[段取り#4]賃貸アパートやマンションの引き渡しまでに行う入居者募集のポイント

新築の賃貸アパート・マンションでは、建物が完成する前から入居者募集に入るのが一般的です。引渡しと同時に満室経営をスタートするために、不動産仲介会社の選び方や募集のノウハウを紹介します。

スマホ対応の仲介会社でないと選ばれない

新築のアパート・マンション経営の理想的な流れは、

「工事請負契約→管理会社決定→着工→
引き渡しの3カ月前から入居者募集開始→
竣工・引き渡しと同時に満室経営スタート」

というパターンでしょう。

入居者募集のスタイルは管理形態によって異なります。

ハウスメーカーが施工して、系列の管理会社とサブリース契約を結ぶ場合は、オーナーが入居者募集の活動に関与する必要はありません。サブリース契約で、管理会社が一括借り上げするため、その時点でオーナーにとっては満室状態といえるからです。

自主管理や賃貸管理のみを管理会社に委託している場合は、オーナー自身が経営者として入居者募集に積極的に関わっていく必要があります。満室を目指す上でポイントとなるのが、入居希望者と接する最前線にいる仲介会社の選択です。

昨今の部屋探しの傾向として、不動産仲介会社と接触する機会が極端に減ってきました。問い合わせるのは3社程度、実際に訪問するのは1~2社しかありません。入居者に選ばれる仲介会社に情報を出さなければ、集客もままならないのです。

集客力があるかどうかを見極める第1のポイントは、進化するインターネットへの対応力です。部屋探しの情報収集でインターネットを使うのは、年代を問わず、もはや常識。この4~5年は部屋探しでのスマートフォンの活用が主流になってきました。

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インターネット検索で使うデバイスの種類では、30代まではスマートフォンが100%近い割合です。5年前の2016年には、40代はスマートフォンとパソコンが半々、50代はパソコンの方が主流でした。しかし、今や50代でもスマートフォンが80%と、完全に主役が入れ替わっています。

仲介会社も様々な工夫をしています。Instagram、YouTube、TikTok、TwitterなどのSNSを活用して、物件や街の紹介動画を配信するなど、豊富なビジュアル素材を武器に集客力を強化。

このようなスマートフォン向けのコンテンツに対応している仲介会社でなければ、今後は情報にアクセスすらしてもらえなくなるのではないでしょうか。

新型コロナ禍でオンライン接客が増加

さらに、インターネットは物件検索だけでなく、内見や接客のツールとしても欠かせないものになってきました。特に、新型コロナ禍で非接触の部屋探しの傾向が高まり、「オンライン内見」や「IT重説」が急速に浸透しています。

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オンライン内見は、スマートフォンやタブレット端末を持った営業担当者が現地に行き、ビデオ通話機能を使って、遠隔地にいる入居希望者に室内の様子を見てもらいながら、その場で質疑応答する接客方法のことです。

図2-1のように、内見総数のうち1~2割でオンライン内見を実施している会社が40%以上。まだ少数派ながら、半数以上がオンライン内見という会社もあります。

また、賃貸借契約に先立つ重要事項説明を、テレビ会議システムなどを使ってオンラインで実施する「IT重説」は、もっと普及しています。契約総数の3割以上でIT重説を実施している会社が約25%。4社に1社の割合です。最低1割以上はIT重説という会社を合計すると、全体の3分の2に達します。

仮にコロナ禍が収束を迎えたとしても、オンラインで契約まで完結するスタイルは拡大していくでしょう。

入居者募集を依頼するときの契約方法には何がある?

入居者募集を依頼するときは仲介会社と「媒介契約」を結びます。媒介とは、貸主と借り手の間に立って取引を仲立ちする業務です。

売買や交換の場合には、複数の仲介会社に依頼できる「一般媒介」と、1社限定の「専任媒介」の違い、レインズへの登録義務などが宅建業法で定められていますが、賃貸借にはこうした規定はありません。つまり、賃貸借の取引では媒介契約を結ぶ義務はないのです。

ただ、国交省は売買の一般媒介に準じた「住宅の標準賃貸借媒介契約書(貸主用)」を出しています。トラブルを防ぐために、業務内容や報酬を明確にした契約を結んでおいた方が良いでしょう。

管理会社に入居者募集を併せて依頼する場合は「代理契約」になります。他の仲介会社への代理や媒介は依頼できません。売買の専任媒介に準じた形になるでしょう。

以前は、管理会社に全面委託する場合は、代理権限を与える委任契約を結んでいるケースが多かったようです。「賃貸借代理及び管理委託契約書・一括委任型」という雛形もありました。しかし、2021年に賃貸住宅管理業法ができてからは、委任契約と代理契約は別々に結ぶ形になります。

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※ここでは、仲介会社と入居者募集も行う管理会社を共に不動産会社のカテゴリーに含めています。客付けの仲介会社と入居者との間では必ずしも媒介契約は結ばれません。「入居申込書」で代用するか「入居申込書兼媒介契約書」となっているケースが多いようです

仲介会社や管理会社とオーナーの関係は、図3のようになるのが一般的でしょう。管理会社と代理契約を結ぶと窓口が一本化されます。管理会社が、いわゆる“元付け”になるわけです。

元付けの管理会社がダイレクトに入居者と取り引きする場合もあれば、別の仲介会社を通すこともあります。複数の仲介会社と媒介契約を結ぶ場合、仲介会社は “客付け”会社と呼ばれるようです。

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媒介契約と代理契約、それぞれの特徴やメリット・デメリットは、図4の通りです。複数の仲介会社に媒介を依頼すると、物件情報が多方面に情報が広がり、競争原理が働くため、早期に部屋が埋まることを期待できるでしょう。その反面、複数の仲介会社からの問合せや内見への対応など、オーナー側の手間がかかってしまいます。

一方、管理会社に代理で任せれば、オーナーに負担はかかりません。ただ、管理会社が一括して受けると、集客力が弱くなる面も否めません。

戸数が多い、駅から遠いなど物件の条件に難がある、競合物件が多い、といった場合は、複数の仲介会社に依頼して広く募集する方が、早めに入居者を確保できる可能性が高いでしょう。

最近では、広域で探す入居希望者が増えています。最寄り駅にある仲介会社だけでなく、都心に近いターミナル駅などの拠点に店舗を構える仲介会社など、選択肢の幅を広げて依頼することをおすすめします。

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