確定申告で大家さんが注意したい変更点と経費計上のポイントを解説!

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公開日:2022年12月12日
更新日:2024年3月14日
確定申告で大家さんが注意したい変更点と経費計上のポイントを解説!1

2022年分の確定申告は2023年2月16日から3月15日までです。大家さんに影響のある、前年分からの変更点をご紹介します。また、見落としがちな経費計上のポイントや、青色申告のメリットを活かした節税方法などを、税理士の松村直輝さんに解説していただきました。

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お話を聞いた方
確定申告で大家さんが注意したい変更点と経費計上のポイントを解説!2

小谷野・松村会計事務所 税理士 松村 直輝 氏

埼玉県出身。2009年小谷野会計事務所入社。2021年に50年続く事務所を事業承継し小谷野・松村会計事務所を開業。不動産、建設業、製造業など様々な業種のクライアントを幅広く担当している。不動産オーナーの確定申告の代行実績も豊富。個人から法人を対象に、相続・贈与・事業承継までトータルでサポート。

2022年分確定申告、大家さんに影響のある主な改正点は?

確定申告で大家さんが注意したい変更点と経費計上のポイントを解説!2

大家さんに影響のある項目について、2021年分確定申告からの変更点は、それほど大きくありません。改正というよりも見直しといったものばかりです。

主な変更点は、住宅ローン控除の延長と控除率の縮小です。住宅ローン控除はマイホーム取得時に適用を受けられる制度で、賃貸併用住宅の場合は、自宅部分のみの適用となります。

一方、青色申告者に限られますが、取得価額が30万円未満(年間合計300万円まで)のものは一括で損金算入できる、少額減価償却資産の特例の適用期限が延長されました。節税効果が高いので対象となる大家さんは有効に活用してください。

2022年分申告にかかわる主な変更点

住宅ローン控除の控除率の縮小と期間延長など
●控除率1.0% → 0.7%
●控除期間10年 → 13年
●所得上限3,000万円 → 2,000万円
●住宅区分追加:ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅など

住宅ローン控除に係る申告手続きの変更(2023年1月からの入居分に適用)
●「年末残高など記載の調書」について、金融機関が税務署へ提出、
申告者へは税務署からe-taxなどで送付される

30万円未満の少額減価償却資産の特例の延長
●青色申告が要件。2年間延長された

申告書の一体化
●申告書Aがなくなり一つの様式に統合
●5表廃止(修正申告用)

大家さんが改めて知っておきたい、経費計上のポイント

次に確定申告の経費計上に関して説明します。下の図表1のように経費項目は多岐にわたりますので、細かく、もれなく拾うことが大切です。

ポイントは、事業用の支出と家事関連費(私用)の区分です。賃貸経営の事業にかかわる分として使用した明確な根拠がある場合、例えば事務所部分の面積が建物全体の3割であれば、家賃の他に水道光熱費も3割を経費として計上することができます。

客観的に説明しづらいのが、携帯電話の通話料などの通信費です。常識的な範囲内で事業用の割合を按分して計上してください。

図表1│確定申告で経費計上ができる主な項目
経費項目 内容
租税公課 土地、建物の固定資産税のほか、印紙税、不動産取得税、登録免許税
損害保険料 火災保険、賠償責任保険、自動車保険(事業に使用する割合に応じて)など
修繕費 室内の汚れたクロスの張り替え、雨漏りの修繕など、建物の原状回復や通常の維持・管理にかかる費用
減価償却費 建物や設備の取得あるいは建築にかかった費用、大規模なリフォーム(資本的支出)などは、それぞれ取得した資産の他耐用年数に応じて複数の年に分割して経費に計上
借入金利子 アパートなどの取得または建築にともなう借入金(ローン)の利息は全額経費になる。ただし、取得した建物の稼働後に支払った分のみが経費となり、稼働以前に支払った分は建物等の取得費として減価償却の対象に
管理費・
管理委託料
建物や入居者の管理を委託している管理会社へ支払った管理費、修繕積立金などが対象になる
広告宣伝費 入居者募集のための広告費用
消耗品費 事務用品などのほかパソコンなども一式10万円未満(青色申告の場合は一式30万円未満、年間合計300万円まで)なら経費に計上
資料費 資料として購入した新聞や雑誌、書籍など
地代家賃 自宅が借家でその一部で業務を行っている場合、面積に応じて家賃などを経費に計上
通信費 固定電話や携帯電話の通話料のうち、不動産経営に関わる内容に関して使用したと想定される割合は認められる
車両代 賃貸事業に自家用車を使用した分は、使用頻度に応じた割合で計上
宿泊費 打ち合わせ、現地視察などで遠隔地に行った場合の宿泊費も経費に。業者との懇親のための旅行などの場合も、賃貸事業において必要なものであれば認められることも

