洗濯物の部屋干しニーズが上昇中。室内物干しなどの小さな工夫で差別化のチャンス

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公開日:2025年1月22日
更新日:2025年1月22日
洗濯物の部屋干しニーズが上昇中。室内物干しなどの小さな工夫で差別化のチャンス1

防犯意識の高まりや共働き夫婦の増加、空気の汚れなど、様々な理由によって洗濯物を部屋干しする人が増えています。すでに持ち家ではランドリールームや室内物干しなどのあるプランが人気で、今後は賃貸物件でもニーズが高まると考えられます。昨今の洗濯事情についての調査や、賃貸物件で差別化につながる洗濯まわりの工夫についてご紹介します。

全体の7割が室内干し。そのうち半数が「常時」と回答

最初にご紹介するのが、通販事業を展開する(株)千趣会による調査です。共働き世帯を対象に、夫婦の家事の分担や洗濯についてアンケートを行っています。

洗濯物の部屋干しニーズが上昇中。室内物干しなどの小さな工夫で差別化のチャンス2

その結果、「室内干し」をしている家庭は全体の72.1%。うち49.5%もの家庭が「常時」室内干しをしていることがわかりました。洗濯をする時間帯を聞いたところ、「朝」という回答が6割を超えましたが、「夜」と答えた層も5割弱おり、「朝できなかった日は夜に」という生活スタイルが推察できます。

部屋干しをする理由としては、多い順に「季節性の外的影響(梅雨・ゲリラ豪雨・花粉など)を受けたくない」「天気に左右されるのが嫌」「時間の制約を受けたくない」といったもの。しかし「乾きにくい」、「部屋干し臭が気になる」、「生活感が出る、インテリアに馴染まない」という困りごともあるようです。

部屋干しをしている場所の理想と現実を聞いたところ、現実は「リビング」「寝室」、理想は「ランドリールーム」「浴室」が上位に入っています。

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洗濯物の部屋干しニーズが上昇中。室内物干しなどの小さな工夫で差別化のチャンス2

洗濯プロセスそのものに変化あり。「たたむ・しまう」も省略?

他の調査データも見てみましょう。2022年と少し前のデータですが、住まいに特化したソーシャルプラットフォーム「RoomClip(ルームクリップ)」が、洗濯に関するユーザー投稿の分析をまとめています。

まず、「洗濯」というキーワードを含むタグの種類が2017年頃から急増しています。タグとは、投稿する写真につける文字情報やECサイトの商品情報のこと。タグが増えるということは、関連する話題が盛り上がっている、タグの種類が増えることは関連する話題が多様化していると考えられます。

さらに、「部屋干し」の投稿水準を見てみると、2021年は2017年と比べて1.95倍に増加。一方で「外干し」の投稿水準は2019年→2021年で0.56倍に減少しました。

「部屋干し」と併用される「もの」に関するタグで多いのが「消臭除菌洗剤」「ホスクリーン」「サーキュレーター」。場所に関するタグで最も多いものが2017年〜2019年は「リビング」でしたが、2020年は「ランドリールーム」、2021年は「洗面所・脱衣所・浴室」と変化。「ランドリールーム」の投稿水準は2017年比で3.3倍、検索水準は4.5倍も上昇しました。

洗濯物の部屋干しニーズが上昇中。室内物干しなどの小さな工夫で差別化のチャンス2

ところで、洗濯物を乾かした後には「たたんで、しまう」工程が発生します。しかし2017年以降、投稿水準・検索水準ともに「かける収納」が増加傾向。部屋干しで乾いた衣類をハンガーにかけたまま収納している人が増えており、洗濯の工程そのものを効率化する動きが見てとれます。

若い世代でも高い部屋干し率

最初に紹介した調査の対象は共働き世帯に限定したものでしたが、性別や年代によって違いはあるのでしょうか。(株)プラネットによる洗濯に関する意識調査では、「屋外(庭・ベランダ・軒下など)に干す」が73.6%で最多で、次点が「室内に干す」という56.9%でした。

しかし、女性20代については「屋外に干す」という人が58.7%、「室内に干す」という人が67.4%で、室内干しが10ポイント近くも高くなっています。

その他、男女ともに30代で、室内干しをしている人の割合が外干しをしている人よりも高くなりました。年代が上がるにつれて外干しの割合が増える傾向にあり、男女とも70代以上は8割を超えています。

同調査では、コロナ禍による洗濯に対する意識の変化についても聞いています。

洗濯物の部屋干しニーズが上昇中。室内物干しなどの小さな工夫で差別化のチャンス2

フリーコメントを抜粋すると「以前は同じ服を何日か着ていたが、一度身につけた衣類は翌日に洗濯するようになった」「外出するときに着ていた衣類はすぐ脱いで洗濯するようになった」「外干しをしなくなった」などの声が挙がっていました。

衛生面への意識が高くなり、外で付いているかもしれないウイルスはなるべく早く落としたいという意識の人が増えたようです。

賃貸では室内洗濯機置場はもはや必須。浴室乾燥機も引き続き高いニーズ

洗濯プロセスの合理化や衛生意識の高まりなどもあって、共働き世帯や20代・30代を中心に洗濯物を部屋干しする人が増えていることがわかりました。部屋干しをする場所はリビングが中心ですが、浴室や洗面室など洗濯機の近くに干す人も。ランドリールームがあれば理想ですが、持ち家でないと難しいかもしれません。

このような変化は、賃貸住宅に対する洗濯関連のニーズにも表れているのでしょうか。全国賃貸住宅新聞が毎年10月頃に発表している「人気設備ランキング」の2024年版を見てみましょう。

「この設備がなければ入居が決まらない」必須設備編では、単身向け・ファミリー向けともに「室内洗濯機置場」が2位でした。単身者向けでは前回3位から順位を上げています。室内に洗濯機置場があることはすでに外せない条件です。

次に「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」付加価値編では、「浴室換気乾燥機」が単身者向けで5位に、ファミリー向けで9位にランクインしています。

洗濯物の部屋干しニーズが上昇中。室内物干しなどの小さな工夫で差別化のチャンス2

単身向け、特に部屋干し率の高い20代女性をターゲットにした賃貸物件では、浴室に洗濯物が干せる浴室乾燥機が大きな差別化につながりそうです。主な賃貸物件ポータルサイトの検索項目にも設けられており、探している人に見つけてもらいやすくなります。

低コストで導入できる室内物干しのおすすめの設置場所

浴室換気乾燥機の設置費用相場は、リショップナビによると5~28万円。後付けも可能ですが基本的には工事が必要で、それなりの設備投資になります。また、スペースによっては設置できない場合もあります。

それよりも低コストで設置可能なアイテムが室内物干し。費用相場は数万円程度で、DIYでも取り付けができます。

洗濯物の部屋干しニーズが上昇中。室内物干しなどの小さな工夫で差別化のチャンス2

取り付け場所としては、洗面室の他、日当たりのよい窓際や玄関まわりなどがおすすめです。窓のない場所に取り付ける場合は、サーキュレーターなどを使うことを考えて、電源があるとより便利に使えます。

また、コロナ禍以降はコートなどに付着したホコリやウイルスを室内に持ち込みたくないという人が増えています。そのため玄関付近にコートをかけられる場所があれば、とても重宝されます。

室内物干しは種類も豊富。バーが着脱可能であったり、高さを変えられたりするタイプもあります。おしゃれなアイアン調のハンガーパイプなどは特に、内見の時に「いいな」と思ってもらいやすいでしょう。競合物件との手軽な差別化として、賃貸オーナーは一度検討してみてはいかがでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年1月21日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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