「終活」テーマの相続調査から読む最新事情。故人の1割近くは認知症を発症もそのうち9割は「対策なし」

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公開日:2024年6月25日
更新日:2024年7月8日
「終活」テーマの相続調査から読む最新事情。故人の1割近くは認知症を発症もそのうち9割は「対策なし」1

6月14日の「認知症予防の日」にちなんで、(株) ルリアンが「終活」をテーマにした調査結果を発表しました。もし認知症と診断されてしまったら、終活や相続対策ができなくなる可能性があります。その前にできる終活にはどんなものがあるのでしょうか。また、家族が望んでいるのはどのような終活なのでしょうか。内容を抜粋してご紹介します。

認知症を発症していたのは9.1%。うち91.8%は対策をせず

「終活」テーマの相続調査から読む最新事情。故人の1割近くは認知症を発症もそのうち9割は「対策なし」2

全国の6,850人の男女を対象に行われた同調査。うち親の死による相続を経験した人は1,065⼈です。経験者からの回答によると、故人が生前に認知症を発症していた割合は9.1%でした。およそ10人に1人が認知症を発症していたことになります。

さらにその中から、任意後見や家族信託などといった認知症対策を「行っていなかった」と回答したのは91.8%。ほとんどの人が、認知症が分かってから動いているのです。

先日、厚生労働省の研究班が2040年には高齢者のおよそ15%、6.7人に1人が認知症になると推計したデータを発表しました。認知症は人によって症状や進行のスピードが異なるため、今後のことは毎日のように考えるものの、自身も周りも結論が出ないというケースも多いようです。

まさに、認知症を発症する前の対策が必要であることが分かります。

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故人がしていた終活と家族がしてほしかった終活にズレが

「終活」テーマの相続調査から読む最新事情。故人の1割近くは認知症を発症もそのうち9割は「対策なし」2

具体的に、どのような対策を図れば良いのでしょうか。相続経験者に故人(認知症か否かを問わず)が終活を行っていたかどうか聞いたところ、31.3%とおよそ3割が「行っていた」と回答。

行っていた終活の内容で最も多かったものは「遺言書作成」で11.5%でした。その一方で、故人に行ってほしかった終活トップは「物の整理・不用品処分」で23.1%。「特にない/わからない」を除くと、それぞれのトップ3は次のような結果となっています。

故人が行っていた終活
1位 遺言書作成 11.5%
2位 物の整理・不用品処分 10.5%
3位 生前贈与など相続税対策 9.8%

 

故人に行ってほしかった終活
1位 物の整理・不用品処分 23.1%
2位 生前贈与など相続税対策 15.6%
3位 遺言書作成 14.4%

 

「故人が行っていた終活」と「故人に行ってほしかった終活」の差が最も大きかったのは「物の整理・不用品の処分」。12.5%ものズレが生じています。

自身が終活を行う割合は相続経験によって約3倍も変わる

回答者全員に、自身の終活の実施状況を聞いたところ、20.4%が「終活を行っている」と回答。親の死による相続経験者では42.5%で、相続経験がない人の15.9%とは3倍近い差があります。

終活の実施内容は、相続経験に関わらず「物の整理・不用品処分」が最も高くなっています。相続経験者は「保険の見直し・保険を活用した相続対策」、「生前贈与などの相続税対策」、「遺言書作成」、「墓じまい・永代供養・散骨など」が10%を超え、複数の対策を行っていることがわかります。

故人が残した遺言書が「無効」と判定された割合が14.6%も

「終活」テーマの相続調査から読む最新事情。故人の1割近くは認知症を発症もそのうち9割は「対策なし」2

同調査では、何度かにテーマを分けて結果を発表しています。遺言に関する調査結果によると、故人が遺言書を作成していたという人の14.6%が「遺言書が無効と判定された」と回答。

その他、「遺留分侵害の請求があった」ケースが12.2%、「法定相続人以外にも遺産が分配された」ケースが10.6%ありました。

また、遺言書が作成されていなかった人のうち65.0%は「遺産分割協議は順調だった」と回答。しかし一方で、8.1%が「紛糾した」と答えています。

相続で人間関係が悪化するケースも良くなるケースもある

相続と人間関係にフォーカスすると、次のような調査結果が出ています。

相続後の関係性の変化
関係が良化した 19.3%
一部と良化し、一部と悪化した 4.8%
関係が悪化した 6.9%
関係に変化なし 42.4%
関係者は存在しない 17.9%
わからない 8.6%

 

相続前後の関係を比べたところ、「相続時は不仲⇒相続後に関係が良化した」人は5%、「相続時は良好⇒相続後に関係が悪化した」人も同じく5%でした。

相続人との関係が不仲だった場合は良好だった場合に比べ、遺産分割協議が紛糾した割合が約3倍となっています。

まとめ

「終活」テーマの相続調査から読む最新事情。故人の1割近くは認知症を発症もそのうち9割は「対策なし」2

もし遺言書作成時点で認知症と判断されてしまうと、遺言書そのものも無効となる可能性が高くなります。認知症になる前にできる相続対策としては、家族信託や任意後見制度で財産の管理と継承について決めておくことや、公正証書遺言書を作成すること、生前贈与を活用することなどがあります。

いずれの場合も、早めに専門家に相談することが大切です。普段から家族とも将来について話し合い、もしもの場合に備えておきましょう。

参照元の調査データはこちら

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年6月24日時点のものです。

文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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