2022年度税制改正の要点を税理士が解説!どうなる贈与税?成人年齢引き下げで何が変わる?

相続/節税/保険
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公開日:2022年6月8日
更新日:2022年7月11日
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2022年度の税制改正法が、3月22日に成立しました。今回の改正で、賃貸住宅オーナーが注目するべきポイントと、4月1日から施行された成年年齢引き下げが与える影響について、税理士の髙原誠先生に解説してもらいます。

お話を聞いた方
2022年度税制改正の要点を税理士が解説!どうなる贈与税?成人年齢引き下げで何が変わる?2

税理士 髙原 誠 氏

フジ総合グループ 副代表/フジ相続税理士法人 代表社員。
東京都出身。平成17年税理士登録、平成18年フジ相続税理士法人設立。相続に特化した専門事務所の代表税理士として、グループ会社である不動産評価部門の株式会社フジ総合鑑定とともに、年間約950件の相続関連業務に携わる。不動産・保険等への造詣を生かした相続実務に定評があり、各種媒体への寄稿・取材協力も多数行っている。

2022年度税制改正で、大家さんに関連する項目のまとめ

今回の改正で注目したいポイントは住宅ローン控除制度の見直しについてです。控除期間が4年間延長となり、控除率が引き下げられました。住宅ローン控除はマイホーム取得時から適用を受けられる制度で、賃貸併用住宅の場合は、自宅部分のみの適用となります。

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ただしこれから取得する人に向けた制度のため、現在自宅を所有している賃貸オーナーへの影響はそれほど大きくなさそうです。その他、オーナーに関わりのありそうな改正は、「住宅取得等資金贈与の非課税限度額引き下げと特例延長」、「住宅地の固定資産税の据え置き特例終了」、「30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例延長」、「財産債務調書の提出対象者の拡大」などが挙げられます。

税制改正でオーナーに影響を与える主な項目

●住宅ローン控除4年間延長、控除率引き下げ
控除率は1.0%→0.7%、所得上限は3,000万円→2,000万円など

●住宅取得等資金贈与の非課税限度額が500万円引き下げられ、2年間延長

●固定資産税の据え置き特例が住宅地については終了
商業地に関しては引き続き負担調整がある

●30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例は2年間延長
青色申告をしていることが要件。また、少額資産の経費算入の措置はすべて「(主要な業務以外の)貸出用を除く」と定められた

●財産債務調書の提出対象者の拡大
所得に関係なく、その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が10億円以上である居住者も提出義務の対象者に

意外に影響が大きい成年年齢の引き下げ

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改正民法により成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことが、特に相続税・贈与税の面において大きく関わってきます。具体的には、「未成年者控除」、「歴年贈与の特例税率」、「相続時精算課税」、「住宅取得等資金贈与」、「結婚・子育て資金贈与」、「非上場株式の贈与税の納税猶予」などが対象項目となります。

未成年者控除」は成年に達するまでの年数×10万円が相続税の税額控除になるものですが、これが縮小となります。「暦年贈与の特例税率」は20歳以上の人が直系尊属から財産の贈与を受けた場合に低い税率で贈与税が計算できるという特例ですが、これが18歳以上となり対象者が増えます。残りの4項目に関しても、それぞれ受贈者側の年齢条件が20歳以上から18歳以上に引き下げられ、対象者が増えることになります。

また、法律行為にも影響は出てきます。相続に関連したものとしては、18歳・19歳の人が遺産分割協議への参加資格を有することとなります。そのほかには「単独で相続放棄が可能」、「遺言執行者への就任が可能」、「公正証書遺言の証人への就任が可能」「普通養子縁組の縁組可能年齢引き下げ(養子
となる場合)」などが挙げられます。

成年年齢引き下げが影響を与える主な項目

相続税・贈与税関連

●未成年者控除の縮小
●暦年贈与の特例税率の対象者増
●各種特例の受贈者側の年齢条件引き下げによる対象者増
(相続時精算課税、住宅取得等資金贈与、結婚・子育て資金贈与、非上場株式の贈与税の納税猶予など)

法律行為関連

●単独で相続放棄が可能
●遺言執行者への就任が可能
●公正証書遺言の証人への就任が可能
●普通養子縁組の縁組(養子となる場合)が可能

暦年贈与の基礎控除がなくなる?これからの動向に注目したい、相続税・贈与税改正の流れ

今回の税制改正では見送られましたが、私が注目しているのが、相続税・贈与税の一体課税化への動きです。令和3年度・4年度税制改正大綱に相続税・贈与税のあり方や制度の見直しの必要性が今後の検討課題として触れられました。

具体的には、「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税と暦年課税制度のあり方を見直す」と書かれており、例えば欧米のように、相続財産と過去に贈与を受けた全ての贈与額の合計を相続税の対象とすることをが挙げられています。

この背景には、高齢世代に資産が集中し、若い世代に移りにくいという現状があります。より早いタイミングで現役世代に資産を移転することで経済活性化につながるという考え方です。このため、資産の格差を埋める機能はそのままに、早期に資産を移せる仕組みを作ることも検討課題としています。

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改正案として考えられるのは、暦年贈与の110万円の基礎控除枠の廃止・縮小、生前贈与加算の対象期間の拡大(現状:3年)、生前贈与加算対象者の拡大(現状:相続人/受遺者)、贈与の特例制度の廃止・縮小・要件厳格化など。私個人としては110万円の基礎控除枠がなくなる可能性は低いと考えています。

しかし、検討するとしているので、他の贈与も含めて何らかの改正はあってもおかしくはないでしょう。では、その時期はいつか気になるところですが、発表があるまで慌てて何かをする必要はありません。相続税との一体課税が行われても、効果的な贈与の方法はあります。例えば、現行の規定では相続財産に組み込まれる価額は贈与時の価額ですので、将来値上がりすることが確定している土地を早めに贈与することなどです。いつ改正があっても慌てないように、この機会にご自身の財産の中身を精査して、準備しておきましょう。

まとめ

●賃貸オーナーへの影響は少ない税制改正。住宅ローン控除4年間延長&控除率引き下げに注目

●成年年齢の引き下げは相続税・贈与税にも影響が。認められる法律行為の範囲も拡大

●相続税・贈与税は改正される方向にあるが、時期や内容は未定。できる準備はしておきたい

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※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2022年5月25日時点のものです。
取材・文/本多 智裕

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