2019年度「税制改正」と、知っておきたい「インボイス方式」
- 税理士
登録しないと消費税分が減収になる大家さんも!?

一方で、大家さんのうち、課税対象の店舗・倉庫・月極駐車場などの賃料収入、太陽光発電の売電収入のある方に大きく影響を及ぼすのが、2023年から導入が予定されている「インボイス方式(適格請求書等保存方式)」です(※)。
この制度は、2019年10月の消費増税と合わせて導入される予定の「軽減税率制度」に対応するために導入されます。また、免税事業者が消費税を受け取っても国に納付する必要がなく、益税となってしまっていた問題を解決する効果も期待されています。
従来売上が1000万円未満の場合は、課税売上があっても免税事業者の扱いでした。しかしこの方式の下では、大家さんが課税事業者として税務署に登録し「適格請求書発行事業者」にならないと、今まで受け取ってきた消費税分の金額を受け取ることができなくなる可能性が高いのです。
なお、住宅貸付の賃料収入のみの大家さんは今後も免税事業者であることに変わりはありません。新方式が導入されても、影響はありませんのでご安心ください。
しかし、課税対象の賃料収入、例えば倉庫を月77万円、年924万円(税込)で貸している場合、大家さんが免税事業者のままだと適格請求書を発行できず、倉庫の借主である事業者から家賃の消費税額を受け取ることができなくなります。同じように、太陽光発電の売電収入についても、現在は電力会社から消費税分も込みで支払われていますが、発電先(大家さん)が適格請求書発行事業者でなければ消費税分は受け取れず、減収となってしまいます。
適格請求書発行事業者になるには登録申請書を所轄税務署に提出する必要があります。対象となる大家さんは税理士等と相談して、今後の対応を検討してください。
※適格請求書:売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための書類
※この記事内のデータ、数値などに関しては2019年6月4日時点の情報です。
イラスト/福々 ちえ