どうしたら入居者ターゲットを絞れますか?

ターゲットを見極めるには2つのアプローチがあります。市場調査でメインの入居者像を浮き彫りにするのが正攻法。実はもう一つ… 別の角度から攻める方法もあります。「視点を変えること」――それがキーワードです。

視点を変えて空室でなく、入居者に注目してみる

空室が多い理由は、入居者ニーズから離れているからです。そのため空室対策の第一歩は、「地域の賃貸ニーズを調べて入居者ターゲットを絞ること」と別の記事では解説しました。これは正攻法として、正しいアプローチです。しかし、角度を変えた別のアプローチもあります。

「コップに水が半分入っていることをどう解釈するか」というテーマがよく議論されますが、分野によって評価の仕方はわかれます。

<経営学>「もう~」から「まだ~」へ

「もう半分入っている」…「もう売れない」。既存の考えに捉われるマイナス思考

「まだ半分空いている」…「まだ売れる」。可能性にかけ、技術革新を生むプラス思考

<性格診断>「~しか」から「~も」へ

「半分しか入っていない」…マイナス志向、後ろ向き、悲観的

「半分も入っている」…プラス志向、前向き、楽観的

この2つの視点を賃貸経営の空室対策に応用してみましょう(下図参照)。

賃貸経営では満室経営や入居率90~95%を目指す人が多いだけに、上図のように25%も空いていると、マイナス視点で捉える傾向が強いでしょう。そのため「なぜ空室が埋まらないのか」「家賃が高いのか」「設備が古いのか」と分析し、「家賃を下げるべき」「コストをかけてリフォームしよう」という対策が浮かんできます。

この状態で、あえてプラス視点で考えるとどうなるでしょうか。現在、入居している75%のほうに着目するのです。仮に、その地域における主要なニーズからすると、「家賃が割高」とか「設備が古い」と評価されたとしても、8室のうち6室は埋まっています。その6世帯の入居者は「なぜ家賃が割高でも入っているのか」「設備が古いのに長く住んでくれている理由は何か」を考えるわけです。

そのためには入居者の年齢、性別、年収、職業、勤務先、通勤時間、ここを選んだ理由などを徹底してリサーチする必要があります。入居申込書などを過去にさかのぼって調査してみましょう。その結果を分析し、ある意味では、自分のアパートのファンになってくれるターゲットを見出すわけです。

たとえば、地域では学生層がメインなのに、このアパートでは平均年収より高い20代後半の社会人シングルが多く、「家賃は少し高いけれど交通アクセスが抜群」「古いけど、広さにゆとりがある」という点が評価されているといった答えが出るかもしれません。あるいは逆に、家賃は相場より安いのに空室が多いアパートのケースでは、既存の入居者が長期居住の高齢者であったり、外国人である場合もあるでしょう。

こうしたターゲットに向けて物件情報が届くように、自分にとって有力な仲介会社を通じて発信するのです(関連記事「いまどきの入居者は、仲介会社をどう選んでる?」参照)。現状を大きく変えずに、ターゲットを絞って広域集客を図ることによって、入居率の向上に成功している空室募集対策のプロもいます(※)。固定観念にとらわれず、さまざまな手法を取り入れてみましょう。

※参考図書:『本気で満室稼働を考える人だけが読む本』齊藤晃一著(綜合ユニコム)