【実録!大家さんに聞きました】LINEで大幅に効率アップ! AI時代の賢い賃貸自主管理とは?

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公開日:2025年3月13日
更新日:2025年3月25日
【実録!大家さんに聞きました】LINEで大幅に効率アップ! AI時代の賢い賃貸自主管理とは?1

LINE公式アカウントをフル活用し、賃貸管理業務の大幅な効率化に成功されたがんばる家主の会会員の原さん。今回は賃貸管理におけるLINEの具体的な活用方法と導入効果についてお伺いしました。自主管理をしているオーナーは必読です。

お話しを伺いました。
【実録!大家さんに聞きました】LINEで大幅に効率アップ! AI時代の賢い賃貸自主管理とは?2

原 健司(はら・けんじ)さん
1968年生まれ、兵庫県尼崎市出身。賃貸不動産経営管理士、宅建士、2級FP技能士(AFP)の有資格者。「がんばる家主の会」では講師としても活躍中。

自主管理をデジタルツール・アプリの活用で効率化

祖父の代から借家を所有しており、大家業を引き継ぐのは当たり前という環境で育ってこられた原さん。会社勤務を経た後、お父様の事業を手伝いながら賃貸経営に携わってきましたが、お父様の廃業を機に2006年から専業大家になりました。

現在、兵庫県尼崎市で築古物件から築浅物件まで、お父様名義の物件も含めて4棟40戸を所有し、自主管理をしています。

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1987年築・全6戸のサンメゾン立花(左)と同じ敷地内に建つ1996年築・全8戸のメゾンドール立花(右)

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1988年築・全6戸のサンメゾン難波(左)と文化住宅を建て替えた2023年築・全20戸のグラッドメゾン立花(右)

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自作した物件前の花壇(左)と防犯カメラのカバー(右)

退去が発生した際には、得意のDIYで自ら原状回復。物件前の花壇をご自身で造ったり、設置当時はまだ耐久性の低かった防犯カメラを風雨から守るためにカバーを自作したりと、精力的に対応し続けています。

また、もともとデジタルツールへの強い関心・豊富な知識をお持ちだったこともあり、物件の質を向上させるためにフル活用。

例えば、防犯カメラはニーズが高まるよりも早いタイミングで各物件に自ら選定した機種を導入。古くなった文化住宅を建て替えて2023年に竣工した全20戸のグラッドメゾン立花には、それぞれの設置場所に適した防犯カメラを4台設置しました(下写真)。スマートフォンから遠隔で操作することができ、どこにいても映像を確認できるような状態にしています。

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グラッドメゾン立花に設置された2台の防犯カメラとカメラからの映像。画質も音も良く、映像のタイムラグもほぼありませんでした

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また、グラッドメゾン立花には遠隔操作ができるオートロック装置を自ら導入(左写真)。設備点検などで業者が出入りする際にも、現地に行かずに開錠できるようになっており、管理にかかる負担を軽減しています。

入居時に渡す資料も紙を削減。入居のしおりやマナー注意のお知らせ、設備の使い方などの資料をWEBクラウドにアップして二次元コードを発行し、A4サイズの紙にまとめています。

【実録!大家さんに聞きました】LINEで大幅に効率アップ! AI時代の賢い賃貸自主管理とは?2

もともとは分厚い紙を渡していたところで紙の削減になったことに加え、入居者も何かあったときに解決策を調べやすくなり、入居満足度の向上にもつながっています。

様々な方法で管理効率を高めてきた原さんが、2022年から導入しているのが「LINE公式アカウント」です。どのように活用しているのか、具体的な方法などを伺いました。

「LINE公式アカウント」とは

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「LINE公式アカウント」は、企業や店舗が顧客と直接つながることができるコミュニケーションツールです。

友だち追加したユーザーに対して、メッセージ配信やクーポン発行、チャット対応、リッチメニューの設置などができます。自動応答やステップ配信を活用すれば、効率的に情報提供や販促も可能。アンケートやショップカード機能もあり、顧客との関係を深めるのに役立ちます。簡単に運用できるため、幅広い業種で活用されています。

