【空室解消の秘訣】外国人・高齢者・ペット可は怖くない
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Part2 高齢者
不動産会社勤務を経て、2015年に65歳以上からのお部屋探しサイト「R65 不動産」を開始。法人化し、高齢者専門の賃貸物件の仲介・管理を行う。新宿区・杉並区の高齢者見守り事業機関に認定
孤独死によるリスクは保険や事前対策で防止できる
70〜80歳を過ぎても元気なシニアは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームのような「老人ばかりの場所には住みたくない」というニーズが高い。つまり、通常の賃貸住宅を求めているのだが、図表1・2にもあったように高齢者世帯の入居に抵抗感が強いオーナーは少なくない。
「仲介会社も、連帯保証人を付けられない場合が多いので避けています。高齢者でも契約可能な保証会社があること、行政サービスに高齢者支援制度があるらしいとわかっていても、組み合わせを考え、手続きするのが面倒なのか、扱いたがらない会社が多いですね」と山本さん。
近年問題になっている“孤立死”が長期間放置され事故物件になることを恐れるオーナーも多い。
「実は、厚生労働省の発表によると、病院で亡くなる人が8割という結果が出ています。自殺や犯罪死以外の理由で自宅で亡くなり、たまたま発見が遅れたら事故物件となってしまうのか。事故物件の定義が曖昧です。なかには、事故後1週間見つからなかった場合は、家賃を半額にしている不動産会社もあります。仮に月10万円として半額なら5万円、2年間で120万円の損失。これくらいなら、最近新しく出てきた損害保険の家賃補償特約などでカバーできる範囲です。また、審査の際に身体の健康状態を確認し、民間企業の孤立死防止の見守り対策を行えば、それほど恐れることはありません」(山本さん)
また、高齢者が入居すると補助金が出るなど、自治体ごとに高齢者向けの様々な助成制度が拡充され、オーナー負担の軽減につなげられる。
1)文京すまいるプロジェクト
不動産業界団体から推薦を受けた店舗を「文京区住まいの協力店」とし、高齢者等の入居を拒まない物件を紹介。オーナーには毎月の謝礼と設備状況に応じた加算額が出る
2)豊島区高齢者等の入居支援事業
高齢者等の身元保証人を代替する家賃等債務保証制度。民間保証会社に支払った保証料(家賃等の30%)のうち2分の1(上限1万円。収入基準あり)を助成する
3)高齢者住宅財団の家賃債務保証
高齢者などが賃貸住宅に入居する際の家賃債務保証制度。保証料は月額家賃の35%(2年間)。補償限度額は、滞納家賃が12ヵ月分、原状回復・訴訟費用は家賃の9ヵ月分
1) 孤独死対応保険(あいおいニッセイ&三井住友海上火災)
賃貸住宅対象の火災保険に追加する「家主費用特約」。死亡事故(孤独死・自殺・犯罪死)が起きた後の空室や家賃値引きなどによる家賃収入の損失、清掃・改装・遺品整理にかかる費用などを補償。火災事後による損失を補償する「家賃収入特約」とセットで契約が可能
2)家主ダイレクト(リコーリース・東京海上日動・Casa)
家賃前払い式集金代行付き保証サービスに「家主費用・利益保険」を自動付帯したもの。同保険は、孤独死などによる家賃損失(上限金額は500万円)、原状回復費用・事故対応費用・空室期間短縮費用(100万円限度)を補償する
長期安定入居の候補 手すり設置だけで高齢者可に
「高齢者は、低所得でも安定していますし、一度入居すると引っ越すのも大変なため、長期間になる傾向が強く、長期安定経営につながるともいえます。高齢者入居に興味があっても、依頼している管理会社に気がねして踏み切れないオーナーもいるかもしれません。その場合は、空室が出た時に、その部屋だけを試しに高齢者可にしてみるのもいいでしょう。自主管理の方は、その部屋だけを管理サポートすることも可能です」(山本さん)
部屋の条件としては、バリアフリーに越したことはないものの、必要な場所に手すりを付けるだけでも居住できる。原状回復の手間がかかると嫌がるオーナーもいるが、跡が残らない簡易なタイプもあり、介護保険の適用対象(入居者の1割負担)なので、オーナーの出費は不要だ。
まずはオーナーの心理的バリアを取るところから始めてみよう。
- 1階部分のみが空室(高齢者は段差が苦手なため)
- 階段や段差が少ない
- 病院が近い
- スーパーや、コンビニが近い
- バス停が近い(70 歳以上はシルバーパスを保有している)
- 公共施設が近い(図書館や区営プールなど)