施工会社から出される提案プランのチェックポイント[プランニング#5]
パートナーを選ぶ際に重要な手がかりになるのが、会社から提案される基本プランと概算見積もりの内容です。どのようにチェックすればいいのか、ポイントを解説します。
<基本計画>提案プランの根拠、説得力をチェック
アパート・マンション経営のために建てる賃貸住宅のプランは、自分が住むための注文建築とはチェックすべき範囲が異なります。自宅なら建築プランと工事費総額の確認が中心になるでしょう。
しかし、アパート・マンション経営では、図1のように、建築プランを含む賃貸事業の全体像を示す基本計画、工事に直接かかる建築費以外で賃貸事業にかかわる経費を含めた総事業費、そして、どのくらいの手取り収入が得られるかを示す収支計算を検討することも必要です。
最初に提案される建築プランは、敷地内の配置図、全体の規模や間取りが分かる各階平面図、高さや外観がわかる立面図程度のラフな企画書です。
敷地調査やマーケティングに基づいて立案されるわけですが、ラフプラン段階では施工会社によって建築概要が大きく異なるケースが珍しくありません。
土地オーナーが「2階建て、延べ床面積50坪」を希望しているにもかかわらず、敷地いっぱいの3~4階建て60坪のプランを提案してくる会社もあります。法令上で建築できる最大限の建物を作り、可能な限り大きな事業予算を引き出そうという意図があるからです。
逆に、過度な借り入れを抑えるために希望よりも建築規模を縮小して、余裕のある建物配置を提案する会社もあるかもしれません。こうした提案内容の違いに企業姿勢が現れます。オーナーの立場になって考えてくれるかがポイントです。
住戸プランもまちまちです。賃貸経営の場合は、オーナーの好みよりも借り手のニーズに合わせなければなりません。ただ、地域のニーズやターゲットをどう捉えるかによって、階数や延床面積が同じでも、部屋の間取りや設備仕様の設定は異なり、収益の見込みも違ってきます。
たとえば、地域にかかわらず、すべて単身向けのワンルームや1Kでレイアウトもまったく同じタイプを提案する施工会社は少なくありません。コストパフォーマンス重視で、計算上は収益を最大化できるからです。
しかし、単身よりも小ファミリーのニーズが多い地域であれば、1LDK~2LDKの間取りを採用するプランも考えられます。ファミリーのほうが入居期間は長い傾向にあり、短期的な収益が少し下がっても、長期安定経営に結びつくからです。
どちらが良いかは一概には言えません。間取り別の空室率、平均入居期間など、客観的なデータに基づいた説得力のあるプランかどうかによって、判断が分かれてくるでしょう。
さらに、オーナーが言葉にできない気持ちを汲み取ったり、あえてオーナーの意図とは異なるプロとしての見識を盛り込んだり、提案力に優れたプランも出てくるかもしれません。なので最終的には、オーナーの目的に合っているかどうかという観点でチェックします。
⇒オーナーの目的について詳しくは[建築の基礎知識#2]賃貸アパートを経営する目的ってなに?
<総事業費>建築費の内訳、付帯工事費や諸費用も確認
アパート・マンション経営は賃貸事業ですから、投資に対するリターンを検討する収支計算をするために総事業費を出す必要があります。
図2のように、建築費がメインですが、それ以外にも、各種手続きに必要な費用や税金などの諸費用がかかることを知っておきましょう。
⇒諸費用について詳しくは[資金・税金#4]賃貸アパート・マンションの経営開始後に発生する税金の種類と特徴
建築費の内訳も問題です。「建築費はいくら?」と施工会社に尋ねると、本体工事費だけを答えるケースが少なくありません。広告などで表示している1坪(3.3平方メートル)当たり単価も、この本体工事費と床面積から計算したものです。
しかし、実際には本体工事費以外の付帯工事費も大きな金額になります。軟弱地盤の場合の地盤改良工事、敷地外のガス管や上下水道本管から建物まで引き込む屋外配管工事、外観デザインに影響する外構・造園工事、今や必須となっているエアコンなどの空調工事、照明器具も安くありません。建て替えの場合には、解体費もかさみます。
だいたいの目安としては、本体工事費が建築費全体の70~80%、付帯工事費が15~25%。この他に、契約後の設計変更や追加工事費に備えて5%程度の予備費を見込んでおく必要があります。
基本プランの提案段階で出される概算見積もりは、会社によって書式は様々で、統一されていません。
建築費の内訳まで細かく出すところもあれば、あまり細かい内訳は出ていないケースも多いようです。これでは比較できませんから、建築費には何が含まれるのか、諸費用の目安はどのくらいになるかを確認し、総事業費を割り出せるようにしましょう。
⇒見積りチェックについて詳しくは[段取り#4]賃貸アパートやマンションのプランや見積もり書のチェックポイント
<収支計算>手取り収入がいくら残るかを算出
建築プランと収入予想、総事業費がわかれば、収支計算ができます。いわゆるキャッシュフロー計算です。
パートナーを決める前の時点では概算で構いません。満室想定家賃収入、全額融資を受けた場合の年間返済額(一般的な融資条件)、固定資産税や管理費などの諸経費は家賃収入の20~25%くらいと想定して、おおよそ手取り収入がどのくらいになるかを算出します。
ハウスメーカーや中堅建築会社ではコンピュータの収支計算ソフトなどを使って作成してくれるのが一般的です。しかし、そのまま鵜呑みにはできません。高めの家賃設定をしたり、支出を少なめに計上したりしている可能性もあるからです。家賃設定や支出の内訳などが適切か、チェックする必要があります。
⇒事業収支計画について詳しくは[プランニング#5]あとで困らないために!事業収支計画の作成ポイント
修正計画を提出しない工務店は検討対象にしない方が得策でしょう。また、所得税の節税対策を優先している場合は、税額を出すための損益計算も必要です。減価償却費やローン利息の計算があるため、ややハードルは上がります。取引関係のある税理士などに相談してもいいでしょう。
文/木村 元紀
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