特に単身者に有効な空室対策!家具付き・家電付き物件で空室を埋める
賃貸市場は繁忙期のまっただ中。それなのに空室が埋まらず、頭を抱えるオーナーにお教えしたい〝奥の手〞がコレ!単身者にニーズの高い「家具付き・家電付き」で魅力を高めて借り手の心を射止めよう。
単身者に人気の家具・家電付き、空室対策にどんなメリットがある?
空室が続く単身者向けの物件の打開策として「家具付き・家電付き」をおすすめしたい。家具・家電付き物件は単身者から人気が高い。特に学⽣からの支持があり、上京する新入生にとっては、荷物が減って引っ越し費用も節約できるので、家族の太鼓判もあり優先的に選ばれる傾向にあるという。
また、海外の賃貸住宅市場では家具・家電付きが多いことから、日本でゼロから生活を始める外国人にも喜ばれる。さらに、新社会⼈の住まいとして、企業に法⼈契約で借りてもらえる可能性も高い。
こうした高いニーズにも関わらず、部屋探しサイトで検索しても家具・家電付き物件の掲載はまだ少ない。たとえばSUUMOの部屋探しサイトで東京都新宿区の物件を検索したところ、「家具家電付き」は3万9146件中3304件、わずか8%だった(※2019年11月20日時点)。
単身者からの人気がある一方で、供給が追いついていない今だからこそ、入居者獲得の“狙い目”だ。
家具・家電を備えた部屋にすると、ホームステージング効果が得られる上に、部屋探しサイトで写真映えがするメリットも見逃せない。賃貸管理会社の(株)⻑栄によれば、家具・家電付き物件は通常の物件と比べて閲覧数が伸びるという。特に最近の借り手は、サイトで物件を絞り込んでから内⾒に向かうので、写真での第⼀印象の良さは、入居者獲得につながる大きなポイントになる。さらに、家賃アップが図れるのもうれしい。
家具・家電を購入する費用負担が発生するが、全て揃える必要はない。お財布と相談しながら、優先順位の高いものから導入しよう。予算的に厳しい場合は、家具レンタルプランがないか、管理会社に確認してみるとよいだろう。
家具・家電の有無でこんなに部屋の印象が変わる!
同じ部屋でも、家具や家電が置かれたほうの印象が良いのは明らか。生活のイメージも湧くので入居に繋がる。
何から導入すればいい? ステップ別おすすめアイテム
では、何から優先して導入すればいいだろうか。家具はデザインによって入居者の好みが分かれるので、まずは家電から入れることをおすすめしたい。人気のアイテムをステップ別に紹介しよう。
まず、〈スタート〉ともいえるのが「エアコン」だ。これはインフラともいえる必須設備。エアコンが無いと、部屋探しの候補にすら入らない可能性が高い。家具・家電の導入前に、全ての物件にあって当然だと認識してほしい。
最初の〈ステップ❶〉は、生活をする上で必要不可欠な「洗濯機」・「冷蔵庫」・「電⼦レンジ」。部屋探しをする人からの問い合わせ率が⾼い設備ランキングでも上位に入っている(※1)、注目度の高い家電だ。これらは、商品によってデザインや性能が大きく異なることも少ないので選びやすい。洗濯機と冷蔵庫は単身者用の容量の製品を選び、洗濯機は、室内に置けるようにしておくのが必須だ。
※1:スーモ調べ「募集効果を高める設備~世帯構成別比較~」より
オーナー世代には必須家電だと思われるであろう「テレビ」は、最近ではスマートフォンやパソコンで動画を閲覧できるため、テレビをそれほど必要としない入居者が増えていることや、NHK等の受信料負担を誰にするかなどの懸念事項もある。導入の際は、よく検討してからにしよう。
〈ステップ❷〉は余裕があれば、プラスアルファとしていれたい家電。「スティッククリーナー(掃除機)」・「炊飯器」・「電⼦ケトル」などを備えると、入居者にとって部屋の魅力度がかなりアップする。 特にスティッククリーナーは軽くて手軽に掃除ができ、収納場所を取らない。電⼦ケトルは、一人分の少量のお湯をすぐに沸かせるので、単⾝者から重宝される家電のひとつだ。
〈ステップ❸〉では上記の家電に加え、「照明」・「机・椅子」・「カーテン」などの家具も備えて、さらなるグレードアップを図りたい。カーテンは⼊居者が好みのものを選べるような特典付きにすると、より注目度が高まるだろう。
購入費は、使用可能期間が1年未満のもの、または1個あるいは1組の金額が10万円未満であれば、確定申告で消耗品費として単年度で処理できるのでお忘れなく。
購入先は、おトクに買える3つの方法(下図)がおすすめだ。
家具・家電を賢くおトクに買う3つの方法
①新生活セットでまとめて買う!
家電量販店では、年明けから新社会人や新入生向けに、必須家電を一式まとめた「新生活応援セット」を販売。この時期だけのチャンスなので、店舗に足を運んでチェックしよう。
②ネットでいつでも気軽に買う!
自宅にいながら気軽に購入できるネット通販は、アイリスオーヤマの公式通販サイト「アイリスプラザ」がおすすめ。洗濯機が2万円台で購入できるなど低コストで質の高い商品が目白押し。
③店舗で見て安心&一度に揃う!
「お、ねだん以上。」でおなじみのニトリは、家具・家電を取り揃えている。電子レンジが5000円~など家電もお手頃価格。同社のインテリアを使ったホームステージングサービスも話題。
お部屋探しサイトを確認! 導入後の管理もお忘れなく!
家具・家電付き物件にしたら、部屋探しサイトで検索条件にそれが設定されているかも要チェック。なお、部屋探しサイトによって「家具家電付き」で掲載できる条件は異なるので留意しておきたい。
SUUMO
「家電付き」の条件/主要家電(冷暖房器具、冷蔵庫、洗濯機、照明、テレビ、電⼦レンジ)から3点以上を装備(※2)。
「家具付き」の条件/主要家具(ダイニングテーブル・デスク、ベッド、椅⼦、カーテン、テレビ台)から2点以上を装備(※3)
※2・3:いずれも入居までに設置されていれば可。入居者が希望した場合のみ設置されるケースは除く
ライフルホームズ
特に条件は設けられていない。物件登録時に不動産会社が任意で家具・家電付きを選択する方式なので、各不動産会社に確認を。
最後に、忘れずに行ってほしいのが導入品の管理だ。「いつ・どの部屋に・何を備えたか」を、商品の製造年月や交換時期も含めてしっかり把握しておきたい。また、家具・家電はあくまでも物件の付帯設備なので、故障時の修理費用はオーナー負担となる。こうした導入リスクや管理の手間を避けたい場合は、家具・家電レンタルサービスを利⽤する方法もある。あるいは、家具・家電付きの賃貸住宅を専門に扱う仲介管理会社に委託してもよい。
長期の空室でお悩みの方は、ぜひこの繁忙期にトライしてみてはいかがだろう。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2019年12月11日時点のものです。
文/菱沼 晶 取材協力・写真提供/株式会社長栄