会員数600人以上!女性大家さんの会「エレガントオーナーズ」

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不動産投資といえば、やはりまだまだ男性社会。大家さんの会やセミナーに行っても男性ばかりで、数少ない女性には声をかけづらい。まわりのママ友に相続や投資の話などできるはずもなく、ひとりで悩んでいる女性投資家は多い。ご自身もそのうちのひとりだったという五十嵐未帆さん。「同じ女性同士、育児や主婦業の苦労も分かち合いながら、気軽に情報交換したり、お互いを高めていけたら」。そんな想いで立ち上げた『女性大家さんの会 Elegant Owners(エレガント・オーナーズ)』についてお話をうかがった。

会員600人以上。仕事も子育てもがんばる女性大家さん最大のコミュニティ

事務局の大野さん(左)と代表の五十嵐さん(右)

女性大家さんの会 Elegant Owners(エレガント・オーナーズ)

会員数は600人。北海道から沖縄、新築、中古、一棟、区分など様々な人たちが集まる。月2回程度、セミナーやワークショップを実施。会ごとに参加費(2,000円~4,000円)や懇親会の会費(実費)がかかる以外、年会費の徴収などはない。


出産直後にお父様の急逝。3棟のオーナーに

ファイナンシャルプランナーの国際ラインセンスCFPをもち、財務コンサルタント会社にお勤めだった五十嵐さん。

「最初の子どもが産まれた2ヶ月後に、突然父が事故で亡くなり、自分や家族が相続した3棟のアパートを管理することになりました。育児休暇から復職した後は、仕事も子育てもしながらの大家さん業でしたね。お金も手間もかかる築古物件の自主管理の厳しさを、3年ほど経験しました」

その後は管理会社に管理を委託し、2人目、3人目の子どもを出産。働くママとして奮闘する五十嵐さんに、子どもの急な発熱で出勤できないジレンマや、兄弟が同じ認可保育園に入れない現実など、仕事と育児の両立の壁が立ちはだかる。

「保育園については、市長に手紙を書いたんですが、玉砕・・・。毎日の子どもの送迎と通勤に体力的にも精神的にも限界を感じはじめていました。そんな時、ふと気付いたんです。父親が遺してくれたアパートが、自分が毎日外で働いて得るのと同じぐらいの収入を月々安定して生み出してくれていることに」


「これまで犠牲にしてきた家族と過ごす時間を、大家業に専念することでつくり出せるかもしれない」。その思いから一念発起し、不動産投資の勉強を始めた五十嵐さん。会社を退職し、2011年に資産管理法人を設立。9棟を購入し、3棟を売却、築古1棟をフルリノベーションした。


そうした経験を積むうちに、「出産や子育ての間も生活を支えてくれる不動産投資は、女性にこそやってほしい仕事」との確信を得たという。


「誰にも相談できない」というジレンマを越えて

不動産投資を始めてしばらくの頃は、情報収集のためセミナーに通う日々が続いた。

「女性の友人を作りたかったのですが、なかなか女性の参加者自体が少なくて。開催時間も夜や土日がほとんどだから、平日の昼間しか動けない主婦の私にはハードルが高かったんです」

もっと気軽に不動産の話をしたり、悩みを相談したい。でも、ママ友に不動産投資をしているなどとは言えない。「同じ悩みを持つ人が他にもいるのでは?」との考えが、女性だけのコミュニティ設立につながった。

5周年を迎えた現在、会員数は600人。沖縄や北海道から参加する会員もいるという。おもに月2回程度、セミナーやワークショップを行っているが、その内容もバラエティー豊かだ。

「今日は便利屋さんをゲストに招いてのワークショップを開きました。あまり知られていないお仕事ですが、自主管理で、力仕事が難しい女性大家さんにとってはありがたい存在。その活用術や選び方などをお話していただきました」

ユニークなところでは、実際に五十嵐さんの自宅のリビングを使って、DIY補修のワークショップを行ったことも。もちろん、ファイナンシャルプランナーとして財務系のセミナーの講師もつとめる。

「セミナーやワークショップの内容は、会員の方が学びたいことをアンケートで募って決めています。金融機関への融資資料作成法などは、数字に慣れていない女性にも分かりやすい内容を心がけています」

セミナーの後は、ランチをいただきながらの情報交換。参加しやすい価格帯でも行くのが楽しみになるような、ちょっとおしゃれで美味しいお店を選ぶようにしている。毎回、おしゃべりに花が咲き、とても盛り上がるそうだ。

悩みも経験も、ともに「シェア」して楽しむ姿勢

『Elegant Owners(エレガント・オーナーズ)』では、セミナーごとの参加費2,000円~4,000円と懇親会の会費(実費)以外は、とくに年会費などは徴収していない。会員の投資のスタイルも新築、中古、一棟、区分など様々で、その悩みも多岐にわたるという。

「物件の規模や種類は関係なく、誰かが悩みや疑問を口にしたら、その場にいるみんなで解決しましょうというスタンスです。お金の話ばかりにならないところは、女性の会ならではかもしれませんね。たまに『エレガント(な見た目)じゃないとダメですか?』と聞かれますが、もちろんそんなことはありませんよ!」と笑顔の五十嵐さん。


「儲かりさえすればいいというのではなく、自分の不動産に命を吹き込むお仕事を楽しんでもらえたらいいなと思います。会員さんのなかには、たとえば物件のDIYに女性らしい細やかな心配りを取り入れていらっしゃる方などもいて、私自身もお話を聞いて勉強になることが多いですね」


最後に、今後の市況と活動についてお聞きした。

「融資が厳しくなって物件が買いづらく、賃貸市場も供給過多で空室対策に悩む難しい時代ではありますが、投資には必ず波があります。今は知識とお金を貯める準備期間。セミナーでは、ストレージサービスやシェアスペースなど、お金をかけないで物件を有効活用する方法があることなども伝えていこうと考えています。会としては、大手不動産会社との情報交換を行い、女性の意見や思いを積極的に伝えることで、業界全体を良くしていきたいと思っています。今後も私が学んだことを会員のみなさんにシェアして、ひとりでも多くの女性に幸せになってほしいですね」。

五十嵐さんのお話には、この「シェアする」という言葉がよく出てくる。ご自身の経験や悩みもシェアする(=分かち合う)ことで、孤独なビジネスをともに愛し、楽しんでいこうとする姿勢。そのしなやかさこそが、まさにエレガントだ。

※この記事は2018年8月に取材をしたものです。

取材・文/丸石 綾野 撮影/豊島 正直

スムスム君

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