会社の選び方、契約書…賃貸経営で管理替えをするときに注意したいポイントを解説
今の管理会社の仕事内容に満足ができず、新しい管理会社へ替えたいとなった時、どんな手順で何をすればいいのでしょうか? 管理会社を替える時の段取りと、見積もりを取る前に整理しておくこと、用意しておく書類、見積もりの際の注意点などをまとめました。
管理会社を替えるときの主な流れは?
管理会社を替えるための段取りですが、まず最初の段階では、替え先の候補となる会社を複数(3~4社程度)選びます。そして各会社へ連絡し、委託したい内容やスケジュール、予算について打ち合わせを行います。
何度かの打ち合わせの後に見積もりを取り、料金と業務内容で全ての会社を比較検討。納得できる内容が定まれば一社に絞り、入念にチェックしてから管理受託契約書にサインします。
段取りとしてはこのような流れですが、候補となる管理会社に初回相談に行く前に、オーナーがやっておくべきことがあります。
管理を委託する物件の状態と、委託したい管理の内容、そして委託までのスケジュールを明確にしておくことです。
ここでいう物件の状態とは、ハード面の状態やどの程度空室があるのか、入居者属性などです。建築当初はどんな建物で、これまでどう改修したことがあるのかを委託先に説明できるよう、建築時と改修時の図面や資料は必ず用意しましょう。
入居者は若年者か高齢者か、単身者が多いのかファミリー層なのか、などの入居者属性がわかる資料も作成しておくべきです。自主管理からの切り替えの場合は、入居者との賃貸契約書も事前にまとめておきましょう。
委託したい管理の内容とは、自分がしてもらいたい管理とはどういうものか、何をどこまで委託したいのかという自分の希望です。また、委託までのスケジュールは、余裕を持って立てることが大切です。
新築の場合は、遅くとも竣工の約2カ月前までに管理会社を決めないと、入居者募集の開始が遅れる可能性があります。
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管理会社からの見積もりを比較する際の注意ポイント
では、実際に数社から見積もりを取り、比較検討する際の注意点は何でしょうか?主に3つが挙げられます。
①管理内容を比較する際は条件設定を統一して共通項目を比較
一つ目は、管理内容を比較する際は条件設定を統一し、共通項目を比較することです。
基本的な業務は、どこの管理会社も同じです。その上、契約書の管理業務の内訳には単価表示がないので、それだけ見ていても良いのか悪いのか、高いのか安いのかわかりません。
例えば清掃の場合はどこをどんな頻度で行うかなど、項目・密度・頻度の詳細な確認をして、各社の条件を統一してから検討します。
借主募集業務 | 入居者募集、入居申込書の内容確認と報告 など |
賃料等の受領に係る事務 | 賃料・共益費の代理受領、共益費の支払い代行、退去者への敷金返還 など |
賃貸借契約の更新に係る事務 | 更新意思の確認、賃貸条件の改定業務、更新書類の作成、更新料の代理受領 など |
賃貸借契約の終了に係る事務 | 解約・明渡しに伴う連絡調整、明渡しの確認と鍵の受領、原状回復の負担額の策定、敷金の清算など |
入居者管理に係る事務 | 入退去立会、鍵の引渡し、賃料等不払者への連絡、苦情処理への対応、建物・付帯設備の修繕 など |
建物、設備、敷地に係る事務 | 定期巡回、空室の管理、駐輪場・駐車場の管理 など |
清掃、除草に係る事務 | 建物内の清掃、屋外の清掃、除草など |
経営支援事務 | 長期修繕計画の策定、テナントリテンションの提案 など |
②管理受託契約書に記載された解約条件などをしっかりと確認
二つ目は、管理受託契約書に記載された解約条件などをしっかりと確認することです。
契約解除の際に高額な違約金を設定している会社や、オーナー側からは解約ができないサブリース契約を提案している会社もあります。解約条件を見落とさないよう、入念にチェックしましょう。
大手管理会社と地元の中小管理会社の両方を比較・検討
三つ目は、大手管理会社と地元の中小管理会社の両方を比較・検討することです。
知名度があり財務体質が良い大手か、きめ細やかなサービスが期待できる地元の会社か? 悩ましいところですが、どちらを選ぶかは自分が何を優先したいかによります。
また、入居者の募集方法や担当者との相性も、重要な判断基準です。
ただ、どの会社を選ぶにしても、物件の近場に拠点があることが必須です。
また、管理業務一式をパッケージで委託する以外に、個別業務ごとにアウトソーシングするという方法もあります。
自主管理オーナーの方は、こうしたサービスを取り入れてもいいでしょう。
対応業務 | 外注種別 | サービス内容 |
入居者募集 | インターネットのマッチングサービス | オーナー自ら物件広告を出せるサイトを設け、入居希望者とマッチング。仲介手数料のみ、または広告料のみで入居者を探せる |
入居者審査・集金管理 | 滞納保証、家賃決済代行 | 保証会社が滞納保証。口座引き落としやクレジットカードにより家賃の集金管理を兼ね、立替払いなどが付く |
入居者対応 | 24時間コールセンター&駆けつけサービス | 入居者からのクレーム・問い合わせ、鍵紛失、設備機器のトラブルに一次対応。会社を手配 |
清掃・保守点検 | 清掃・メンテナンス業務代行 | 清掃・点検に関する業務を細分化し、予算と必要性に応じてオーダーできる |
その他 | 退去立会い、経理事務代行など |
まとめ
どんな立場のオーナーであろうと、大前提となるのはどういう管理をしたいのか、何を優先したいのか、という自分の希望を明確にすることです。
そして、それに合う選択肢を幅広い視野で検討していけば、管理替えによる失敗は減らすことができるでしょう。
文/木村 元紀