自主管理に便利な機能が多い「LINE公式アカウント」

——–賃貸管理にLINE公式アカウントを導入された経緯を教えてください。

原さん もともとショートメールでの入居者とのやりとりに不便さを感じていたため、積極的には使用せず、より良いツールの導入を検討しておりました。多くの方が使っているLINEの方が効率良く・もれなく連絡が取り合えるのではないかと考えていました。

【実録!大家さんに聞きました】LINEで大幅に効率アップ! AI時代の賢い賃貸自主管理とは?2

そんなときにある店舗がLINE公式アカウントを導入していることを知り、賃貸管理でも使えるのでは、と思い、早速行動に移しました。

日常で使用している個人LINEを使った場合、ご入居者は大家の私とつながることに抵抗を感じられる方が多いですし、自分にとってもプライベートと仕事の連絡が同じLINEに混在してしまうなど、入居者管理においては不便な部分も少なくありませんでした。

その点、LINE公式アカウントを使えば、企業などが販促用に使っているアカウントと同じ見え方になるので、まずは友だちに追加してもらうハードルが下がります。

また、メッセージを送ることができる点は個人LINEと同様ですが、LINE公式アカウントであれば多くの機能が備わっているので、とても便利です。

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原さんの物件のLINE公式アカウントトーク画面。すっきりとしたメニューでわかりやすい

まず、公式アカウントであれば画面ボタンのカスタマイズができるんです。私はシンプルに、「入居のしおり」、「不具合箇所のフォーム(Googleフォームに遷移)」、「通話リクエスト」の3つのボタンを設置しています。

これによって、ご入居者はいつでも必要な情報にアクセスでき、不具合箇所の連絡や訪問希望日時を入力することもできるのでとても便利です。

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LINE公式アカウントのメニューに紐づけているGoogleフォームの画面。問い合わせ履歴がそのまま残るので管理もしやすい

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実際のトーク画面

また、オーナー(原さん)側では未返信・未対応など、進捗状況を連絡ごとに振り分けられるので対応漏れもありません。正確な情報を把握しやすくなりました。

———–そんなところまで対応できるんですね!入居者側にはどのように登録を案内しているんですか?

原さん まずは新築物件が完成したときに、すべての物件のご入居者にアカウントの友だち追加をお願いしました。

その後、他の物件でも年2回の更新時にご入居者にQRコードを配布して、私のアカウントを追加してもらっています。ご入居者のLINEアカウント名がニックネームだった場合は、最初のメッセージで確認し、私のアカウント上では名前を号室と氏名に変更して登録しています。

原さんおすすめ!LINE公式アカウントの便利な機能

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実際の管理画面

●自動応答機能

自動応答機能で対応時間を設定できます。私は朝8時から夕方6時半まではリアルに応答していますが、原則として夜間・日祝は自動応答にしています。ご入居者から受け取ったメッセージに含まれるキーワードに対して、あらかじめ設定したメッセージを自動返信することができるので、返事をお待たせすることがありません。

万一のときには通話リクエストのボタンを押してもらえば、ビデオ通話ができるので、緊急時も滞りなく対応できています。

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実際の管理画面

●タグ付けと一斉配信

友だちが20人以上になれば、友だちごとにタグを付けて、特定のタグで一斉配信できる機能があります。

私はご入居者に物件別のタグを付けて、工事のお知らせや年末年始のゴミの案内などを一斉配信しています。こうすれば、1人1人に送信する手間が省けますし、既読・未読も確認できるので、対応漏れも防げます。

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●ノート機能

チャットで得られた情報をメモとして記録できるノート機能を利用しています。自分しか見られないノートなので、例えば火災保険番号などご入居者の情報を都度書きとめています。これによって個別の管理がしやすくなりました。

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●PDF送信機能

PDFファイルの送信も簡単にできます。ゴミ出し日の案内など、送信したいPDFファイルを選んで送信ボタンをクリックするだけです。ご入居者側も確認がしやすくなるので、便利に活用しています。

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トラブル時もメッセージで状況が確認できるので入居者満足度もアップ!

