【台風・地震・火災】賃貸オーナーに知ってほしい自然災害への備えと対策

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日本列島に地震や台風などの自然災害が頻発。いつどこで起きてもおかしくない災害へどう対応すればいいのか。事前にしておくべき備えと発生後のトラブルへの対処法を紹介しよう。

事前の備え

非常時に備え、今からでもできる、取り組んでほしい対策を紹介する。

賃貸住宅オーナーこそ加入すべき「地震保険」

自然災害への備えといえば損害保険が第一に挙げられる。ローンを借りてアパート・賃貸マンションを建てているなら、火災保険への加入は義務付けのため、未加入のケースは少ないだろう。しかし、その補償内容まできちんと把握していないケースが少なくない。

火災保険では、火災だけでなく風水害、物体の落下・衝突、突発的な事故による破損・汚損、盗難なども契約プランによって補償対象になる。こうした被害を受けたのに、補償があると知らず保険金の請求をしていないオーナーも多い。

逆に、補償を受けられると思っていたら、対象外だったというケースもある。典型的なのは、地震による火災だ。これは地震保険に加入していないと補償されない。地震保険に入っていれば、地震による建物の損壊・倒壊に加えて、液状化による沈下、津波による流失なども補償対象になる。

地震保険は任意だが、火災保険とセットで加入することが条件。現在の付帯率は全国平均で63%だ。(※ 損害保険料率算出機構「地震保険統計速報(2018年8月22日発表)」より引用)以前より増えているとはいえ、まだまだ低い。

熊本地震を体験した本誌読者のオーナーは「賃貸住宅は地震保険に加入するべき。掛金は経費で落とせるし、なにより地震保険に入っているという安心感がある」(※ オーナーズ・スタイル首都圏版44号「オーナーズ倶楽部」より引用)

と語っているのも事実。

火災保険については、風災、雹災(ひょうさい)、雪災の損害額が20万円未満では保険金が出ない契約や、自分の物件にはあまり必要でないオプションを付けている可能性もある。改めて、保険の種類や補償内容を把握し、必要な保証が受けられるか確認しよう。

定期的な消防設備点検と不具合の補修を徹底的に

建物の劣化状態はチェックしても、消火器・火災警報装置・誘導灯などの消防用設備の定期点検をしていないケースは意外に多い。これでは消防設備はあっても、非常時に稼働しないおそれがある。

消防法では、消防用設備について、半年に1回の機器点検、1年に1度の作動テストを義務付けている(点検の義務は自治体や建物の規模によって異なるので要確認)。さらに、3年に1度、消防署へ点検結果を報告しなければならない。

しかし、「点検報告率」は全国平均で49.2%(※ 総務省消防庁予防課設備係「消防用設備等の点検報告制度について」(2017年3月31日時点)より引用)と半数を切っている。

もしも、点検を怠って、火災時に正常に機能しないまま死傷者が出た場合は、オーナーの責任が問われる場合も。重大な過失と認定されると火災保険が適用されないおそれもある。定期的な点検、内容の把握、不具合の補修を徹底しよう。

この他に、オーナーが備えておいたほうが良い防災用品もある。停電時に非常灯として使える保安灯、簡易式消火器、簡易トイレ、非常用電源などだ。空室対策として、防災用品を入居者にプレゼントするのもいいだろう。

発生後の対応

現実に災害が起きてしまったときも対応できるように、トラブルへの対処法を知っておこう。

入居者とのトラブルを回避するポイント

Q1:自然災害で建物が全壊した場合の賃貸借契約はどうなる?

A1:建物全体が滅失した場合は、その原因を問わず賃貸借契約は終了する。そもそもの賃貸借の目的が達成できなくなったからだ。賃料も全くもらえなくなる。建物が滅失していなくても、公的な避難指示や警戒区域指定が出された場合も、賃料請求はできない。

入居者の意思による自主的避難の場合は賃料の全額請求も可能とされる。

Q2:部屋が水浸しになったとき、仮住まいの宿代は払うべき?

A2:オーナーの故意・過失ではない自然災害によって一時的に住めなくなってしまった場合は、オーナーに責任はないため、損害賠償の義務はない。修繕のために仮住まいを求める場合も同様だ。

ただ、法的義務とは別に、オーナーの中には入居者の退去予防の意味もあり、一定のお見舞い金を出すケースはある。

Q3:自然災害で入居者の家財が壊れたら、損害賠償義務はある?

A3:理論的には「安全な建物を提供する義務を怠った」として損害賠償を請求される可能性はある。

ただ、建築基準法や消防法など建築時の法令に則って建てられている場合、そこまでの責任は生じないと考えられる。入居者が加入する家財保険は、地震や火災による家財の被害が補償対象になるため、オーナー自身で損害を補てんする必要はない。

物件に関するトラブルに備えておきたい心構え

Q4:ブロック塀が倒れて通行人がけがをしたときの責任は?

A4:先ごろ、ブロック塀が倒れて歩行者が亡くなった痛ましい事件があった。調査の結果、塀の高さや構造が建築基準法違反だったことが判明し、行政の責任が問われていた。

賃貸住宅の敷地内にある「工作物」が原因で、第三者に何等かの損害を与えた場合、オーナーの責任が問われるかどうかは、ブロック塀に瑕疵があるかどうかによって変わる。

瑕疵とは、本来備えているべき安全性を欠いていること。つまり欠陥がある場合はオーナーが損賠賠償の責任を負うことになる。

アパート敷地のブロック塀の場合は、所有者であるオーナーが賠償するが、オーナー自身が欠陥を知らなければ工作物の施工会社に損害額を求償できる。

なお、保険の適用は期待できない。地震保険は建物本体のみが対象。施設賠償保険は地震による損害は免責となっている。安全性チェックを早急にしておこう。

Q5:地震による隣家の火災で延焼した場合、どうすればいい?

A5:Q1と同様に建物が滅失したため賃貸借契約は終了する。敷金を返還して契約を解消することになる。隣家に重大な過失がなければ、失火による延焼の責任を問うこともできない。オーナー自身で加入している火災保険でカバーすることになる。

もしもに備えて、十分な対策を!

以上、自然災害が発生した場合に起こりうる主なトラブルへの対処法を紹介してきた。賃貸オーナーには、大切な自分の資産だけでなく、入居者に安全な住宅を提供する責務がある。より一層、十分な防災対策に取り組んでほしい。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2018年12月12日時点の情報です。

取材・文/木村 元紀

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