業務を依頼したら断られた、管理替えで違約金を請求された…賃貸管理で起こりうるトラブル
- 建物管理
Q4.サブリース会社から高額な保証家賃を提示され、マンション建築を提案されています。
A4:保証家賃は減額されうる、ということを十分に理解したうえで建築計画を立てましょう。
サブリースによる高水準な家賃の保証を約束するなどしてマンション建築を勧誘されることがあります。しかし、相場に比べて高めの保証家賃が入ることを前提に計算し、ローン返済や資産運用の計画を立てたのに、数年後に管理会社から保証家賃の減額を求められるという問題が多発しています。
実は、保証家賃の減額を認めない旨の条項が契約書に盛り込まれていたとしても、借地借家法上、将来の賃料を固定化する条項は無効となるおそれがあります。
仮に賃料の減額を認めないとしても、「それなら解約する」と言われれば、オーナーは経済的に苦しい立場に追い込まれます。今後建築するオーナーは、家賃の減額請求のリスクがあるという前提で収支計画を立てることをおすすめします。
Q5:前の借主が残したエアコンが故障して、入居者から家賃の減額を求められました。
A5:賃料減額に応じなければならない場合も。設備類の故障に関する契約を忘れずにしましょう。
賃貸物件の一部が入居者の落ち度なく使用できない状態になると、入居者はオーナーに対し、家賃を減額するよう求めることができます(民法改正以降は当然減額)。
例えば、前の入居者が「私物のエアコンを次の入居者用に残してもいい」と申し出てきた場合、そのまま使ってエアコンが故障すると、新しいエアコンへの取替え費用の他に、取替え完了までの期間について、入居者から家賃減額請求をされるおそれがあります。
部屋に備え付けられた備品も賃貸物の一部となるので、対価をもらう以上は品質を保証する必要があります。前の入居者が残した家電の故障の際には賃料減額しない旨の条項を入れる、備品に問題がないか前もって詳細に確認するなどの方策を検討しましょう。
Q6:入居者から「管理会社の対応が不誠実だ」というクレームが届きました。
A6:入居者が責任転嫁、もしくは過大な要求をしている可能性もあるので、冷静に判断して対応しましょう。
入居者に対して威圧的な態度をとる、修繕の手配を怠るなど、本当に管理会社に問題がある場合、オーナーに対しても入居者との賃貸借契約上の契約責任が問われ、損害賠償等を求められかねません。管理契約の解約も含めた対処方法の検討が必要です。
ただ、管理会社は滞納賃料の督促や騒音に対する注意など、入居者にとって必ずしも心地良くない業務をしている場面もあります。そのため、入居者が逆恨みして根も葉もないことをオーナーに伝えてきている可能性もあります。
クレームに対する適切な対処をするためには、早期の十分な事実確認が重要なのは言うまでもありません。まずは管理会社に連絡をして,事実聴取を綿密に行うようにしましょう。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2020年3月4日時点の情報です。
イラスト/黒崎 玄