子世代大家さん座談会 親世代からの引き継ぎで 失敗したこと・良かったこと【後編】
- オーナー事例



座談会に参加していただいた3名のオーナー(左:越水さん、右上:水谷さん、右下:野口さん)
2019年3月に公開した記事『子世代大家さん座談会』のノーカット版。子世代大家ならではの相続あるある話や苦労話など。世代交代が進みつつある大家業で今、活躍している二代目・三代目大家さんに、どのように事業を引き継いできたのか、次の世代にどう引き継いでいくか、経験や思いを話し合っていただいた。〈後編〉では「次世代への引継ぎ」や実体験から感じた「スムーズに引き継ぐためのポイント」などをご紹介しよう。
参加者プロフィール

管理物件:遠隔地にある親名義の不動産(駐車場、店舗、レジデンスなど)18 件を委託管理。自己所有も2 棟あり

管理物件:3棟25室、駐車場4ヶ所を、自社で管理。不動産仲介管理会社アクトプロパティ(株)代表。39 歳
引き継ぎはタイミングとコミュニケーションが大事
――早めに引き継ぎの準備をしておけばよかったと思いますか。
水谷:早くスタートするのに越したことはないかもしれませんが、タイミングが来ないと空回りしちゃうと思います。
「いずれここはあなたのものになる」とずっと言われていましたが、真面目に受け取っていませんでしたから。今がそのタイミングと開き直るしかないですね。
――ご自身が次の代に引き継ぐときは、どういう風にしたいですか。
野口:早いうちから触れさせて、経験を積ませるのは必要だと思います。ただ、無理やり「あれをやれ、これをやれ」といって逃げられても困る。何となく双方がうまく歩み寄れたときがベストな感じなのでは?
親が「こいつに任せても大丈夫だな」と思い、子のほうも「親に認めてもらった」と感じたとき、そのタイミングがうまく合ったときが一番良いと、個人的には思います。
――子どもが引き継ぐ意識になるのを待つというか。
野口:本人の特性や向き不向きがありますからね。子どもが不自由しないで過ごせるように資産を残したいとは思いますが、不動産が重荷になる子もいるかもしれませんし、かといってキャッシュだと何も考えないで使っちゃうかもしれない。でも、何かしらの形で自分がいただいたモノは次の世代につなげていってあげたいと思っています。
越水:野口さんが言った「つないでいかないといけない」という考え方、いいですね。うちの地元でも「子に任せると嫌がるから、不動産は先に売ってから現金で渡す」という人がすごく多い。でも、私たち手放さない努力をしないといけないと思います。

――無理に継がせようとせず、どうすれば「引き継ぎたい」と思ってくれるようになりますか。
越水:ポジティブに継がせるための作戦はやったほうがいいと思います。うちは5歳の息子と2歳の娘がいるけれども、空室が出ると必ず部屋に入れて「お客さんが決まりますように」とお祈りをさせるんです。入居者が付いたら「決まったぞ」と教えてあげる。「誰? どんな人?」って興味が湧くでしょう。
水谷:すごい、英才教育! 賃貸経営に参加させちゃうんですね。
越水:そう。「お前たちのおかげだよ、今日は好きなもの食べていいよ」「あの部屋から家賃が10万円入るからね」と数字も含めてリアルな話もしちゃう。
――5歳のお子さんに理解できるんですか!?
越水:意味はわからなくても、褒められたという喜びは教えられるでしょう。「僕たちがやったことで、お父さんが何か喜んでる」と感じてくれていると思う。部屋の修理やリフォームにも連れて行くんですけど、以前は面倒だと嫌がっていたのに、最近は自分から「行く」って言い始めています。「どんな部屋になるの?」と目を輝かせて。
――大人になったら楽しみですね。
越水:何も意識づけしないまま20歳ぐらいになって、「お前、就職どうするんだ」とか「黙ってオレの隣で見てろ」なんて言っても、他にやりたいことがあったら「嫌だ」って言うでしょう。最初から段階を踏んでおけば、「就職どうするの?」って聞いたときに、子どものほうから「家の仕事をやろうと思ってたよ」って言ってくれるんじゃないかな。
そこで「1回、外に出てきな。うちの仕事に関係することでもいいし、自由に好きなことやればいい」と一旦突き放す。実は「好きなこと」といっても、今まで20何年間育ててきた環境がリミッターになるんです。「自由にやれ」とは言っても、関連した仕事に付くように自然に持って行ければ。そのために「お父さんがやっている賃貸管理という仕事はすごく楽しいよ」ということを今のうちから植え付けたいと思っています。