。また、障害者の59.7%が自身のバックグラウンドを伝えることに「抵抗感があった(伝えることに抵抗を感じたものの伝えた+伝えることに抵抗を感じていたため伝えなかった)」と答えています。

他の入居者から差別を受けたと感じた外国人が3割以上

実際に賃貸物件に入居したあと(暮らし始めてから)不便を感じた内容について、住宅弱者層と一般層の差が最も大きかったのは「住宅補助など会社への書類を提出する際、ためらいがあった(住宅弱者層22.1% 、一般層12.3% )」でした。特に被災者(30.7%)、障害者(30.6%)で高い割合となっています。

また、在日外国人は「外国籍」であることを理由に、35.6%が「他入居者から差別を受けた」、28.8%が「オーナーもしくは不動産会社から退去を迫られた」と答えています。これは他のセグメントと比較しても高い割合です。

物件探しから契約まで、各段階で不便や困難な経験が多数

高齢者、外国籍、LGBTQなど「住宅弱者」の住まい探しの現状は?LIFULL HOME’S調査データから解説2

物件探しから契約までの各段階での不便や困難な経験をフリーコメントで聞いたところ、次のような経験談が挙がっていました。(抜粋)

  • 65歳以上であることから、保証金や保証会社の契約金を倍近く請求された。
  • 外国人なので手続きと種類が多くてわかりにくい。
  • ジェンダーの点を開示しないと契約できないような物件があった。
  • 生活保護者とは契約しないオーナーがいて希望物件を契約できなかった。
  • 新人営業の方に、家賃はきちんと支払えますか?と失礼なことを聞かれた。
  • 詳細を聞かれ嫌な顔をされ、それ以降は嫌々対応された。
  • 精神障害者という事で契約が破棄になったり、「精神障害者には貸せる物件が無い」と言われたことがある。

 

住宅弱者の約4割が「必要最低限の支援も受けられていない」と回答

賃貸契約の際、自身のバックグラウンドを理由に、「必要最低限の支援も受けられていないと感じる(とてもそう思う+ややそう思う)」と回答した住宅弱者は39.6%にもなっています。これは、2019年の調査から変わっていません。

セグメント別では「必要最低限の支援も受けられていないと感じる」と回答した割合は、在日外国人の割合が最も多く、半数以上の55.9%となっています。

LIFULL HOME’Sでは、「FRIENDLY DOOR」プロジェクトの一環として、障害がある方々の住まい探しをサポートするため、不動産会社が接客の際に活用できるチェックリストを提供しています。

2021年には『LGBTQ接客チェックリスト』が、2022年5月には『障害者接客チェックリスト』がリリースされました。不動産会社向けのツールですが個人でも利用できるため、住宅弱者への理解を深めるためにも、一度行ってみてはいかがでしょうか。

詳しい調査データはこちらから確認できます

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