相続対策の基礎知識(1)|分割・納税資金・節税対策の基本を解説【不動産オーナー向け】
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相続は突然やってくる。事前の準備を怠ると、大切な財産は守れない。特に、アパート・マンションを経営するオーナーはさまざまな対策を考えておくことが必要だ。親から子へスムーズにバトンを渡すために、今、一緒に考えておきたい、相続対策の基本と最新事情を大特集!(監修協力:フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定)
相続が開始すると申告・納税まで10カ月!対策は3年以上前から
人が亡くなると相続は自動的に始まる。申告納税までわずか10カ月の短距離走だ。遺族は悲しむ間もなく、いくつものハードルを越えなければならない。
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相続人が死亡すると自動的に相続開始
(7日以内に死亡届、遺言書の有無確認)
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開始3カ月以内「相続の承認」
(単純承認・限定承認・相続放棄)
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遺産分割協議の開始
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開始4カ月以内被相続人の所得税の準確定申告
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相続登記・名義変更などを行う
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開始10カ月以内に相続税の申告と納税
※申告後5年間は税務調査への対応や修正申告が発生する可能性がある。また、相続税を払いすぎた場合は「更正の請求」ができる(申告後5 年以内)
だからこそ、前もって相続対策を始めることが大切だ。相続税には「相続開始前3年以内の贈与は課税価格に持ち戻される」など3年を縛りとする条項が多い。少なくとも想定される相続の時期の3年以上前から対策を始めたい。家族みんなが納得できる相続のためには、親子の気持ちをすり合わせるコミュニケーションが不可欠だ。
家族に受け継ぐ財産は、何も対策を打たなければ、相続税額分だけ目減りする。かといって、過度な節税対策には、税務当局の規制が入る傾向が強まっている。
相続対策は「分割・納税・節税」の3本柱をバランス良く
相続税の有無にかかわらず必要な財産の「分割対策」を軸に、相続税の支払い原資の準備を行う「納税資金対策」、そして「節税対策」をバランスよく組み合わせることが相続対策には大切だ。
そして、これらの対策全体を「管理」することの重要性も高まっている。
相続対策の3本柱
スムーズな引き継ぎのために、事前に財産の分け方を決めておくこと。親子で話し合って、共有しておこう。
相続税は現金一括納付が基本。どのくらいの納税額になるかを試算し、資金を準備しておくことも忘れずに。
贈与や財産の組み換えを行い、課税価格を減らすことが節税につながる。リスク回避も加味した対策を。
決めた対策を正しく実行できる仕組みを作っておくことが重要。また、時間が経てば財産の価値も相続人の状況も、制度も変わる。財産が減らないように、できれば少しでも増えるように運用しながら、定期的な見直しをしよう。