スマホで空室検索!関西圏の賃貸市場から見る入居者の重視ポイントとは

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賃貸経営を行う上で欠かせないのが、入居者ニーズを把握すること。正確に把握できたら、次に打つ手が見えてくるもの。SUUMOの田辺副編集長が、最新の入居者ニーズを明らかにし、勝ち抜くための戦略をアドバイスする。

リクルート住まいカンパニーSUUMO副編集長 田辺 貴久 氏

2007年リクルート入社。「住宅情報タウンズ」首都圏・東海圏を担当。2011年に「SUUMOジャーナル」の立ち上げ・編集デスクを担当する。2015年より、「SUUMOマガジン」編集長、「SUUMO」副編集長。全国のオーナー向けセミナーなどで、講師を務めている。


スマホで部屋探しが主流に!入居者が重視するポイントは

近年の入居希望者の住まい探しの大きな特徴は、ネット検索が主流になっていることです。以前のように、住みたい街の不動産会社に飛び込んで部屋を探し出す、といったケースは少なくなっているようです。SUUMOのアンケートによると、この一年間で契約した人の訪問店数は約1店舗で、見学件数は約3件。おそらくはネット上であらかたの情報を調べ、そこから気になる物件を絞り込み、実店舗に行くのは物件を確認するためや契約の時だけ、という入居希望者がほとんどだと思います。

また、ネットの中でもここ数年急激にスマホの利用率が高まっています。スマホ利用者が重視しているのは、「動画を見ることができること」、「写真点数が豊富に掲載されていること」です。ただ写真点数が多ければいいというものでもありません。いかに目を引く写真を掲載するか、「スマホ映え」する写真かどうかが肝心です。スマホ掲載を前提とした写真の工夫をぜひ考えてみてください。

初期費用が望めない傾向に。長期入居を目指すべき

関西圏の賃貸市場はどうでしょう。図表1は大阪市全体の間取り帯別・平均賃料の推移です。「掲載」はSUUMO賃貸に掲載された物件で、「反響」は問い合わせがあった物件です。

掲載物件と反響物件で賃料に乖離があると、希望通りの賃料で貸しにくい状況といえますが、近年は反響のある物件の平均賃料が上昇傾向にあり乖離も少なくなっています。都市部ではこの特徴が顕著で、大阪中心4区(中央区、北区、西区、天王寺区)では、反響賃料が多くの間取り帯で上昇し、特に広めのファミリー層向けが好調です。背景には共働き家庭が、利便性を重視して職場に近いところに住まいを確保する行動傾向があるようです。

礼金・敷金に目を転じると、大阪市での礼金は、2017年は2010年に比べて家賃の約1カ月分弱減少、敷金も1カ月分を切っており、経年で減少傾向です。

さらに敷金ゼロ物件の割合は、大阪中心4区でも7割弱を占めています。つまり、初期費用を入居者から多く受けることが年々難しくなっています。また、成約までの日数は、大阪市北区のマンションの場合、概ね40日で成約しています。

ですが、郊外の茨木市のマンションでは、60日前後という結果が出ています。「礼金・敷金を頂きづらくなっている上に、次の入居者がなかなか決まらない」、という状況で、考えなくてはならないのが、「いかに長期にわたって入居してもらうか」ということです。

家で過ごす入居者が急増!彼らが好む内装・設備とは

では長期入居してもらうために何をしたらいいのでしょうか。それは、長く愛着のもてる部屋にすることです。例えば、SUUMOのアンケートでは立地条件よりも、内装デザインの改修と設備の充実を重視するという消費者傾向がありました。

内装テイストとして人気があるのがナチュラルやウッドといった、自然素材や木の温もりを感じさせる空間です。最近は無垢材によるフローリングを売りにした物件も人気です。また、壁紙一点変えるだけでお洒落になり、「スマホ映え」もする空間になります。差別化を図るために採用を考えてみてはいかがでしょうか。

近年は家の中で余暇を過ごす、「家ナカ消費」を好む人も増えてきています。その影響は設備の調査におけるランキングにも表れています。例えば、水光熱費のランニングコストを下げる「都市ガス」「追い焚き機能付き風呂」「断熱・遮熱性能の高い窓」などが上位にランクインしています。

また、当然ネット環境も重視され、「Wi-Fi」「高速インターネット」が無料・安価であることが求められたり、ネットショッピングを便利にする「宅配ボックス」もランキング上位に位置しています。これに加えて「玄関ドアのオートロック」「TVモニター付きインターフォン」などのセキュリティ系の設備が目立っています。

賃貸経営は個別ニーズへの対応が鍵

今後の賃貸市場では、多様化するライフスタイルに対応して、個別のニーズにマッチした部屋の提案が有効と考えています。例えばペット共生型、また、高齢者の見守りサービスやLGBTにフレンドリーであるなど、個別に困っている人のニーズに応えていく物件へのニーズも顕在化してくるでしょう。少子高齢化の時代で勝ち残っていくためには、ターゲットを絞って、少数であっても確実に選んでもらえる物件になることが大切だと思います。

最後に今後人気が高まりそうなエリアを紹介します。まずは現在「うめきた」再開発で注目されている大阪の周辺エリア。そして、インバウンド効果で活気を見せている難波周辺。特に難波は地価上昇率が高く、タワーマンションの建設も活発です。また、新大阪駅から関西国際空港までつながるなにわ筋線の開通の予定もあり、注目されています。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2017年12月14日時点の情報です。

取材・文/本多 智裕

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