「築20年超え」アパート・マンションを満室にする極意
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『最新版「築20年超え」のアパート・マンションを満室にする秘訣』著者の西島昭さん。空室に悩む大家さんたちの意識改革を促す内容に、多くの反響が寄せられました。西島さんの本書を執筆されたときの想いやオーナーの皆さんに対するメッセージをご紹介します。
いま満室経営の常識が変わる!空室率30%、全国800万戸の空き家、下落する家賃、押し寄せる民泊…etc。入居率95%を誇る著者が最新空室対策を加筆! 日本で一番多い“築20年前後”の物件を埋める秘策公開!
オーナー業は一生続けられるやりがいのある仕事。満室経営でその後押しをしたい
1965年兵庫県生まれ。関西大学工学部卒業後、株式会社リクルートに入社。1999年、不動産に関する問題解決に特化したコンサルティングを行う株式会社市萬を東京都世田谷区用賀に設立。東京都、神奈川県を中心に、金融機関からの紹介によるビジネスモデルを築く。
現在は賃貸管理のスペシャリストとして知られる西島さんだが、本格的に賃貸管理業に取り組んだのは、この本の初版が発行される約2年前だったという。つまり2年弱の経験を基に書き上げたことになる。
「当時の弊社の主力事業は売買仲介と土地の有効活用提案だったのですが、金融機関から空室に悩んでいる大家さんを紹介されるようになってきましてね。なんとかしようと社員みんなで対策を考えて、数百件もアイデアを出し合いました。トライ&エラーを繰り返しながら、徐々に成功体験を積んで行ったのです」
会社としてノウハウが蓄積されるのは喜ばしいことだが、西島さんはこうした状況に満足することなく、実体験と自分が日頃から感じていた思いを世に発信する決意をした。
その行動を後押ししたのが、経営学者であるドラッカーの言葉「アウトプットがインプットにつながる」だったという。さらに高みを目指したのだ。
有名ホテルやレストランを訪ねる日々
執筆にあたって、西島さんが誓ったことがある。
「不動産っぽい内容にしたくはありませんでした」
当時、書店の棚を賑わせていたのは、「成功する賃貸経営」の類の本、どうやったらお金が儲かるかを説いている本ばかりだった。
「不動産経営はサービス業だと思っていましたから、これは違う、と感じていたのです」
そのため、西島さんは異業種の本を読み漁ったという。特にホテルやレストランなどのサービス業。読んで知識を集めただけではない。
「有名なホテルや旅館にも何度も足を運びました。ホテルは部屋という箱を作ってお客様を迎え入れて、満足や幸せを与える場。ホテルが1日なら、賃貸物件は2年間のスパンでサービスを提供する。基本は一緒だと思いました。ホスピタリティについて、大いに学ぶことができました」
「自分のことを書いている」と反応した読者も
こうして完成した本書は、オーナーにとってはかなり厳しい内容になっている。
もうこれまでのように「貸してやっている」という時代ではない。「借りていただいている」という発想に変わらないと、との表現が繰り返され、意識改革を促す。読者の反応はどうだったのだろうか。
「問い合わせや手紙に『これは自分のことを書いている』と言ってくださるオーナーの方もいらして、問題意識のある人には届いた、という感触はあります。また当初は出版社の方でも、この内容で売れるかどうかを危惧していたのですが、タイトルの『築20年超え』の言葉が響いたようです。まさに苦しんでいる方はこのような物件を抱えていますから」
オーナーから好評だったのが、第4章で紹介している「西島昭の『とっておき38の満室への秘訣』」だ。
実践的ですぐに始められ、コストパフォーマンスを重視していることが特徴。中でも西島さんのお勧めは『光の魔法』。夜間の外構ライトアップだ。
「オーナーも管理会社も昼間の物件しか見ていないことが多くて、見落とされがちなのですが、夜行ってみると、暗かったり、危険な雰囲気がしたりして、特に女性だと恐怖心を感じてしまうことがあるものです。
このアイデアはLED照明を活用するライトアップなのですが、低コストで見違えるような印象に変わります。仕事から帰ってきて、建物が明るかったらホッとしますよね。また、最近は会社帰りに夜間内見する方も多くなっているので非常に効果的だと思います」
この本は、「オーナーのための応援歌」
最後に、オーナーへのメッセージを伺った。
「苦しくても諦めないでもらいたいですね。会社員なら定年がありますが、オーナー業には定年はありません。一生続けられる仕事です。
また、オーナー業は仕事を通して人の役に立つ、社会に貢献することができる意義深い仕事です。ぜひいつまでも元気で続けてもらいたいと思います。
満室という言葉はその響きが言葉以上の満足感、充実感を与えてくれるものであり、生きるエネルギーにもなります。どんな物件でも必ず満室にすることができると信じてください。この本がそのきっかけになってくれたら幸いです」
西島さんが社会人になる時に買った名刺入れ。今も現役で、なんと約30年間使い続けているという。愛車は走行距離30万kmを超えているとか。地球を約7周半走った計算になる。「いいものを買って長く使い続ける」がモットー。その姿勢は、ストック型社会に対する想いにも通じる。
※この記事は2018年8月に取材をしたものです。
取材・文/本多 智裕 撮影/工藤 朋子