賃貸アパート、マンションの大規模修繕工事はどこに頼む?施工会社を選ぶポイント

賃貸アパートやマンションの大規模修繕を実施したくても、どこに依頼すればいいのかわからないという人も多いのでは?依頼先を間違えると、価格も品質も良い工事は期待できません。良質な施工会社を絞り込む方法や、コストを抑える方法を解説します。

賃貸アパート・マンション大規模修繕の主な相談先と注意点

ハウスメーカー、建設会社

賃貸アパートやマンションの大規模修繕が必要と感じたとき、まず相談する先としてまっさきに思い浮かぶのは、その建物を新築した住宅メーカーや建設会社ではないでしょうか。

ただ、新築をメインにする会社は、築年数が経ったアパート・マンション修繕のノウハウを持っていないケースがほとんどです。相談しても、大規模修繕の得意な施工会社に丸ごと外注するのが一般的でしょう。1~2割のマージンを抜かれることも珍しくありません。

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新築と既築の建物ではノウハウが異なる

管理会社

相談先の2番目は、賃貸管理を委託している管理会社です。管理会社は大きく2通りに分かれます。

1つは、日常の補修や原状回復リフォームしか経験がなく、慣れない大規模修繕には消極的な管理会社。オーナーへの提案もしません。2つ目は、設計部門を社内に抱え、補修をビジネスチャンスと考えて、積極的にオーナーに大規模修繕を提案する管理会社です。

どちらの場合も、つながりのある建設会社などに工事を外注するケースが多いと言えます。やはり、中間マージンが発生する分だけ割高になりがちです。

新築した建築会社 建物を施工したハウスメーカーや建設会社。新築時の図面があり、定期点検やアフターケアを通じて修繕の可否を把握。大規模修繕は自社で対応しないケースが多く、その場合外注になる。
管理会社 賃貸管理の委託先。日常の建物管理・保守点検を通じて修繕の必要箇所を把握。社内にノウハウがない場合は提携会社に外注することが多い。
設計事務所、コンサル会社 オーナーと工事会社の間に立ち、建物の調査・診断、複数の工事会社からの選定のアドバイス・見積もりチェック、工事監理を行う。別途報酬がかかる。
リフォーム・修繕専門会社 塗装工事・防水工事などの専門会社、または建築工事一式の建設業免許を持つ会社。大規模修繕実績の有無が重要。工事の費用や品質にバラツキがある。


コストを抑え良質な修繕会社を選ぶための「2つ」のアプローチ

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大規模修繕は1回の工事費が数百万円以上と大きいため、たとえば500万円の工事で2割のマージンを抜かれると、実際の工事費以外に100万円も支払っていることになります。適正な価格で工事をしてくれる会社を見つけることはできないのでしょうか。

複数のリフォーム専門会社に相見積もりを依頼して、競争原理を働かせることによって、コストを抑える方法があります。次の2つのアプローチです。

1.設計監理方式/分離発注方式

設計事務所や設計コンサルタントに修繕設計と施工会社の選定協力を依頼する方式です。設計会社が工事監理も行うのが一般的で、工事費を抑えながら品質チェックもできる優れた仕組みといわれます。分譲マンションの大規模修繕では、これがスタンダードになっています。

ただ、設計監理の専門家への報酬があるため、小規模な賃貸マンションやアパートで、工事費が1,000万円に収まるような場合は、費用対効果がよくないようです。

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2.責任施工方式/一括発注方式

設計と施工を1つの会社に任せて、最後まで責任を持って工事を請け負わせる方式です。設計施工が一体のため、工事監理は甘くなりやすいというデメリットもあります。

冒頭の住宅メーカーや管理会社経由の場合も、一種の一括発注方式ですが、初めから1社に決めているという点では「特命随意契約」といったほうがぴったりきます。コストを抑える方法として一括発注方式を活用する場合は、オーナーが事前に信頼のおける施工会社を複数リストアップし、2~3社に相見積もりを依頼するという手続きを踏む必要があります。会社選びのポイントは以下を参考にしてください。

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最適な会社に依頼して、コストも品質も納得の修繕を!

賃貸アパートやマンションの大規模修繕は、まずどこに相談したらいいのかが悩みどころかもしれません。付き合いのある建築会社や管理会社は建物についてよく知っているし信頼がある、というメリットがある一方、マージンが上乗せされて思わぬところで高額な施工費になってしまう可能性もあります。

コストも品質も納得の修繕ができるように、色々な会社を見比べてみてはいかがでしょうか。

文/木村 元紀

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