家賃を下げずに初期費用でメリットを出す方法は?

「家賃の値下げは避けたい。でも、入居者を惹きつけるサービスをしないと集客は難しい」――そこで有効なのが初期費用の見直し。敷金・礼金の引き下げだけではない、最近の新しい手法、新サービスも紹介しましょう。

家賃値下げに抵抗感の強いオーナーでも、採用できる対策があります。入居者に“おトク感”を与え、集客効果を高めるのに役立つ初期費用の見直しです。オーナーが入居者から受ける条件交渉のうち、もっとも割合が多いのは家賃値下げですが、初期費用の引き下げも2番目に多くなっています(§2-9参照)。最初にまとまった資金として数十万円もかかることが入居者のネックになっているため、そのハードルを下げることが入居促進につながるからでしょう。

初期費用の代表が「敷金」と「礼金」です(※)。東京圏ではかつては「敷金2ヶ月・礼金2ヵ月」、いわゆる「敷礼2・2」が一般的でした。しかし、最近は「敷礼1・1」あるいは「敷礼1・0」も増え、両方とも無料の「ゼロゼロ物件」も珍しくありません。競合物件の「敷礼」設定の状況をよくチェックしておく必要があるでしょう。

※「敷金」は家賃支払いや原状回復の担保で、滞納や故意過失による損傷がなければ退去時に返金される。「礼金」は入居時の謝礼的な意味合いで返金されない。ただし、初期費用の項目は、地域によって異なる。支払い方や返金の方法がやや違うが、関東における「敷金/礼金」が、関西や西日本の一部における「保証金/償却」に相当するといわれる。最初に「保証金」を支払い、退去時に「償却」分を除いて返金される。たとえば「敷金2ヵ月/礼金2ヵ月」が「保証金4ヵ月/償却2ヵ月」と同じ。ただ同じ関西でも京都や滋賀は「敷金/礼金」方式が多く、東海や九州では混在している。「敷金/敷引き」という方式もある。「敷引き」は「償却/礼金」と同じ意味合い。元々「敷金」だけで「礼金」がない地域もある。地域にによって種類が違うので、それぞれの慣習に応じて判断していただきたい。

最近増えているのが、初期の家賃を何ヶ月分か無料にする「フリーレント」です(§2-10参照)。もともとオフィスや商業ビルなどで一般的だった手法で、ファンドが運営する高級賃貸マションにも応用されました。最近はアパートや賃貸マンションでも一般化しています。無料期間は1~2ヵ月が多いようですが、空室率の厳しいエリアではそれ以上の例も あります。

仮に、家賃を10%下げると10ヵ月で1ヶ月分のマイナスになります。フリーレント1ヶ月を実施しても、10ヵ月超の入居を見込めるなら家賃値下げよりも収入は多くなるわけです。フリーレント2ヵ月なら20ヶ月超でカバーできます。

その他に「キャンペーン割引」もよく見かけるようになりました。入居して最初の何ヶ月間の家賃を何割か引き下げるというサービスです。たとえば、「○月までに契約した場合」などの条件で、「8ヶ月間10%割引」とか「3ヶ月30%割引」といった期間限定キャンペーンのスタイルを取っています。大手チェーン系では「家賃定額支援」といった名称のサービスも出ています。12~24ヵ月に渡り月額4000~6000円を減額するものです。実施的に値下げではないかと思われますが、サービスと銘打つことでおトク感を演出しているのかもしれません。

生活に必須な設備や人気の高い設備を入居と引き替えにオマケに付けるのも、間接的に入居者の初期費用の低減につながります。かつてはエアコンや照明器具などがサービスの一つになったようですが、最近では、エアコンは予め設置済みが常識になりつつあるため、こうしたサービスのアイテムとしては弱いかもしれません。2LDK以上のファミリータイプで1台は設置済み、2台目をサービスするなら、集客効果も期待できます。

入居時の負担がダイレクトに軽くなるわけではありませんが、一定のPR効果があるサービスとして、初期費用の「カード決済・分割払い可」への対応が挙げられます。後払いで費用を分散できる上にポイントが貯まるので、希望する入居者も増えています。

仲介会社や管理会社を通じてサービスを受けるパターンと、オーナー個人でカード決済代行会社に申し込むパターンがあります。いずれも、決済代行手数料(低いところは2.5%前後)はオーナー側の負担になるため、オーナーの手取りはその分減るのも事実です。しかし「敷金・礼金/0・0」にするよりは減収は少ないでしょう。

エリアによって、また物件の条件によって、どのサービスが受けるのかが変わってきます。仲介会社の営業担当者と相談しながら検討してみてはいかがでしょうか。

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