はじめの教科書!子世代大家さんのための賃貸経営の超キホン
賃貸経営におけるシーズンのオン・オフを知ろう
このサイクルを1周体験すれば、だいたいの基本業務は身につく。他に、空室対策や場合によって、リフォームやリノベーションなども必要になってくる。
賃貸経営には、年間を通じた"季節イベント"もある。入居者の入れ替えは入社式や入学式など、新生活のスタートを控えた1~3月のオンシーズンに集中する。一度に何部屋も退去・入居が重なり、「繁忙期」と呼ばれている。社会人の場合は10月に人事異動があるので、秋にも住み替えの小ピークがある。
また、2月中旬から3月中旬は所得税の確定申告がある。申告手続きを税理士に委託しているケースも多いが、確定申告ソフトなどを使って自分でやってみると、金銭の流れや、賃貸経営の税務を概ね把握できるのでおすすめだ。
世代を超えて数十年単位で考えるべき業務も
日々の業務に追われていると気づきにくいのが、建物や設備の状態。見た目に損傷や故障がなくても徐々に劣化していき、最後は機能的・物理的な寿命が尽きる。この点を意識しておかないと、突然、故障して入居者からのクレームにつながるおそれがある。
こうしたトラブルを予防するために、建物や設備の使用年数に応じて、計画的に修繕を行うことも重要な業務だ。図2に目安を示してある。5~10年ごとに設備の補修や階段の手すりなどの塗装、10~15年ごとに屋根や外壁の塗り替えなどを行うのが望ましいとされている。環境や使用状況によって劣化具合は異なるので、普段から点検を怠らずに対応していきたい。
収支の動きに目を配り、赤字にならないように注意
収支の動きにも、目を配ろう。地域や物件によって、築年数が経てば家賃が下がり、空室率が高まれば収入が減って行く。一方、修繕費がかさめば支出が増える。また、ローン利息や減価償却費は税金の支払いと大きく関係する。
10数年たつと、家賃収入は減らなくても、税金の支払いが増えてキャッシュフロー(手取り)が減り、赤字に転落するおそれがある。さらに、10~20年単位で考えるなら、自分が承継した事業をさらに次の世代への引き継ぐことも意識しておきたい。相続対策についても併せて考えることが必要になるだろう。
大家業は、不動産仲介や管理会社、リフォーム会社、税理士などとチームを組んで進めて行くものだ。オーナー自身に専門分野の知識がなくても、他人任せにせず、全体像を把握して主体的にかかわれるように、ビジネス感覚を磨いていくことが大切だ。
有名大家さんが贈る 子世代大家さんへの応援メッセージ
物件に関わる多くの人に感謝して楽しい大家ライフを送ろう
大家さんになってよかったことは「ひとりじゃない」と感じられたこと。物件に関わる多くの方々・入居者さんに感謝して、楽しい大家ライフを送りましょう!
厳しい環境でも自分次第で「付加価値」を創造できる
入居者さんへの心遣いが、「ありがとう」に繋がる。その瞬間こそが大家業の醍醐味といえます。厳しい中でも大いに考え行動し、付加価値を創造しましょう。
「入居者の幸せな生活を支える大切な仕事」それが大家業です
生活の基盤となる「住まい」を提供することで、その方の人生をより豊かに価値あるものにできるのが大家業。困難もありますが喜びや幸せを感じられる素晴らしい仕事です。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2019年3月6日時点の情報です。
取材・文/木村 元紀