国交省が令和5年度版を発表!「土地白書」とは?大家さんが知っておきたい地価や賃料の動向を解説

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公開日:2023年7月5日
更新日:2024年3月8日
国交省が令和5年度版を発表!「土地白書」とは?大家さんが知っておきたい地価や賃料の動向を解説1

令和5年度版の「土地白書」が2023年6月13日に閣議決定され、国土交通省のホームページに公開されています。「土地白書」とは政府が地価をはじめとする土地の現状や動向について調査し、どのような施策をとってきたか、今後どのようにするかを報告するものです。賃貸経営をするうえで大家さんが知っておきたい「土地白書」の内容を抜粋してご紹介します。

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「土地白書」とは

国交省が令和5年度版を発表!「土地白書」とは?大家さんが知っておきたい地価や賃料の動向を解説2

令和4年度版土地白書 表紙画像

「土地白書」とは、そもそもどのようなものなのでしょうか?国交省のホームページには「土地基本法(平成元年法律第84号)第11条第1項及び第2項の規定に基づき、土地に関する動向及び政府が土地に関して講じた基本的な施策並びに土地に関して講じようとする基本的な施策について、毎年国会に報告しているもの」とあります。

つまり「土地白書」とは、政府が日本の土地の現状をどのようにとらえ、それに対して今後どのような策を講じるかという方向性を示したもの。今後の不動産関係の法改正や税制改正にも関わってくる内容ですので、大家さんも知っておいて損はありません。

とはいえ「土地白書」の全文は119ページものボリュームがあるため、賃貸経営に関連がありそうな部分を抜粋してまとめました。

コロナ禍からの回復が顕著に。令和4年度の土地に関する動向

国交省が令和5年度版を発表!「土地白書」とは?大家さんが知っておきたい地価や賃料の動向を解説2

令和5年度版「土地白書」の第1部では、まず令和4年度の土地に関する動向についてまとめています。公示地価は全用途の全国平均が2年連続で上昇するなど、「新型コロナウイルス感染症拡大前への回復傾向が顕著」としています。

住宅地については、都市中心部を中心に地価上昇が継続しつつも、生活スタイルの変化にともなうニーズの多様化により、郊外部にも上昇範囲が拡大中。さらに、地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)は上昇率が拡大しており、4市の中心部の上昇にともない周辺の市町でも地価が上昇しています。

賃料の変動は?東京23区で横ばい、大阪は上昇中

「不動産市場の動向」では新築・中古マンションの価格の推移や在庫戸数、契約数や賃料についても触れています。

令和4年の新築マンションの1㎡当たり単価は、首都圏は1~3月に100万円を超えましたが、その後90万円台となっています。中古マンションの成約平均価格は、首都圏で4,276万円(前年比10.5%増)、近畿圏で2,669万円(前年比6.4%増)と上昇傾向ですが、成約数はともに前年より減少しました。

賃貸マンションの賃料指数(平成21年1~3月を100とした値)は、東京23区はほぼ横ばいで推移し、令和4年10~12月に114.1となりました。大阪市は4~6月以降上昇し、10~12月に126.7となっています。マンションの価格上昇にともない、賃料も上がっていることが分かります。

「土地は有効な資産だと思うか」「持ち家or借家派か」国民の意識調査

国交省が令和5年度版を発表!「土地白書」とは?大家さんが知っておきたい地価や賃料の動向を解説2

土地白書では、国交省が毎年行っている「土地問題に関する国民の意識調査」についても触れています。

令和4年度の意識調査によると、「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」という質問に対し、「そう思う」と回答した割合は17.9%、「そうは思わない」は28.1%、「どちらともいえない」が35.7%となりました。

平成21(2009)年度の意識調査から「そうは思わない」の割合が「そう思う」を上回っており、ここ10年でも20%近くも割合を下げています。

ただし、これらの回答を土地所有の有無別にみると、土地所有者の中では「土地は有効な資産」だと考えている割合が19.2%と、土地を所有していない人より4%ほど高くなっています。都市圏別でも大都市圏で21.5%、地方圏で15.0%と差が出ました。

持ち家志向か借家志向かについては、「土地・建物については、両方とも所有したい」が65.5%(前年66.7%)で微減。「借家(賃貸住宅)で構わない」は15.1%(前年10.5%)で、やや借家派が増加傾向にあります。特に大都市圏では借家派が18.1%(前年9.9%)と倍増しています。

デジタル技術活用の進み具合は?不動産取引のオンライン化が進行

国交省が令和5年度版を発表!「土地白書」とは?大家さんが知っておきたい地価や賃料の動向を解説2

3D都市オープンデータ「Project PLATAU」トップページ

今回の土地白書では、土地の管理や利用に向けたデジタル技術の活用について述べられており、国土交通省が整備している3D都市オープンデータ「Project PLATAU」などが例として挙げられています。

大家さんと関連が深いのは、不動産取引のオンライン化。テレビ会議などITを活用して行う重要事項説明については、これまで法令上の明確な位置付けがありませんでしたが、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」において、対面で行う重要事項説明と同様に取り扱うものと明確化されました。

重要事項説明書など書面の交付については、「宅地建物取引業法」が改正され、一定の基準に適合すれば、重要事項説明書等を電子化し、提供できるようになりました。今後も実態調査の結果などをもとに、さらに不動産取引のオンライン化に向けた環境整備を進めていくとしています。

令和5年度の動きはどうなる?第3部では今後の施策について報告

第3部では、令和5年度に講じる施策を次の6章に分けて展開しています。

第1章:土地の利用及び管理に関する計画の策定等
第2章:適正な土地利用及び管理の確保を図るための施策
第3章:土地の取引に関する施策
第4章:土地に関する調査の実施及び情報の提供等に関する施策
第5章:土地に関する施策の総合的な推進
第6章:東日本大震災と土地に関する復旧・復興施策

なかでも土地取引の税制上の対応として、令和5年度税制改正においては、以下の税制上の措置を講じるとしています。

①長期保有土地等に係る事業用資産の買換え等の場合の課税の特例措置について、本社の買換えについてのみ圧縮率を見直したうえで、適用期限を3年間延長
②土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の特例措置の適用期限を3年間延長
③優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、対象事業等を一部見  直したうえで、適用期限を3年延長
④土地等の譲渡益に対する追加課税制度(重課)の停止措置の期限を3年間延長

 

さらに、土地に関する登記制度の整備として、相続登記の申請義務化が令和6年4月1日に施行されることにも触れています。

土地白書の内容は、賃貸経営の日常の業務にすぐに活用できるものではありません。しかし、国全体の不動産の現状を俯瞰して見ることや、政府の施策の方向性を知ることは、今後の投資戦略を練るヒントになるはず。お時間のあるときにぜひ、目を通してみてはいかがでしょうか。

※この記事内の情報は2023年7月5日時点のものです。

取材・文/丸石 綾野

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