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不具合発生時の入居者とのトーク画面

———LINE公式アカウント導入後の効果はいかがでしたか。

原さん 連絡のハードルがグンと下がりましたね。また、設備のトラブル時などはご入居者から写真付きでメッセージが気軽に届くようになり、何かあったときに物件まで部屋を見に行かなくても状況が確認できるケースが増えて、管理の負担がかなり減りました。

例えば、上下階の騒音が発生した場合も音声を送ってくださるので、客観的に度合いを判断できるようになりました。また、火災保険の更新確認も領収書を送ってもらえばそれで済むなど、様々な場面で役立っています。

——–LINE公式アカウントの作り方を教えてください。

原さん 私が推奨するのは、LINEビジネスにアクセスして作成する方法です。パソコンもしくはスマートフォンからLINEビジネスのサイトにアクセスし、「LINE公式アカウントをはじめる」のボタンを押して、LINEビジネスIDを登録します。

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LINE公式アカウントの作成は無料で、1つのIDで100個のアカウントを作成できます。私の場合は、1つのIDで「業者」、「勉強会」、「仲介会社」、「入居者向け」とサンプル用、合計5つのアカウントを作成しています。

注意点もお伝えしておくと、最近の改正でタグの数が減り、無料で対応できる範囲が少なくなってきています。現時点では無料で十分使えますが、将来的には有料になる可能性があります。

入居者へのお知らせ文は対話型AIサービスで作成

——-賃貸管理に対話型AIサービスも活用されているんですね。

原さん 駐輪所の利用申込書を作成する際などにChatGPTを活用しています。

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原さんがChatGPTに駐輪所利用申込書の作成を依頼した際の文面

原さん 物件内で告知をしなければいけないときに、以前は「ご入居者にうまくお伝えするにはどんな表現にすればいいのか」と文章作成に頭を抱えていましたが、ChatGPTが適切な文章を難なく作成してくれるのでとても助かります。

現在はソフトバンクユーザーが有料 プランを1年間無料 で使えるPerplexity(パープレキシティ)をよく使っています。

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原さんのスマートフォンにインストールされている各種AIサービス。右はMicrosoftが提供するAIサービス「Copilot(コパイロット)」アプリのトップ画面

ちなみに今、私が同業仲間におすすめしているのは、MicrosoftのCopilot(コパイロット)。こちらも無料で使えます。こうしたAIサービスのおかげで、文章作成が苦手な私でも簡単に適切な文面が作成できるようになり、大変助かっています。

その他にも、最近では初心者でも簡単にプロ並みのデザインを作成できるツール「Canva(キャンバ)」を活用しています。無料で使えますし、操作も簡単でテンプレートも豊富なので、物件に貼り出すポスターなどを作成するのにとても便利です。

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原さんがCanvaを活用して作成した注意喚起のポスターと入居のしおり

——–今後の賃貸管理についてお考えのことをお聞かせください。

原さん 所有物件のことを一番よく知っているのはオーナー自身ですから、ご入居者に直接対応する自主管理が最良だと私は感じています。

SNSやAIなど便利なITツールを今後も積極的に活用しながら、ご入居者にメリットが提供できて、自分自身の負担も少なくなる管理を続けていきたいですね。次の目標はデジタル化です。内覧時にQRコードを使って家具の配置イメージをお伝えするなど、さらに便利なサービスを提供していきたいと思います。

ハードルが高いと感じられる方も多いとは思いますが、やってみると意外と簡単な部分も多いので、この記事を読んでいただいた方もぜひ一度試してみてほしいですね。

まとめ

この記事だけではよくわからない部分も多いかと思いますので、原さんが公開している案内用のYouTube動画もぜひ参考にしてみてください。

自主管理をしている方は、LINEやAIサービスを上手に使って管理業務の効率化を図り、入居者にも喜ばれる連絡環境を作ってみてはいかがでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2025年1月17日時点の情報です。

取材・文/藤谷 スミカ 撮影/水野 浩志

ライタープロフィール
藤谷 スミカ(ふじたに・すみか)
同志社大学文学部英文学科卒。広告制作プロダクション、情報誌出版社を経て、フリーランスのコピーライターとして30余年。ハウスメーカーの実例取材記事、注文住宅、リフォーム、土地活用に関する情報誌の記事、企業PR誌の著名人インタビュー記事、対談記事、企業単行本の執筆等を手がける。

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