平成30年度税制改正!相続税、贈与税、所得税控除は?
- 税理士
一般社団法人等に対する相続税・贈与税の見直し
一般社団法人を受け皿とした相続税対策が一部で横行していましたが、改正後は同族役員が継続して支配している特定一般社団法人等の場合に、死亡した理事から遺贈により取得したとみなされる金額が相続税の課税対象になります。個人からの贈与で贈与税が不当に減少しないようにする要件も明確化されます。
適用開始:2018(平成30)年4月1日以降の理事の死亡から(同日以前に設立された場合は2021年4月1日から適用)
今後のポイント
税法の裏をかく課税逃れに歯止めがかけられました。適用条件の抜け道を探しても、いずれ網がかかるでしょう。節税対策は正攻法で行くべきです。
不動産に関わるその他の税制メモ
青色特別控除(正規の簿記原則による会計記録の場合)が、65万円から55万円へ10万円引き下げられます。しかし、電子申告や電子帳簿による保存を行えば、従来通り65万円の控除を受けられます。
所有権移転登記の登録免許税が、次の場合に2021年3月まで免除されます。
1.祖父母の土地を相続した時に相続登記をしないまま親が亡くなり、子がその土地の名義をいったん親に変更する場合。
2.相続登記促進の指定を受けた価格10万円以下の土地。
相続税の申告には、被相続人の相続人全員を明らかにする「戸籍謄本」の提出が必要でした。2018年4月1日以降は、図形式の「法定相続情報一覧図の写し」(事前に登録すれば無料で交付される)の添付でも可能になり、手続きが簡略されます。
以下の期限が2~3年延長。登録免許税の軽減(特定認定長期優良住宅、認定低炭素住宅の保存登記)、不動産取得税の特例(宅地の課税標準と税率軽減、新築認定長期優良住宅)、固定資産税の減額(新築住宅、新築認定長期優良住宅)。
中小企業が事業を引き継ぐ際に相続税や贈与税を猶予・免除する「事業承継税制」の適用要件の緩和や内容拡充を行う特例が、10年間限定で創設。自社で不動産を利用しない不動産賃貸業は原則として事業承継税制の対象外となります。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2018年6月5日時点の情報です。
取材・文/木村 元紀