賃料は全国で上昇傾向!高騰した自治体は?産業や開発、震災などが地域の賃料に与えた影響

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公開日:2024年6月25日
更新日:2024年6月25日
賃料は全国で上昇傾向!高騰した自治体は?産業や開発、震災などが地域の賃料に与えた影響1

(株)いえらぶGROUPが、2023年4月と2024年4月の賃貸物件の市場動向分析を発表しました。アフターコロナからの都心回帰で、都市部を中心に家賃の高騰が話題になっていますが、全国的にはどのような状況なのでしょうか?家賃比較とともに、現状とその要因を解説しています。

シングル向け(30㎡未満)家賃は31都道府県で上昇!

同調査では、30㎡未満をシングル向け、30㎡以上~50㎡未満をカップル向け、50㎡以上~70㎡未満をファミリー向け、70㎡以上の物件を大型ファミリー向けとして集計しています。

それぞれの2024年4月家賃を2023年4月家賃と比較したところ、全国の平均家賃と家賃前年比は以下のような結果となっています。

シングル向け 4万7,756円 前年比95.5%
カップル向け 5万9,703円 前年比93.4%
ファミリー向け 6万6,438円 前年比96.0%
大型ファミリー向け 18万8,135円 前年比102.8%

 

全国平均では2023年より、やや家賃が下がったように見えます。しかし家賃が上昇している県も多く、とくにシングル向けでは31都道府県で家賃が上がっています。

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前年からの上昇率が高かったのは石川県と熊本県。要因は?

賃料は全国で上昇傾向!高騰した自治体は?産業や開発、震災などが地域の賃料に与えた影響2

能登半島地震の被災地(石川県穴水町)

シングル向けの家賃で特に上昇率が大きかったのが石川県で、前年比114.8%です。同県は大型ファミリー向け物件でも前年比132.3%となっています。これは、1月の能登半島地震が主な要因と推測されます。

石川県は能登半島地震で確認された住宅の被害が8万棟を超えたと発表。うち約1割である8,000棟以上が全壊しました。

同調査では、2011年の東日本大震災の前後で、仙台市内の賃料が20%ほど上昇したことや、2016年の熊本地震でも抽選倍率10倍の賃貸物件もあったと報じられていたことなども紹介。

震災で建物の供給量そのものが減り、復興支援事業で転居する人が増えることからも、地震で賃料が上昇するケースが多いようです。

賃料は全国で上昇傾向!高騰した自治体は?産業や開発、震災などが地域の賃料に与えた影響2

シングル向け物件で、石川県の次に上昇率が大きかったのが熊本県の110.1%。これは「半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)のファウンドリー建設が主な要因」と推測しています。「ファウンドリー」とは、半導体産業でメーカーから委託を受けて半導体チップの製造を専門に行う企業のことです。

台湾積体電路製造(TSMC)は、アメリカのインテル(Intel)や韓国のサムスン電子(Samsung)と並ぶ世界的な半導体企業です。

ファウンドリーが建設された菊陽町や隣接する大津町では公示地価が2023年から大きく上昇。これらのエリアでは、東京都の賃料平均である7.5万円を上回るシングル向け物件も複数あるようです。さらに熊本県内には、TSMC国内2つ目のファウンドリー計画も発表されています。

地方経済に影響を与える工場建設や開発が家賃にも反映

熊本の例のように、単身者や単身赴任者が入居するシングル物件は開発・政策の影響を受けやすく、TSMC以外の半導体工場の建設計画についても紹介しています。

賃料は全国で上昇傾向!高騰した自治体は?産業や開発、震災などが地域の賃料に与えた影響2

例えば、北海道の千歳市で総投資額は5兆円におよぶ工場の建設を開始しているラピダス(Rapidus)。日本の先端半導体の国産化を目指し、トヨタ自動車やソニーグループなど8社が出資して2022年に設立した会社で、経済産業省からも支援を受けています。

この影響を受けて、千歳市栄町は2023年に住宅地の地価上昇率が30.1%%で全国1位、2024年は23.4%で2位でした。

さらに、半導体大手のロームグループが宮崎県国富町で宮崎第2工場の整備を進めていることにも言及。宮崎県のシングル向け賃料も前年比110.0%と、1割上昇しています。

都心回帰はさらに顕著に。23区ファミリー向けは3.3万円アップ

賃料は全国で上昇傾向!高騰した自治体は?産業や開発、震災などが地域の賃料に与えた影響2

東京に目を向けると、都心回帰の動きがさらに顕著に表れています。23区ではシングル向けから大型ファミリー向けまで、すべてのタイプで家賃が前年より上昇しました。

なかでもファミリー向けの賃料は、18万4,306円から3万円以上も上昇し、前年比117.7%の21万6,882円に。さらに、もともと需要に対して供給戸数が少ない70㎡以上の大型ファミリー向け物件は41万1,065円から61万9,329万円と、前年比150.7%にもなっています。

エリア別では副都心地区(新宿区、文京区、渋谷区、豊島区)と城南地区(品川区、目黒区、大田区)での賃料上昇が目立っています。

これらの背景にあると考えられるのは、リモートワークの廃止や住宅価格の高騰。供給戸数が少ないファミリー物件を中心に、今後も賃料は上昇するのでは、同調査では見ています。

まとめ

前年との比較や全国規模で見ることで、賃料は人の動きや経済活動と密接につながっていることがよくわかります。

調査データそのものは、賃貸経営や不動産投資に直接の影響を与えるわけではありません。しかし、各種SNSなど情報のリソースがどんどん細分化している今、できる限り広く情報収集を行い、判断材料とすることが求められています。

情報の取捨選択の目を養うためにも、このような調査結果はマメにチェックすることをおすすめします。

出典元の調査データはこちら

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年6月25日時点のものです。

文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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