【社長対談】100年企業の強みと関西の賃貸住宅市場の動向

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公開日:2019年5月4日
更新日:2019年10月6日
【社長対談】100年企業の強みと関西の賃貸住宅市場の動向1

2017年秋に創業100周年を迎え、賃貸マンションによる土地活用の先駆けとしても半世紀近くの歴史を誇り、4600棟超の建築実績を持つ髙松建設。本誌編集長が、代表取締役社長の髙松氏に伺った。

【社長対談】100年企業の強みと関西の賃貸住宅市場の動向2

髙松建設株式会社 代表取締役社長 髙松 孝年(たかまつ たかとし)氏

1970年大阪府生まれ。1994年関西学院大学卒業後、大手住宅メーカーの営業マンを経て98年に髙松建設入社。グループ会社の役員等を歴任し、2018年4月、創業家としては14年ぶりの社長に就任。

【社長対談】100年企業の強みと関西の賃貸住宅市場の動向2

株式会社オーナーズ・スタイル総括編集長 上田 英貴

明治大学法学部卒業後(株)リクルートに20年勤務(主にSUUMO)。2006年オーナーズ・スタイル社を設立。大家歴27年

読者アンケートでトップ評価!ハード・ソフト面に定評

上田 私が初めて髙松建設さんを強く認識したのは、本誌を創刊した2006年でした。

髙松 1400年以上の歴史がある金剛組をグループ化した年です。

上田 まさにそのニュースを聞いて、世界最古の会社を支援するなんてすごい会社だなと。数年後に、建築会社の満足度に関する読者アンケート(※オーナーズ・スタイル首都圏版45号「建築会社の満足度アンケート」)をしました。他の大手メーカーは5点満点で3点台が多い中、御社は4点代でトップでした。ハードとソフトの両面で支持を受けています。

髙松 ハード面では、阪神淡路大震災の際、激震地区にあった100棟以上の当社施工物件のうち、一つも全半壊がありませんでした。

上田 ソフト面の評価も高い。

髙松 当初から事業全般のコンサルティングを重視したからでしょう。例えば、公的融資の旧・住宅金融公庫融資(現・住宅金融支援機構)は長期固定の低金利が特徴ですが、技術基準の高さや手続きの煩雑さから他社は敬遠していましたが、当社は1970年初頭よりいち早く対応しました。

上田 設計を外注される建設会社が多いなかで、社内に250名を超える設計部員を抱え、設計・施工・管理の一貫体制を敷いているのも強みですね。

髙松 設計施工率は90%以上です。設計段階から施工方法を考慮することで完成度が高くなると考えているからです。修繕工事を担う(株)髙松テクノサービスの業務を通じて得られた修繕状況データも設計に反映しています。総合ビル管理の(株)髙松エステートでは、設備故障などへの素早い対応を心掛け、アフターフォローも重視しています。それが入居者の満足度につながり、管理受託する物件の入居率は95%以上です。安心して賃貸事業を経営していただけるバックアップ体制を整えています。

101年目の六代目社長、実践と経験に自信あり

上田 101年目の今年、六代目の社長に就任されたばかりですね。

髙松 私は次男ですので、自力で頑張ってポジションを作ろうと、一切縁故を使わずに就職活動をして、大手ハウスメーカーに就職したんです。夜遅くまで営業をしてプラン提案をする下積み時代が4年間続きました。何でも実践してみて、体で覚えたことが今でも生きている。自分の行動原則はあの時に培われたと思いますね。座右の銘は「経験に損なし」です。

関西圏も都心回帰。建築費は下がらない

上田 関西圏の賃貸住宅市場についてはどう捉えていますか。

髙松 東京では山手線内の商業地と住宅地が混在している都心のブランド立地に住むのがステータスですが、大坂には環状線内に住むトレンドはありませんでした。むしろ「住職分離」が早くから進み、都心で働き、北摂などの郊外の戸建て分譲地に住む傾向が強かった。ところが、高齢化で郊外の住宅地は不便になり、都市部にある駅前のマンションに住み替える人が増えてきました。当社がメインにしている2~3LDKのファミリー向けの賃貸マンションの人気も高まってきています。都市回帰戦略への転換が必要でしょう。

上田 高止まりの建築費はどうなるとお考えですか。2020年を境に下がるという見方もあります。

髙松 中堅ゼネコンの青木あすなろ建設を擁する髙松コンストラクショングループ全体でも、東京五輪関連の直接受注はゼロです。五輪後も業界全体への影響はあまりないと考えます。人手不足は加速し、人件費や材料費も下がる要素はありません。多少下がるとしても、圧倒的に現在の超低金利を活かすほうが有利です。「相場を読む」より、機会損失の回避が賢明です。

足を使ったマーケティングで変化への対応と継続性を両立

上田 賃貸マンションのクオリティも高まっていますね。

髙松 現在は、分譲と賃貸の差は本当になくなっています。最近は、タワーマンションのようなステータスを感じられるエントランスのデザインに力を入れています。

上田 御社のこれからの抱負を教えてください。

髙松 経済や政策などの変動要因が多いなかで、オーナー様には長期にわたる安定経営を実現していただきたい。そこで今一番力を入れているのは、建築計画を提案する前のマーケティングですね。データだけでなく、切り札はやはり足で稼いだ情報です。ひと昔前は、全戸が賃貸マンションの提案が多かったのが、今は店舗・事務所・マンションなどの複合ビルが増えています。収益性やリスクヘッジも考え、インバウンド向け宿泊施設、医療モールや調剤薬局などを組み込む提案もあります。プロとして周辺を入念にリサーチした上できめ細やかな提案をしていかなければなりません。独自のノウハウを持つ企業とのコラボレーションも積極的に進めています。一世紀に及ぶ事業の継続性を大切にしながら、時代のニーズに応じて変えなければならない部分を冷静に判断して、オーナー様の事業を今後も末永くバックアップしていきたいと思います。

安全性の高い耐震建築が特徴。デザイン性にも優れる

創業から鉄筋コンクリート造にこだわり、多くの実績を誇る同社。土地や建物の悩みの解決から、デザイン性の高いオリジナル設計まで賃貸経営をトータルにサポートしてくれる。

【社長対談】100年企業の強みと関西の賃貸住宅市場の動向2
【社長対談】100年企業の強みと関西の賃貸住宅市場の動向2

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2018年7月10日時点のものです。

取材・文/木村 元紀 撮影/豊島 正直

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