【空室解消の秘訣】外国人・高齢者・ペット可は怖くない
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Part3 ペット
ペット可物件専門の仲介会社、ペット賃貸カンパニー・代表取締役。フレンチブルドッグ2匹を飼う動物好きで、中野坂上駅前店はペットを連れて出勤する
ペット可への転換は事前の段取りが大事
分譲マンションはペット可が当たり前になっているが、賃貸住宅は今もニッチな分野といえる。「原状回復のコストがかさむことを嫌がるオーナーが多い」からだ。しかし、ニーズは高いのも確かだろう。
ペットを飼える賃貸物件のなかで、初めからペットと暮らすための環境を整えている『ペット共生型住宅』は、ここでは除外する。
空室対策を考えるのは、もともとペット不可だったが、老朽化などの理由で部屋が埋まらなくなってきたので、後からペット可にする場合、「やり方を間違えるとトラブルになります。部屋が埋まらないからと、既存入居者に知らせずに変えてしまうと、入居者からクレームが来たり、退去を誘発する可能性があります」と込山さんは指摘する。
重要なのはペット可に切り替える段取りである。まず、実施前に「既存入居者の意向を確認するアンケート」「事前告知・アナウンス」をすることが大切。反対者がいる場合は、離れた空室から実施する方法もある。
募集時は、通常の入居者審査の他に「ペット審査」を行う。頭数、種類やサイズ、予防接種の有無などを確認。「ペット飼育誓約書」を取り交わす。こうした手続きをきちんと踏むことが、後々のトラブル防止につながるわけだ。
1)ペット飼育申請書
入居者審査と併せてペットの審査を行うための申請書。条件に合うペットか、混合ワクチンの接種や避妊・去勢の有無 などをチェックし、注意点を確認できる
2)犬・猫ペット飼育誓約書
ペットの写真を添付し、しつけの状態、散歩や手入れの頻度などについて再確認。「原状回復費用の負担」「問題行動が出た場合の対処」などについて合意する
さらに!安心したい人は特約をつけるのもおすすめ
例:ペットの習性、本能等を理解するとともに飼い主としての責任を自覚し、ペットのしつけを行うこと等により、飼育するペットとの適正な共生を図ること
メゾネット(2層式)の上の部分だけをペット仕様にリフォームし、原状回復費用を抑制することに成功。猫限定で多頭飼も可にし、2匹目以降はプラス2000円に設定、すぐに埋まった
通常のリフォーム費用+1割でペット可にできる
ペット可への変更が向いているのは、老朽化してリフォームを検討している物件だろう。
「単純な設備更新、壁紙の貼り替えで終わらせず、通常のリフォーム費用にプラス1割くらいで“ペット可”にリノベーションできます。フローリングの床にすべらないコーディングをする、腰壁の部分だけ傷付きにくいクロスにするなど。補修費として単年度償却も可能です。ただ、ペット可にしたからといって家賃を上げられるわけではありません。何もしなければ値下げせざるをえないのを現状維持に留めるというイメージでしょう」(込山さん)
他のカテゴリーと同様、まずは1室からトライするのもいい。
「ほかにも、1年間の定期借家契約にして、問題がなければ再契約する方法。上の事例でご紹介しているような、猫限定での受け入れ可にするなど、さまざまなやり方があります」(込山さん)
現在は、ペット可に転換するオーナーはまだ多くない。逆にいえば、それだけ希少性が高くなる。このタイミングで、他に先駆けてアプローチしてノウハウを蓄積すれば競争力を高められるはずだ。
- 近くに広い公園がある (ドッグランがあるとなお可)
- 近くに動物病院がある
- 歩道が広い(散歩がしやすい)
- メゾネットタイプの部屋を所有している (上の部分だけをペット可に するやり方もある)
- オーナーが動物が好き
※この記事内のデータ、数値などに関しては2016年9月6日時点の情報です。
取材・文/木村元紀 人物撮影/青木茂也