初めて賃貸住宅の建築を検討するオーナー必見!収益を上げ続ける建築プランの極意
- 賃貸経営ノウハウ
初めて賃貸住宅建築を検討するオーナーは不安がいっぱい。収益を上げ続ける賃貸物件を実現するためには、どのような行動をしたらいいのでしょうか。建築プランの進め方や、地域の賃貸需要の分析の仕方など、不動産コンサルタントの小野さんに解説していただきました。
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不動産コンサルタント
小野 信一氏
ネクスト・アイズ株式会社代表取締役。不動産建築や資産の悩みに、第三者の立場で公正中立にアドバイス。講演や著書も多く、相談者からの信頼が厚い。
構造?プラン?賃貸住宅の建築は事前の準備が大事!
賃貸住宅の建築を検討する時、「木造で建てる?RC造にする?」「ターゲットは、単身者向け?ファミリー層にするべき?」など、構造やプランの策定で迷うオーナーは少なくありません。
しっかりとエリアの需要を見極めて、ニーズに合致した賃貸住宅を建てないと、築年数が経つうちに空室が埋まらず、仕方なく家賃を下げ続けて、収益が悪化してしまうという可能性も。だから当初のプランニングが重要です。
失敗しがちなのが、いきなり建築会社に相談するケース。話に流され過剰スペックでプランが進行することもあるので、オーナー側はしっかりと事前の準備をしておきたいところです。
賃貸住宅の建築プラン|事前準備のポイント
POINT!経営者としての意識を持つ
賃貸経営ははじめたら30年、50年と長く続く事業で、建てて終わりではありません。「事業を経営する『経営者』だ」という意識をもって、自分なりに調べたり、知識を得ることが大切です。
POINT!目的をはっきりさせることが大事
「相続税の節税のため最小リスクで対策したい」「生活費として年間1000万確保したい」「資産拡大のため利回りを重視」など、建築する目的を明確にして、ぶれないようにしましょう。
「まずは目的をはっきりとさせましょう。高い投資効率(利回り)を求めるのか、安定した高収入を得たいのか、相続対策なのか。希望する目的や目標によって、事業規模は変わります」と小野さん。
いくら収入を得たいか、節税したいか、具体的にイメージしましょう。
次に所有地での事業性について判断するための情報を収集します。不動産ポータルサイトを活用し「所有地の半径500m以内」にある賃貸住宅を調査しましょう。
種別(賃貸マンション・アパート・戸建て賃貸)ごと、さらに築年数・間取り・広さ・賃料ごとに、棟数や戸数を調べてみましょう。
また所有地の周囲を実際に歩いてみて、店舗や施設、歩いている人をチェックすることも入居者像の参考になります。
地域で人気の間取りや設備のニーズ、空室率や家賃の相場などは、地場の管理会社や仲介会社に出向き、情報を収集するといいでしょう。
そのエリアの人口や世帯数の動きは、自治体ホームページなどに掲載の住民基本台帳や国勢調査で、過去だけでなく将来にわたって把握できます。様々な角度から分析しましょう。
「難しいと思っても、これらの調査・分析は自分でやる姿勢が大切です。オーナーは事業を行う経営者なのです。どうしても難しい場合は、のちの管理委託を視野に、管理会社に市場調査を依頼するといいでしょう。無料で行ってくれるケースが多いです」
分析結果をもとに、ターゲットを設定します。単身向けなら学生にするのか社会人なのか、カップルやファミリー向けにするか、女性専用、高齢者住宅という選択肢も。
ターゲットが決まると、それぞれに合った間取り・付帯設備や家賃が想定できます。さらに敷地面積や建築法規、目的から構造・階数が決まり、建築費概算も見えてきます。
このように基本の建築プランを検討し、建築会社と話す前に自分なりの答えを持っておくといいでしょう。
編集部で賃貸需要の分析と建築プランを検討してみた|東京都杉並区の場合
小野さん監修のもと、編集部で自治体のホームページや不動産ポータルサイトで実際に調査・分析してみました。
【敷地条件】
東京都杉並区、阿佐ヶ谷駅から徒歩約10分、土地約140㎡、近隣商業地域、建蔽率60%/容積率200%、道路幅員4.5m、準防火地域、第2種高度地区
人口、世帯数、男女比、年齢別人口、家族構成など、過去から将来まで
杉並区ホームページで住民基本台帳や国税調査などの統計データを確認しました。
