シェアモビリティが駅遠物件の救世主に?築古、1階でも満室を実現する空室対策のヒント

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公開日:2023年9月14日
更新日:2024年3月8日
シェアモビリティが駅遠物件の救世主に?築古、1階でも満室を実現する空室対策のヒント1

「築古」「駅遠」「1階」など、入居者から敬遠されがちな不人気条件でも、視点を変えることで空室を埋めることは十分可能です。なかなか入居者が決まらずに悩んでいる大家さんのために、ヒントとなる対策をご紹介します。

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90%以上の入居希望者が重視する「駅からの距離」。6割が10分以内希望

イタンジ(株)が首都圏の部屋探し経験者を対象に行った調査によると、部屋探しの際の駅からの距離を「かなり重要」と答えた人が43.6% 、「まあまあ重要」が49.5%で、合わせて90%以上の人が駅からの距離を重視していることがわかりました。

駅からの距離が遠く生活が不便だと感じた経験があるか質問したところ、「経験がある」と回答した人は60.3%で約6割。実際に、気に入った部屋を駅からの距離が遠いことを理由に借りるのを諦めた経験がある人は63.3%いました。

部屋探しサイトの検索条件で「駅からの徒歩距離」の設定は「10分以内」が35%と最も多く、それより短い距離も合わせると、約6割が駅徒歩10分以内で検索しています。

一方で「13分以上(1km以上)」を許容する人は24.1%ですが、電動キックボードや電動アシスト自転車などのシェアモビリティがある場合は36.2%に増加。シェアモビリティの有無が「駅からの徒歩距離」の許容範囲を広げることが分かりました。

シェアモビリティが駅遠物件の救世主に?築古、1階でも満室を実現する空室対策のヒント2

自転車は退去のときに残置物とされやすいこともあり、所有ではなくシェアすることは、入居者にとっても、大家さんにとっても良い選択といえます。駅から遠い物件をお持ちの大家さんは、導入を検討してみてもよいかもしれません。

外国人は「築古」でもそこまで気にしない

築古物件に費用をかけてリノベーションする余裕がない大家さんは、外国人に貸すことも検討に入れてみるのはいかがでしょうか。日本では、部屋探しで築年数を重視する人が多い傾向にありますが、外国人はそこまで気にしないことが多いのです。

シェアモビリティが駅遠物件の救世主に?築古、1階でも満室を実現する空室対策のヒント2

また、「一人暮らし物件でこだわる条件」のアンケートなどでよく上位にあがる「バス・トイレ別」についても、外国ではバス・トイレが同じスペースにある間取りが通常。外国人であれば、3点ユニットやシャワーのみの物件への抵抗も大きくない場合がほとんどです。

言葉や生活習慣の違いを不安に思う大家さんも多いかもしれませんが、国交省『外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン』には契約時に役立つ各種チェックシートや「入居申込書」、「重要事項説明書」などが14カ国語で用意されています。

これらの活用や、外国人の受け入れに実績のある管理会社に管理委託をすることで、トラブルも事前に防ぐことが可能です。

ペット可やDIY可も「築古」物件の空室対策に有効

博報堂生活総合研究所による「生活定点」調査によると、日本でペットを飼っている人の割合は2022年で38%。ほぼ4割近くの人がペットを飼っているにもかかわらず、賃貸の「ペット可物件」は全体の2割にもなりません。

ニーズに対して圧倒的に不足しているからこそ、入居条件を「ペット可」に変えることで、空室が埋まる可能性はぐんと高まります。さらに、ペット可物件はなかなか見つからないことから、一度入居したら空室になりにくいというメリットもあります。

さらに、ペットドアやキャットステップなどの設置によって付加価値をつけることで、家賃アップも期待できます。賃貸物件ではなかなか導入できないこれらの設備は、ペットを飼っている人にはとても喜ばれるのです。

シェアモビリティが駅遠物件の救世主に?築古、1階でも満室を実現する空室対策のヒント2

注意するべき点は、既存の入居者対応。ペットがいない環境を求めて入居した人に配慮し、事前の告知等を必ず行うようにしましょう。さらに、募集時は頭数・サイズ・種類・予防接種の有無などを確認し、「ペット飼育誓約書」を取り交わしておくと安心です。

もうひとつ、有効な策として「DIY型賃貸借」があります。こちらも外国ではポピュラーな方法として受け入れられ、国交省でも賃貸住宅の流通促進の一環として普及に取り組んでいます。

入居者からのニーズも高いうえ、自分でDIYすることで愛着がわき、長期入居が期待できます。床や壁の貼り替えや収納棚の設置など、その範囲は幅広いため、貸主・借主双方で事前に協議し、合意書を取り交わすようにしましょう。国交省でもガイドラインや実務の手引きが公表されています。

「1階」は高齢者に便利で安全。庭を設ければファミリー層も

シェアモビリティが駅遠物件の救世主に?築古、1階でも満室を実現する空室対策のヒント2

眺望や防犯上の理由で敬遠されることが多い1階ですが、階段がないため高齢者にとっては安全で便利な環境。高齢者には、バリアフリーで床が柔らかい和室が好まれる傾向もあり、洋室へのリフォームをしなくても住んでもらいやすいのもポイント。たとえ低所得でも、年金などで収入が安定しているため、滞納のリスクも少ないのです。

孤独死が放置されて事故物件になることを心配する大家さんも多いかもしれませんが、様々な見守りサービスや孤独死対応保険などがあります。

高齢者の受け入れやバリアフリー改修などに対し補助金などを出している自治体も多いため、試しに1階の一室を高齢者可にしてみるのはいかがでしょうか。

また、もし可能であれば1階だけの特典として庭を設けるのもいい方法です。家庭菜園やガーデニング、ビニールプールでの水遊びなどができれば、子育てファミリー層には大きなメリットとなります。アウトドアブームでもある昨今、キャンプ用品などがしまえる納屋収納を屋外に設置すれば、さらに強いアピールポイントとなります。

高齢者を入居可に

和室のような段差のないバリアフリーがベストですが、手すりを付けるだけでも喜ばれます。

シェアモビリティが駅遠物件の救世主に?築古、1階でも満室を実現する空室対策のヒント2
高齢者向け見守りサービスの例

①首からかけて携帯できる救急通報ボタン

入居者は体調が悪いなど何か起きたら、救急通報ボタンで連絡。セキュリティ会社の警備員が駆けつける。

②転倒・急病を早期発見する生活監視センサー

トイレなど入居者が必ず通る生活動線にセンサーを設置。一定時間動きがない場合は異常信号が送信される。

③安否・体調を定期的に電話・訪問して確認

定期的に自宅訪問をしたり、毎日同じ時間帯に安否を音声電話で確認するなどして、その結果を指定先に報告する。

まとめ

駅遠や1階などの条件が変わることはありませんし、物件も築年数を重ねていきます。何もしなければ、同じ家賃、満室を維持していくのは難しくなっていきます。

エリアの賃貸ニーズや競合物件にも目を配りつつ、時代に合った改修や条件の見直しを行うことが、賃貸経営ではとても重要です。民間の便利なサービスや国・自治体の補助金なども上手に使いながら、長期にわたる安定した収益を目指しましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2023年9月13日時点のものです。

文/石垣 光子

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