【資産防衛10の鉄則】優良資産を残す売買・組み換え

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公開日:2018年9月1日
更新日:2019年11月18日

これまでの銀行の資産評価▶換金性と時価でチェック

複数の不動産を所有する不動産オーナーであれば、純資産は豊富なことが多い。ただ注意したいのは、資産の評価方法が変化しつつあること。従来、多くの銀行は、固定資産税評価額や路線価をベースに“積算法”で不動産の担保評価をしてきた。

「しかし最近は、その不動産からいくらの収益が得られるのか、つまり“収益還元法”で評価する銀行が増えています」

収益性の低い不動産は、いくら面積が広くて固定資産税評価額や路線価が高くても、資産評価は低い。収益還元法による収益価格が市場で売買される時の実勢価格=時価に近いからだ。路線価ベースの評価では純資産があったのに、収益還元法に基づく時価会計で見ると債務超過という場合も多い。

収益価格が高ければ収益性が高いということなので、投資家にも売れやすい。処分性・換金性・流動性にも優れている。

「お金持ちの共通点は、B/Sの中身が良質かどうかを常に意識していることです。良質な資産とは流動性が高いこと。それを増やすための財務戦略の一つとして、資産の組み換えは必須です。まず、将来性の見込めない資産を売り、いったんキャッシュに換えます。もともと純資産が多い上にキャッシュがあれば、銀行の信用力は絶大です。キャッシュを温存しながら融資を受けて良質な資産を購入することで、大きく資産を膨らませる好循環が生み出せます」(菅井氏)

“蟻の目”で見極め チームで取り組むべし

資産組み換えの第一歩は「不良資産の損切り」だ。

「入居率80%以下が3カ月以上続いたら売るなど、自分なりの基準を決めて冷静に実行しましょう。」

次は優良な資産の見極め。人口減少で地方や郊外はダメだという見方もあるが、必ずしも正解ではないという。

「人口動態などのマクロのデータも重要ですが、現場にフォーカスする“蟻の目”を持つことが大切です。意外な場所でピンポイントのニーズを見極めれば、高利回りの運用も可能です。例えば『進学校が近くて家族で住める3LDKに引っ越したい』『高齢の親と近居したいが近くにアパートがない』といった要望が解決できれば、多少は駅から遠くても需要のある場所が見つかります」

こうした有望な案件を見つけるためのポイントは2つある。1つは「銀行の信用力があり購買力がある人に良い情報が集まる」ので、 前述した財務感覚に磨きをかけることが大切。もう1つは「知恵者を集めてチームを組み、英知を結集して取り組むこと」だ。

「税理士、弁護士、金融関係、管理会社、オーナー仲間など、メンバーとの会話の中から、インターネットなどの表に出てこないアナログな情報をキャッチできます」

そんな交流を通して経営感覚も磨かれるはずだ。

資産防衛10の鉄則

1)「先祖伝来の土地を守る」「売ってはいけない」という呪縛が衰退を招く

2)相続税から「財産を守る」には「資産を増やす」ことが不可欠

3)相続税の納税資金の準備が遅れると、優良な資産から失ってしまう

4)資産の優劣(流動性・収益性)を見極め、不良資産は早めに売却。現金化

5)資産の組み換え、資産形成には銀行の融資が必要

6)“経営者意識”がないオーナーは銀行の格付けが低い

7)赤字(P/L)・債務超過(B/S)は 融資が下りない。財務感覚を磨く

8)時代の変化を見極め、常に最新の入居者ニーズに対応する

9)知恵者を集めてチームで考える

10)5年先、10年先の事業計画書を作る

※この記事内のデータ、数値などに関しては2016年12月12日時点の情報です。

取材・文/木村 元紀

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