相続財産の全国平均額は約2,586万円!うち「土地・建物」の相続が84.4%を占める結果に|相続手続きに関する実態調査
ある日突然、始まるかもしれない相続手続き。ほとんどの方が「何をしたらいいのか分からない」と感じるのではないでしょうか。なかなか人には聞きづらい相続の話ですが、まずは他の人がどういった状況なのかを知りたい!という方に向けて、 (株)鎌倉新書による「相続手続きに関する実態調査」をご紹介します。
総額は「1,000万円未満」が最多。しかし全国と1都3県で差が
実際に相続手続きを経験された方へのアンケートということもあり、回答者の属性は50代以上の方が8割以上。性別は男性が64%とやや多めでした。
まず、相続人については「子」が82.0%と大部分を占めており、「配偶者」が32.6%、「兄弟・姉妹」が8.6%で続きます。
相続財産の総額は全国で「1,000万円未満」が42.0%で最多、次いで「1,000万円以上~2,000万円未満」14.6%、「2,000万円以上~3,000万円未満」12.7%となりました。
しかし、居住地を1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に絞った場合、「1,000万円未満」が最多ではあるものの、28.4%と全国平均より13.6%も少なくなっています。
2位以下は「2,000万円以上~3,000万円未満」が20.9%、「1,000万円以上~2,000万円未満」が14.2%と続き、全国で聞いた結果の2位と3位が入れ替わる結果となりました。
相続財産の全国平均額は約2,585.8万円。1都3県では約2,996.6万円となり、やはり全国平均を上回っています。
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相続財産の内容は?相続にかかった費用はどれくらい?
相続財産の内容は以下のようになっており、全国と1都3県では1位と2位が逆転しています。
1位 | 土地・建物 | 84.4% |
2位 | 現金・預貯金 | 66.7% |
3位 | 生命保険 | 25.7% |
4位 | 有価証券・投資信託などの金融商品 | 19.2% |
5位 | 山林・農地 | 15.3% |
1位 | 現金・預貯金 | 79.1% |
2位 | 土地・建物 | 77.7% |
3位 | 生命保険 | 25.0% |
4位 | 有価証券・投資信託などの金融商品 | 23.0% |
5位 | 山林・農地 | 12.2% |
また、相続手続きにかかった費用については、過半数である56.5%が「30万円未満」と回答。次いで「30万円~60万円未満」が27.3%、「60万円~90万円未満」「90万円以上」が8.1%。平均は34.7万円でした。
相続手続きにかかった費用が30万円以上という人は、「相続税申告」と「財産目録の作成」を専門家に依頼した割合が多くなっています。
相続手続きで最も大変だったことは?年代による違いも
相続手続きで大変だったことは何かを聞いてみたところ、上位3位は以下のような結果となりました。
何をどう進めるべきかを理解するための情報収集 | 58.0% |
必要な書類が多かったこと | 52.5% |
手続きのために時間が取られたこと | 40.0% |
上位3位は全年代で共通していますが、4位以降については年代で違いがみられます。30代40代は「金銭的な負担が発生したこと」が40%台、70代は「相続人同士の連絡・同意を得ること」が45.8%、80代は「手続き先が複数あること」が50.0%でした。
情報収集や書類、時間に関する大変さは同じであるものの、それ以外のポイントは年代によって違うようです。
2024年4月施行の「相続手続きの義務化」認知は7割に
2024年4月1日に施行された「民法等の一部を改正する法律」にもとづき、不動産を相続した場合、その所有権を登記することが義務化されました。
それまで相続による登記は任意とされていましたが、相続人は不動産の所有権の取得を知った日から3年以内に所有権移転登記を申請すること、と定められました。所有者不明の土地問題を解消することが目的で、もし正当な理由なく登記を怠ると過料が発生することもあります。
このことについては73.1%の人が「知っていた」と回答。相続経験者には一定の認知が広がっていることがわかりました。
過去に相続した不動産も登記義務化の対象となっているため、昨年中に相続登記手続きを開始した人のうち、相続が発生してから3年以上経過していた人の割合は23.3%。
10年以上相続手続きをしていなかったという人も9.9%と約1割います。最長では、80年前の相続手続きをしたという方がいました。
故人の生前に「やっておけばよかった」と思うことは?
まだまだ先のことと思っていても、ある日突然ということもありうるのが相続です。故人の生前にやっておけばよかったと思うことはありますか?という問いに対しては、以下のような回答が多くなっています。
生前元気なうちに、相続について相談しておけばよかった | 36.7% |
日頃から相続についてもっと勉強しておくべきだった | 34.5% |
財産を記録しておく、通帳の置き場所を決める等まとめておいてもらえばよかった | 25.7% |
正式な遺言書を作成してもらえばよかった | 18.0% |
相続税対策をしておけばよかった | 12.7% |
後悔の原因は家族間でのコミュニケーションの不足によるものが多いようです。まだ元気なのに死亡後のことを相談するのは抵抗があるという方もいるでしょう。
その他には「カード決済などの解約を事前にしておくこと」という回答がありました。定期支払いの引き落としなどは、手続きをしなければ故人となった後も自動的に続いてしまいます。生前にこれらの契約を整理し、情報を残せるようにしておくと良いでしょう。
まとめ
最後に、相続手続きをする方に向けたアドバイスとして、次のようなコメントがありました。
自分にはまだ直接的に関係しないと思わず、その時が来る前に、一度専門家に相談するだけでもメンタルがだいぶ違います。特に、相続人が他にもいる場合、「お金が絡むと人は変わる」ということを忘れてはいけません。私はそのことを思い知らされました。そうなる前に、気軽に相談出来る専門家を知っておくことは有効だと思います。(60代・男性)
後回しにせず、元気なうちに情報収集やできる手続きを行っておくこと、いざというときの話ができる関係を家族とつくっておくこと、ときには信頼できる専門家の力も借りることが、相続手続きを円滑に進めるために肝心のようです。明日は我が身と考えて、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年6月10日時点のものです。
文/石垣 光子
ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。
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