2024年引っ越しシーズンの賃貸住宅市場・最新ニーズは?ユーザー賃料予算の増額傾向と供給の偏りが鮮明に

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公開日:2024年9月4日
更新日:2024年9月4日
2024年引っ越しシーズンの賃貸住宅市場・最新ニーズは?ユーザー賃料予算の増額傾向と供給の偏りが鮮明に1

人の動きがすっかり戻った2024年の引越しシーズン。賃貸仲介会社から見たマーケット動向はどのようなものだったのでしょうか。リーシング・マネジメント・コンサルティング(株)の調査結果から前回調査時と変化した点や気になるトピックを抜粋してご紹介します。

仲介会社の営業体制|オンライン内見・IT重説が定着

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同調査は⾸都圏1都3県の賃貸不動産仲介担当者を対象にしたものです。同様の調査を年に2回程度行っており、今回が第9回目となります。

集客ツールとしては、複数回答で8割がSUUMO、7割程度が自社ホームページ、約半分がアットホーム、ホームズを利用。SNS利用は1割程度で、前回調査時(2024年1月)からの大きな変化は見られませんでした。反響についてもポータルサイトと自社ホームページが上位となっています。約半数の担当者がポータルサイトは毎日更新していると回答しています。

平均案内物件数は「3物件」が57.1%と最も多いですが、カップル、夫婦、ファミリーと⼊居⼈数が増えていくと「4物件」「5物件以上」が増加する傾向があります。

オンライン内見は「1〜2割程度」「3〜4割程度」「5割以上」の回答が合計で過半数。前回調査時とほとんど変化がなく、⼀定数定着しているものの、増減は特にありません。オンライン内見への店舗の姿勢は「推進している」という人が60.7%と多数派ですが、「抑制している」という人が18.6%、「全く行っていない」という回答も20.6%ありました。

IT重説については「3〜4割程度」の回答が前回の26.7%から32.2%と増加した一方で「1割にも満たない」は23.3%から18.1%に減少。IT重説による契約が増えていることがわかります。

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ユーザー動向【来店】|賃料予算アップが3割程度に

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日々、現場に立っている仲介担当者から見たエンドユーザーの動向はどうだったのでしょうか。まず問い合わせ数の変化については全体で「増加」が49.8%と約半数ですが、「変わらない」も42.6%。ユーザー属性別では「外国籍」の「増加」が54.0%と最も多くなっています。

来店に関しては、コロナ禍ではほとんどの店舗が予約制を採っていましたが、2022年以降は飛び込み来店者の増加傾向が続いています。特に都心5区(中央区・千代⽥区・港区・渋⾕区・新宿区)を除く23区では⾶び込み来店客の増加が39.5%と顕著でした。

来店属性は店舗によって違うものの、全体の平均は「単⾝」50%程度、「ディンクス」30%程度、「ファミリー」20%程度。来店客予算については「上がっている」との回答が30.2%で、「下がっている」10.7%を上回る結果に。家賃相場の上昇に伴い、予算を上げるエンドユーザーが増えています。

予算の上がり幅は、単⾝が5,000円〜10,000円程度、ディンクスが10,000円程度、ファミリー10,000円〜20,000円程度との回答が多くなっています。

ユーザー動向【条件】|広さ・駅距離を重視する傾向

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次に、エンドユーザーのニーズについて見てみましょう。テレワークを想定したお部屋探しはいずれのエリアも「1〜2割程度」と答えた人が最も多く、「3〜4割程度」が続きます。テレワークが一定数根付いていると考えていいでしょう。

希望専有面積は前回調査時と大きな変化はなく、単⾝は「25㎡〜29㎡」、カップルと夫婦は「40㎡〜44㎡」、ファミリーは「60㎡以上」が最も多くの割合を占めています。

間取りについては、単⾝は1K、カップルでは1LDKが最多という点は前回と同じですが、夫婦が2LDK(前回52.3%→今回63.3%)、ファミリーが3LDK(前回46.1%→今回59.0%)を希望する割合が増加。より広い間取りを求めるニーズの変化が⾒られました。

駅距離に対するニーズは「変わらない」という回答が過半数。しかし「駅距離が近い物件が好まれるようになった」31.1%が「駅距離が遠いことはあまり気にしなくなった」という11.1%を上回っており、駅距離重視の傾向があります。

需要が⾼い専有部設備は「独⽴洗⾯台」「バス・トイレ別」「インターネット環境」が前回に引き続き上位でした。これらに「浴室乾燥機」「部屋の広さ」「防音性の高さ」が続いています。

管理会社に求めること|提供ツールへの不満が多数

エンドユーザーに物件を紹介するにあたっては、元付会社(管理会社)の存在が重要になります。元付会社(管理会社)に提供してほしい営業ツールは「物件写真」が43.6%で最多。「物件動画」「物件の周辺環境マップ」「物件パンフレット」が10%台で続きます。

「特にない」という回答が0.4%と、現状の提供ツールに満⾜していない仲介会社がほとんどであることが分かりました。その他に、元付会社には内⾒予約や物件情報をWEB化してほしいとの声が多く挙がっています。

間取供給状況|23区で3DK以上の供給不足が7割超え

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最後に賃貸物件の供給状況についてですが、都心5区(中央区・千代⽥区・港区・渋⾕区・新宿区)とそれ以外の東京23区について、ファミリータイプ物件の不足が顕著になっています。

1R・1Kについては「需給のバランスが取れている」がいずれも最多で4〜5割程度。「需要を供給が上回っている(募集が多い)」が3割程度と、やや供給過多気味ともいえます。

しかし都⼼5区を除く東京23区では1DK・1LDK以上から、都⼼5区では2DK・2LDK以上から「供給を需要が上回っている(募集が少ない)」が「バランスが取れている」を上回ります。

この傾向は間取りが広くなると進み、3DK・3LDKでは都⼼5区で61.8%、都⼼5区を除く東京23区では74.4%が「供給を需要が上回っている(募集が少ない)」に。ベッドが2つ以上ある広い間取りの供給不足が明らかになりました。

まとめ

同調査では、賃料上昇に伴い予算を上げて部屋探しをするエンドユーザーが増えていることが分かりました。しかし、より広い間取りを求める傾向もあり、さらに広い間取りの供給不足も顕著に表れています。

今後はファミリー層を中心に、家賃と広さのニーズを満たす郊外までエリアを広げて部屋探しする人が増えたり、いわゆる穴場駅でのニーズが高まったりするかもしれません。引き続き動向を注視しましょう。

※この記事は2024年9月3日時点の情報をもとに作成しています

記事・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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