その一手が分かれ目!収益不動産を有利に売買するコツ
- 売却・購入・組み換え
優良物件の探し方と安く購入するポイント
オーナーの購入目的や希望条件は何か。「目先の相続税対策なのか」「長期的に資産価値を高めたいのか」「個人で買うか法人で買うか」などを明らかにすることが先決。それによって「優良な物件かどうか」が分かれるからだ。
「オーナー個々の資産背景や事情に合わせて、価値を一番高めてくれるものが良い物件といえます。『不動産は立地が一番』というのが普遍的なセオリーですが、住宅か店舗かによっても立地を選ぶ視点が変わりますから」
近年、収益不動産もインターネットで探す投資家が増えている。オーナー自身でネットを検索して相場観を養ったり、知識を付けることも大切だ。とはいえ、まだまだ表に出ない非公開物件が多いのも現実。収益不動産の取り扱い実績が豊富な不動産会社や管理会社に買いの仲介を依頼するのが、良い物件に出会う近道だろう。
購入物件がオーナーの取引銀行の営業範囲外のエリアとなる場合は、資金調達力もカギを握る。仲介を依頼した不動産会社に金融機関とのパイプがあり、アパートローンの勘所を押さえた担当者がスムーズに融資付けしてくれるかどうかもポイントの一つだ。
物件の良し悪しを見る上では、ハード面の調査も大切。「買ったとたんに予想外の修繕費がかかった」という失敗談も多い。建物面の難点は価格交渉の武器にもなる。
さらに「なるべく安く買うには、売主の売却理由を知ることが欠かせない」と倉内さん。右肩上がりの市況で「高く売れるなら売る」という売主に値引きを迫っても無駄だろう。一方、相続税の納税のために早く現金化したいオーナーなら多少の値引きに応じてくれる可能性が高い。資産組み換えで、先に売却して手持ち資金が豊富な場合、「現金で買う」といえば、市況にもよるが、さらに有利な交渉ができるかもしれない。
収益不動産の価格が妥当かを見極めるのは難しい。表面的な価格の高低に捉われるのではなく、経費を差し引いた実質利回りで見て、キャッシュフロー(現金収支)を試算して納得した上で最終的に判断したい。
売買を依頼する会社を選ぶ時のポイント
売却の依頼先として「所有物件を委託している管理会社以外の不動産会社」を選ぶケースが6割に達するという調査もある。管理会社は「売却=管理戸数減少」と受け止め、積極的に動かないケースが多いからだ。
しかし「入居状況や修繕履歴を記録し、地域マーケットもわかっている管理会社が、本来は一番高く売る能力があるはず」と倉内さんは指摘する。購入先の選択に当たっても、建物の目利きができる管理会社をパートナーにし、買いのエージェントとして動いてもらうと心強い。
またオーナーの売却・購入の事情や資産・相続の状況などをよく理解して、的確なアドバイスをしてくれる会社を選ぶことも大切だ。
まずは委託先の管理会社に声をかけ、売買仲介の経験や意欲があるかを確かめてみよう。意欲があれば、その管理会社を含めて収益物件の扱いに慣れた複数の不動産会社に相談する。それが良いパートナーを見つけるコツといえるかもしれない。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2017年12月12日時点の情報です。
撮影/青木 茂也 イラスト/加藤 愛里(asterisk-agency)