人口・世帯数ともに増加傾向で、2035年以降は緩やかな減少と推測。
家族構成は単身58%、夫婦15%、ファミリー24%、年齢別では、25~44歳人口の割合が高いです。出生率は微増傾向が見られます。
単身者にもファミリーにも人気のエリアであることが分かりました。
マンション・アパート・戸建て賃貸ごとの築年・間取り・家賃などの棟数・戸数
不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」で所有地周辺の物件を検索。
特に1R・1Kは供給が多く競争が激しいです。狭小物件は今後淘汰される恐れがあります。スーパー、病院、保育園、公園などが近隣にあり、ファミリーの需要も見込めます。家賃相場は1K(25㎡)で8~9万円、1LDK(40㎡)で11~12万円でした。
部屋探しで入居希望者が検索する間取り・家賃・広さなどは、どれが多いか
不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S内『見える!賃貸経営』」で調査しました。
希望間取りは1R~1LDKの掲載割合77%に対し検索割合が62%、1LDK~2DKでは掲載17.6%/検索22.7%。希望家賃は5~8万円が中心ですが15~20万円も7.2%。希望面積は20~25㎡が20.9%と最多で、40㎡以上も11.6%でした。
分析した地域の賃貸需要から建築プランを想定
同一敷地でも「目的」により、建築プランはこれだけ変わります。
1K(27㎡) 家賃想定8万円×6戸
総事業費:6000万円(建築費5000万円)
収入:576万円/年間、表面利回り9.6%
相続対策が主な目的。分相応の借入リスクで、投資効率を最大にしたプラン。
1LDK(40㎡) 家賃想定11万円×6戸
総事業費:1億円(建築費8700万円)
収入:792万円/年間、表面利回り7.9%
投資効率が多少悪くても、年間収入額の多さを優先したプラン。
このように、自分なりに市場調査を行い、建築プランを想定してから、複数の建築会社に相談しましょう。
基本計画が確定した段階で、建築会社にアプローチを
建築プランのイメージができたら、想定した構造で建築可能な複数の建築会社から提案をもらいます。改めて市場調査も依頼し、答え合わせをしてみるといいでしょう。
提示される事業収支計画では、家賃推移や空室率の見込み、修繕費が妥当かどうかをチェックします。費用対効果は、表面利回り(※1)が8~10%以上を目安にしたいです。総事業費(※2)は、金額の高低だけで判断せず、融資や金利など資金計画を含めた収支を確認します。
慎重に検討して、意向を組んで目的・目標に沿った提案をしてくれる建築会社に決めましょう。
※1 総事業費に対する満室想定時の年間賃料収入の割合
※2 建物の建築費のほか、解体費・インフラ整備費、登記料・火災保険料・ローン諸費用などを含めた総額
賃貸住宅の建築プランの策定に大切な「入居者視点」
その後、実施する建築プランを建築会社と策定していくが、大切なのは入居者視点だといいます。
「入居者が物件を選ぶ5大要素は①コスト(家賃や初期費用)、②エリア、③外観デザイン、④間取りの有用性、⑤付帯設備です」
「例えば1Kだと25㎡以上の広さ重視か、20㎡以下のコスト重視かの2極化傾向で、後者ならロフトを活用しましょう。居室は正方形に近い方が家具の配置がしやすく、収納の充実も好まれるポイント」と小野さん。
「第一印象を決める外観は外構計画も大切に。防犯設備やインターネット、浴室乾燥機や追い炊き機能など、ニーズの高い設備も備えましょう。過度な投資利回りの期待は禁物です。入居者ニーズ重視の建築プランが長期安定経営につながり、次世代に優良な資産を残せます」
まとめ|収益を上げ続ける賃貸住宅建築プランの進め方
◎ポータルサイトや管理会社などを活用して自分の力で市場調査を行う
◎市場調査・分析をもとに、ターゲット・コンセプトを自分の中で想定しておく
◎入居者ニーズを最優先するプランの策定を。過剰な利回りを期待しない
※この記事内のデータ、数値などに関しては本記事は、2022年12月6日時点の情報をもとに制作しています。
取材・文/本多 智裕
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