相続対策の基礎知識(1)|分割・納税資金・節税対策の基本を解説【不動産オーナー向け】

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公開日:2020年6月8日
更新日:2020年6月15日

相続対策でまずはじめにやることは、財産と相続人のリスト化

相続対策の第一歩は、財産の中身と相続人を洗い出すことだ。

まず、財産の中身。預貯金、株式、不動産、貴金属や美術品など、種類別にリストアップする。さらにそれぞれの経済的価値を割り出して、総額を出す必要がある。現金や普通預金は額面通りだが、同族会社の非上場株式や不動産は算出が難しい。

たとえば不動産は、市場で売買される実勢価格=時価と相続税評価額が違う。公平に分割するには時価で考え、税額は評価額で計算するので、両方を割り出さなければならない。正確な額を出すには、不動産鑑定士や相続に強い税理士などの専門家に相談するのがお勧めだ。

次は相続人。相続は世帯内で完結すると考えがちだが、そうとは限らない。もし、子どもがいなければ自分の親や兄弟が相続権を主張する可能性もある。相続人になる資格がある人と、その順番、相続割合が法律で定められているからだ。

民法で定められた相続人と相続順位

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法定相続分通りに分けなくてもいいし、相続人以外に遺贈することもできるが、法定相続人の数は、相続税を計算するときの基礎控除額と関係するため、きちんと把握しておきたい。

ゴールと行程を想定して相続対策を

具体的な対策の前に決めておきたいのが、相続対策のゴールだ。財産の規模を守りたいのか、賃貸経営を続けてほしいのか。あるいは子どもは何を望んでいるのか。親として目指したい最終形をイメージしながら、なるべく家族で話し合って基本方針を立てる。

また、いつまでに何をどう実行するのかというスケジュールも大切だ。取り組むなかで目先の節税額にとらわれたり、途中で目的を見失ったりしないようにしよう。

Case study:5人家族の大家イチロウさんファミリーの場合は?

なにも対策をしないと相続税は約2300万円

下図の大家イチロウさんの例で対策方法を学んでいこう。大家イチロウさんの財産には、自宅とアパート2棟、それに預貯金がある。

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【相続財産】2億5200万円(評価額)/時価4億円
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●自宅(世田谷区)(時価1億円)

7,500 万円(評価額)
敷地60 坪(約200㎡)
土地評価額:6,000 万円
建物評価額:1,500 万円

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●アパート(木造・8戸×2 棟。築15 年)(時価2 億円)

5,850万円×2 棟=1億1,700万円(評価額)
敷地:60坪(約200㎡)×2=120 坪
土地評価額:4,800 万円×2=
9, 600 万円(貸家建付地)
建物評価額:1,050万円×2= 2,100万円(貸家)

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●その他財産

預貯金・株式等:6,000 万円(債務控除後)

(現時点の)【相続税額】(総額)2,312万円

※自宅、アパートに小規模宅地等の特例を適用。法定相続分通りに分割した場合、配偶者は配偶者税額軽減で0 円、子どもは各369.95万円(3人で1,109.85万円)

法定相続人は妻と子ども3人の計4人。相続税は約2300万円と予想される。しかし、このままではスムーズに分割できないおそれがある。

何も対策を講じないと、多額の相続税を納めなければならない。しかし、きちんと対策を行うことで、多くの資産を次代へ受け渡すことが可能になる。

「分割」を優先しつつ、「納税資金」「節税」の3つを軸に、相続対策を検討しよう。

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※この記事内のデータ、数値などは2020年5月25日時点の情報です。
文責/木村 元紀 イラスト/アサミナオ

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