その一手が分かれ目!収益不動産を有利に売買するコツ
- 売却・購入・組み換え
資産の棚卸しを行って物件の売却・購入・組み換えを決めても、注意すべきポイントを知らないという人も少なくありません。「資産組み換えのタイミングをどう考えるべきか」「より高く売り、より安く買うコツ」はあるのか。収益不動産の情報サイト「健美家(けんびや)」の代表取締役社長、倉内敬一さんにズバリ伺いました。
1998年リクルート入社。住宅情報(現SUUMO)事業に携わる。不動産販売会社を経て、2008年健美家(株)入社、2012 年代表取締役社長に就任。
売買のタイミングを見極める
不動産を有利に売買するには、タイミングを見極めることが重要だ。現在の市況はどうなのか。
「2012年後半から収益不動産が上昇トレンドに入っていますから、売却には良いタイミングです。不動産投資家へのアンケートでも約55%が、価格高騰を理由に“売り時”と答えています」と倉内さん。
しかし、郊外や地方のオーナーからは「価格の上昇は大都市中心部だけでは」と疑問も上がりそう。「実は“売り時”の理由の第2が『投資家増加で需要があるから』です。資金力の乏しいサラリーマン投資家の多くが、都心より価格が低く、利回りの高い築古物件を狙っている。その意味でも、売却のチャンスなのです」
では購入するタイミングとしてはどうか。購入資金を持つオーナーにとっては、価格高騰期だからこそ、より競争力のある資産に組み換えることが可能だという。
「『価格が上がっている時にしか表に出ない物件がある』のが不動産の鉄則です。特に都心の優良物件ほどそれが当てはまります。今は、めったに売りに出ない優良物件に巡り合うチャンスといえます」
所有物件を高く売るための戦略とポイント
高く売るために一番重要なのは「物件の状態を良くしておくこと」だと倉内さんは強調する。建物のハード面の管理状態と入居状態の両面があるが、特に後者が重要だ。「空室が多いと、投資家(購入者)から価格交渉を受けやすくなるため、なるべく満室に持って行きたいですね。リノベーションで付加価値を付け、家賃を上げることも有効です。『収益力アップ=高く売るコツ』。価値を高めたピークの状態で売るのがベストでしょう」
賃貸住宅のマーケットとして将来性が乏しいエリアでは、用途変更も一つの方法だ。物流倉庫、ロードサイド店舗などの需要が見込めるケースがある。
売却活動のスタートは、価格査定から始まる。複数の不動産会社や管理会社に打診するのが望ましい。単に、価格の高いところを選ぶのではなく、経験とノウハウの有無で判断することがポイントだ。「査定は原則無料で、査定してもらっても媒介契約を結ぶ義務はありません。営業担当者に面談した時、値付けの根拠や収益不動産を取り扱った実績があるかを確認しましょう。賃貸仲介や個人向け住宅の売買とは別世界だからです。大手不動産会社でも、意外に不動産投資の知識やノウハウがない担当者も多い。経験豊富で相性の良い担当者を、パートナーに選ぶことが大切です」