大規模修繕工事の見積りのチェック法は?

複数の会社に相見積もりを依頼したら「書式も金額もバラバラで、良し悪しを判断できない」――そんなオーナーは少なくありません。積り書のどこに目を付けて、どうチェックすればいいのかを解説します。

まず、見積り書のチェック方法の基本を紹介しましょう。悪い例と良い例を下図に示してしてあります。

悪い例

  • 工事の項目立てが少ない。単位が「一式」で総額表示しかない。
  • 材料が記載されていない。
  • 数量や単価が不明

これでは、詳細な工事内容がわからないため、金額の妥当性を判断できません。

良い例

  • 工事の部位と作業名が細かく分類されている。
  • 仕様覧に、材料の種類と製品名が出ている。
  • 数量と単価が明記されている。

こうした内容であれば、ネットで材料のスペックやグレード、金額の目安を調べ、妥当なレベルかどうかを知ることもできます。良い例のような見積り書を出してくる施工会社なら、ある程度は誠実に仕事に取り組む良心的な会社だと判断できるでしょう。

相見積もり

次に、工事を依頼する施工会社を選定するには、2~3社に絞ってから「相見積もり」を取ることが好ましいといわれます。しかし、単に見積りを複数の会社に依頼しただけでは、書式も工事項目も金額もバラバラな書面が来るため、建築の素人のオーナーが横並びで比較することはできません。

たとえば、お寿司を1人前頼んだら、A社は並握り1,500円(7貫)、B社は上握り2,500円(8貫)、C社は特上握り3,500円(6貫・天然本マグロ大トロ付)を出してきたとしましょう。これに対して、A社が一番安いからトクというわけでも、Cが割高というわけでもないはず。同じネタ、同じ数で比べないと価格の損得はわからないのです。

共通仕様書

修繕工事で同じ土俵を作るためには、設計事務所や設計コンサルタントが事前に建物の調査診断をした上で、修繕設計をして工事範囲や施工方法・材料の種類とグレード・数量を統一した「共通仕様書(金額抜きの内訳明細書)」を作る必要があります。これを一斉に施工会社に渡し、単価を記入するだけの状態で依頼すれば、価格だけで比較できるようになるでしょう。

とはいえ、小規模な賃貸マンションやアパートのオーナーが1,000万円までの大規模修繕をする場合には、専門家に設計や共通仕様書の作成を依頼すると工事費の1~2割、100万~200万円もの費用がかかってしまうため、採算が合いません。

無料一括見積りサービス

ネットには「最大〇社まで無料一括見積り」というサービスを提供しているサイトがあります。「これなら簡単に5社、10社に相見積もりできる」と思うかもしれません。しかし、サイトから申し込むのは、図面や外観写真などの資料を基に机上で割り出す概算見積りです。

その結果を見て「高い/安い」と判断するのは早計です。受注を取るために、仕様や材料グレードを落として安値で提示している可能性もあります。共通仕様での比較もできません。あくまでも参考値程度と考え、どんな施工会社があるか、当りをつけるのに利用するくらいでとどめておきましょう。

専門的な視点からきちんと見積りを検証したい場合は、見積りチェックだけを設計コンサルタントに依頼し、セカンドオピニオンを得る方法があります。

見積り金額は多少高くても、修繕にとどまらないグレードアップ工事の提案が気に入り、改めてその会社にヒアリングに行き、実績や経営者の姿勢に共鳴して依頼先を選んだというケースもあります。自分に合った方法を見つけて、トライしてみてください。

スムスム君

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