 

賃貸住宅をリフォーム・リノベーションした際の修繕費も、大家さんが確定申告の経費計上で迷いやすいところでしょう。

リフォーム・リノベーションの工事費の内容が、全額経費にできる「修繕費」か、減価償却の対象となる「資本的支出」かの判断が必要で、図表2のチャートが目安となります。

『修繕費』は「維持管理や原状回復の範囲内」の支出、『資本的支出』は建物自体や付属設備の「価値が高まったり寿命が延びる場合」の支出と考えるとよいでしょう。

なお、共用部などの蛍光灯をLEDに交換した場合は、全額修繕費に計上できますので、検討してみるのもいいでしょう。

図表2│「資本的支出」と「修繕費」の判定
確定申告で大家さんが注意したい変更点と経費計上のポイントを解説!2

※取得価額とは、修理・改良の対象物を購入した際の価額のことで、取得に付帯する引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、据付費などを含める。 注)このチャートは要約であるため詳しくは専門家へ相談を

青色申告のメリットを賃貸経営で活かして節税を

確定申告で大家さんが注意したい変更点と経費計上のポイントを解説!2

青色申告による確定申告は大家さんにとって多くのメリットがあります。次にご紹介をしますので、白色申告を利用している大家さんは変更を検討してみてはいかがでしょうか。

青色申告の第一のメリットは特別控除が使えること。青色申告特別控除の最高額は65万円で、複式簿記による記帳や、事業的規模であること、電子申告を行うことなどが要件です。これらの条件を満たしていない場合の控除額は55万円か10万円になります。

また、賃貸経営の事業に携わる配偶者などに支払った給与は、専従者給与として全額が経費に算入できます。給与額は労働対価として相応しいと思われる額で設定してください。

このほかに賃貸事業で赤字になってしまった年の損失分を3年間繰越できることや、逆に前年黒字だった分を繰戻し還付してもらうこともできます。

はじめに触れた少額減価償却資産の損金算入も活用しながら、効率的に対応を考えましょう。

最後に、不動産収入の利益が多い個人事業主に検討してもらいたい節税対策が、掛け金を全額控除できる制度、小規模企業共済と確定拠出年金iDeCo(イデコ)です。この2つは併用が可能ですが、解約時期によっては課税対象となることに注意が必要です。

確定申告の際の経費計上には判断が難しい場合が多いので、有効なアドバイスを得られるように専門家に相談することをお勧めします。

2023年から始まるインボイス制度について、理解を深め準備しよう

確定申告で大家さんが注意したい変更点と経費計上のポイントを解説!2

2023年10月からインボイス制度が始まります。インボイス制度に対応するには、適格請求書発行事業者として登録が必要です。

登録するのは消費税の課税事業者で、10月から適用を受ける場合、登録申請は2023年3月末までに、登録申請書を国税庁などに提出しなければいけません。

インボイス制度は課税収入が少額でもあるすべての大家さんに影響がありますので、制度の内容を理解し、対応策を検討しましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2022年11月9日時点の情報です。
文/本多 智裕 イラスト/福々 ちえ

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