入居トラブル防止! 外国人入居者を迎えるオーナーが注意すべきこと

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公開日:2019年6月4日
更新日:2019年10月8日
入居トラブル防止! 外国人入居者を迎えるオーナーが注意すべきこと1

今後、外国人入居者の受け入れは当然のこととなるだろう。入居に際して注意すべき点について、これまで10万件以上の外国人入居のサポート実績がある専門企業の方にアドイスをもらった。

入居トラブル防止! 外国人入居者を迎えるオーナーが注意すべきこと2

【監修】株式会社グローバルトラストネットワークス大阪支店長・前田靖志さん(右)と営業部マネージャー・尾㟢幸男さん(左)同社は外国人専門の家賃保証を中心に、生活サポートや住まい探しなど、総合支援サービスを提供している。

外国人受け入れのためにまずやるべきこと

言葉の壁、生活習慣の違いなどから、外国人入居者を敬遠しているオーナーも多いだろう。「正しい知識やノウハウを知れば、そんなに難しくありません」と応援メッセージを発する前田さん。

外国人受け入れを考える場合、まずはマーケティングを行おう。所有物件の周辺に日本語学校や大学、外国人を採用している企業や店舗があるかを調べる。不動産会社へのヒアリングもおすすめだ。

ニーズが見込めるなら、仲介会社管理会社の対応力を確認して「外国人OK」であると伝えよう。「入居者が一人でも決まれば、口コミで続々と契約が決まることがこのビジネスの特徴。外国人は出身国者同士のコミュニティが密で『あの物件はいい』『あのオーナーは外国人に優しい』という情報が広がりやすいのです」と尾㟢さん。まずは一部屋から始め、慣れてきたら増やすとよいだろう。

今後増える! 「技能実習」「特定技能」外国人の住まい探しについて

人材育成が目的の「技能実習」制度に比べ、労働力の担い手として期待される「特定技能」制度。前者は受け入れ企業が住宅の確保を義務付けられ、賃貸住宅オーナーと法人契約するケースが多かったが、後者は企業に対して住宅確保の支援が求められており、外国人とオーナーとの直接契約も増えると予想されている。どちらも家賃滞納リスクが低いのがメリット。

トラブル対応で大事なのは対処法だけではなく予防策

具体的に入居希望者への対応のポイントを紹介しよう。まずは入居審査に関して。在留カードの有無を確認し、入国管理局のホームページ内で番号を照会すれば、日本在留資格があるか、在留期限がいつまでかがわかる。在留期限がわずかなら、有効期限を更新するかも確認したい。また経済事情や親からの仕送り状況をしっかりチェックすることも大切だ。

保証人に関しては、必要のない国も多いため、必要性をきちんと説明して理解を得よう。日本人に連帯保証人になってもらうことは現実的に厳しいので、一般的に保証会社を利用するケースが多い。

契約書は外国語表記の必要はなく、日本の書式に則って日本語で作成して良い。押印はサインでも可。ただし、内容を十分に説明することが重要だ。退去にあたっては、通常1カ月前の退去通告と書面提出が必要で、敷金の精算があることも伝えよう。

また入居中にトラブルになりやすい事項を下にまとめた。トラブルを起こさないようにするには、事前の説明を徹底して未然に防ぐことが一番重要だ。

「敷金・礼金などは、日本独自の商慣習。またルールを守らないのは、日本のルールを知らないからです。生活習慣の違いを丁寧に説明して、理解してもらった上で契約してください。入居後も、入居状況や解約の意思を定期的に確認するなど、コミュニケーションをとるのがおすすめです。無断帰国をしないことも繰り返し伝えてください」(前田さん)

事前の説明と入居者の理解が肝心! 起こりやすいトラブルと予防法

日本のルールは外国人には理解しづらいので、事前の説明で納得してもらうことが大事。意図的にトラブルを起こす外国人はいない。トラブルが起こる理由と予防法を紹介しよう。

ゴミ出しトラブル? 分別する習慣がないので注意

日本ほどゴミの分別に厳しい国はほとんどない。だから、なぜ分別が必要なのかを理解してもらうのは非常に困難。多くの自治体でゴミ出しルールの翻訳資料を用意し、ホームページで紹介しているので、活用しながら理解を促したい。

生活騒音の問題! 文化や生活習慣の違いの説明が必要

日本人が騒音だと感じても、外国人は騒音だと思っていないケースがある。また頻繁に友人が出入りしてパーティーをしたり、話し声が大きいなどの騒音問題も、日本のマナーを知らないことが原因。日本の集合住宅では静かに生活することが一般的であり、場合によっては契約違反となることも伝えよう。

前家賃文化がない外国人! 家賃滞納も

日本では家賃の入金は前月末までが常識だが、海外では当月中に入金すれば大丈夫という国が多いので、月初には必ず入金確認を行おう。夫婦別姓の国では入居者と親の姓が違う場合もあるので振込者も把握を。初期費用と家賃の振込口座を管理会社・オーナーで分けている場合も間違われやすく、注意が必要。

契約以外の同居? 強い権利意識や理解不足も

契約者の権利意識が強く「家賃を払っているのだから使い方は自由」と考えたり、契約内容への理解不足がトラブルの原因。家賃分担のために友人を住まわせたり、退去するからと又貸しするケースもある。対応策は同居人の確認と退去ルールの理解を徹底すること。在留カードの顔写真を撮影して保存し、時々訪問するのも手。声かけでルール違反を抑える効果も期待できる。

原状回復の概念自体が理解できないことも

海外では入居者が住まいの改修を自由に行えることが多い。そして退去時には改修部分を元に戻す必要がなく、家具・家電も置いたままでいい。次の入居者(またはオーナー)が必要な修繕や不要物の撤去を行うのが一般的。つまり、原状回復や経年劣化という概念がないので、日本独特のルールをきちんと理解・納得してもらうことが大事だ。敷金精算についても説明しよう。

日本を幸せな国にする意義深いビジネス

以上のように外国人入居者には日本独自の賃貸契約の仕組みと生活ルールを理解してもらう必要がある。気になるコミュニケーションの壁は?

「最近は日本語を話せる外国人が増えています。またスマートフォンで入手できる翻訳ツールを活用して、ある程度の意志の疎通は可能です。おすすめなのは、日本語が理解できる入居者の友人に同席してもらうことです」(尾㟢さん)

「外国人は日本が好きで、夢を持って日本に来ます。これからの日本を支えてくれる彼らが幸福になるなら日本も幸福になる。ぜひそんな良い関係を築くお手伝いをしていただきたいです」(前田さん)

※この記事内のデータ、数値などに関しては2019年6月4日時点の情報です。

取材・文/本多 智裕 イラスト/奈良恵(asterisk-agency)

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