入居者の退去を予防するために一番大切なことは何?

次々と退去者が出ても部屋はすぐに埋まり、収入は礼金で潤う。そんな時代は遠い過去のものとなりました。「大家業はサービス業」という心構えをもとに、入居者をおもてなしして長く物件に住んでもらうことを、賃貸経営の重要テーマと考えるオーナーが増えています。

最重要は「長く住んでもらうこと」。退去要因を一つ一つ潰そう

空室対策において最も重要なのは、「入居者に長く住んでもらう」こと。この考え方は、ここ10 年ほどの間にオーナーに浸透し、賃貸経営の基本となりつつあります。

 

その背景にあるのは、次の入居者が決まるまでの空室期間が長くなりつつあることです。空室期間は家賃が入らないので、オーナーにとっては大きな損失です。

さらにオーナー負担の原状回復費や修繕費、そして広告費などが発生するので、退去による損失は合計で年間賃料の半分かそれ以上に達することもあります。礼金はもらえても1カ月分で、それは広告費に消える運命です。

 

また、「賃貸経営は入居者におもてなしをするサービス業」という考え方も、オーナーの基本姿勢として徐々に広がりつつあります。人口減少・少子化によって賃貸市場が縮小していく中、賃貸経営を安楽な不労所得の手段とする見方はすでに過去のものとなりました。

カリスマ大家さんとして数多くの著作で知られる鈴木ゆり子さんは、「大家業はホテル業」の言葉を提唱しています。宿泊客に良質なサービスを提供するホテルの経営者の心構えを、賃貸オーナーも持つべきだとしています。

カリスマ大家・鈴木ゆり子さん直筆の格言

出典:『カリスマ大家 鈴木ゆり子の大家塾「チョコッと一言」カレンダー2013』

協力:鈴木ゆり子の「大家塾」

空室対策と言えば、私たちはついつい、発生した空室をどう埋めるかについてばかり頭を悩ませがちです。ですが、空室ができる前から、空室対策を行うことはできます。

それは、「退去」の予防です。入居者を手厚くおもてなしして、今の住環境を気に入ってもらい、 今後も長く住んでもらうこと。それこそが、最も効果の高い真の空室対策なのです。

 

では、長く住んでもらうにはどうすればいいのでしょうか?

そのためには、入居者が退去したいと不満に思うであろう要因を、一つ一つ取り除いていくしかありません。退去理由は、大きく4つに分けることができます。

1.建物や設備などのハード面に関わる不満

一つは、建物や設備などのハード面に関わる不満です。例えば、エアコンや給湯器に次々故障が出る、隣室や上下階からの音が響く、隙間風が入って寒い、駐輪場・駐車場がないなど。主に建物や設備の経年劣化や構造面での問題が原因です。

2.管理面への不満

二つ目は、管理面です。共有部やごみ置き場がいつも汚いといったものの他に、設備故障への対応が遅いなど、ハード面に関わる問題へのフォローが悪いと致命的な不満を呼び起こします。

3.「人」への不満

三つ目は、「人」です。隣人が夜中にうるさくするなどの迷惑行為に悩む入居者の多くは、しばらくは文句を言えずに我慢を続けます。そしていよいよ耐えられなくなれば、あとはその物件を見限るしかありません。

4.お金の不満

四つ目は、お金のことです。賃料の下落傾向が続いているため、長く同じ物件に住んでいる入居者からは、「うちは周辺より割高」とどうしても思われやすくなります。また、特に若い人にとっては、更新料も退去の一つのきっかけです。「更新料を払うくらいなら引っ越したい」という声も多く、近年は更新料の廃止を検討するオーナーも増えています。

 

以上の4つの退去理由は、オーナーが日頃から物件をよく見て本気で何とかしたいと思っていれば、どれも改善・解消したり、事前に予防できたりすることが多いです。入居者の立場になって不満要因を消し続けていくことで、長く住みたくなる賃貸住宅を実現することは可能だと言えるでしょう。

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