不動産の生前贈与とは?そのメリットとデメリット、贈与税の計算方法や注意点を解説[資金・税金#6]

相続税額は、亡くなった人の遺産総額によって変わります。相続税には基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があり、妻1人と子ども2人が相続人の場合、遺産が4,800万円までなら相続税はかかりません。そのため、生前に非課税内で贈与することで将来の遺産総額を減らし、基礎控除に近づける節税方法が一般的でした。しかし、2023年の税制改正によって、この生前贈与に関するルールが大きく変わることになります。

不動産の生前贈与とは

所有している財産を渡すことを「贈与」といいます。贈与は現金に限らず、不動産や有価証券なども含まれ、個人間の贈与には、親から子などの家族でも、他人同士でも変わらず「贈与税」がかかります。

贈与税は、1年間あたりの基礎控除額である110万円を超えたときに課税され、不動産贈与の場合は不動産の評価額が110万円を超えた場合に適用されます。

不動産贈与と売買の違い

相続税対策として、所有する不動産の名義を生前に子や孫に変えておきたいと考える方は多いかも知れません。その方法には、「贈与」と「売買」があります。

贈与には贈与税がかかり、不動産評価額から110万円を控除した金額が多ければ多いほど、税率が上がる「累進課税」という方式が採用されています。詳しい税率と計算方法については後述します。

売買は、親が所有している不動産を子どもが買う方法です。これを「親族間売買」といい、支払いが行われて売買が成立すれば当然、贈与税はかかりません。

ただし、親族間ということで適正価格での取引かどうかは厳しくチェックされ、時価相場よりもはるかに安い金額で売買が成立した場合「みなし贈与」とされる可能性があります。また、親族間売買の場合はローンの審査が通りにくい場合がある点にも注意が必要です。

不動産を生前贈与するメリット・デメリット

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相続と違い、贈与は相手を選べます。そのため、贈与したい相手に確実に不動産を継承することができるのです。もちろん、相続でも遺言書によって相手を指定することはできますが、その有効性が後から争われて意図したような結果にならないこともありえます。

その点で贈与は望んだ相手に、好きなタイミングで不動産を渡せることが大きなメリットといえるでしょう。

他にも特例等があり、不動産の生前贈与が適しているケースはいくつかあります。

生前贈与のデメリットは、相続税より贈与税の税率が高く設定されている点があります。さらに、相続ではかからない「不動産取得税」が課せられること、不動産登録免許税も相続登記よりも高く設定されていることにも注意が必要です。ただし、特例等を使うことで、贈与税を低く抑えられる場合もあります。

生前贈与が適しているケース

将来価値が上がる土地を所有している

不動産贈与の税額は、贈与が成立した時点での不動産評価額で決められます。そのため、将来明らかに価値が上がる土地の場合は、早めに贈与しておく方が、税金を抑えられる場合があります。

賃貸マンションなどの収益物件を所有している

賃貸物件は、課税評価額が時価の50~60%と低くなります。そのため、賃貸物件の建物にかかる税金も安く抑えられます。さらに、贈与後の賃貸収入は贈与された側のものになることもポイントです。

例えば、親が子に年間300万円の収益があるアパートを生前贈与して10年が経った場合、親がアパートを保有したままだと3,000万円増えてしまう相続財産が増えずに済み、その分は子の収入になります。生前贈与をすれば相続税額を減らすだけでなく、子は将来の相続税の納税に備えることができるのです。

婚姻期間が20年以上の夫婦

配偶者控除、通称「おしどり贈与」が適用されます。配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産または居住用不動産を得るための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円に合わせて最高2,000万円まで控除が受けられるというものです。

つまり、住んでいた家を夫もしくは妻に生前贈与する場合、課税評価額が2,110万円までであれば贈与税がかかりません。この場合、贈与された人はその後も引き続き贈与された家に住む見込みであることが条件で、贈与後すぐ売却する場合は配偶者控除を使うことができません。

その他

不動産の生前贈与が適しているケースには他に、以下のような場合が考えられます。贈与者がまだ若く、多額の財産を所有している

①贈与者がまだ若く、多額の財産を所有している
②贈与対象者が多く存在する

①は暦年贈与で相続財産を少しでも減らしておく相続税対策、②は暦年贈与が贈与対象者ごとに行えることから、節税効果が上がるためです。暦年贈与とは、110万円の控除額内で複数年かけて贈与を行うことを指します。これについては注意点もあるため、後の項で解説します。

不動産を生前贈与するにはどうすればいい?

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生前贈与をして相続税対策をしたつもりでも、正しい手続きをおこなわなければ後から相続税が課されてしまうこともあります。不動産を生前贈与するための手続きは以下の通りです。司法書士などプロに依頼するのが一般的ですが、自身で贈与登記を行うこともできます。

登記事項証明書などの取得

まずは、贈与する人の印鑑証明、贈与する不動産の登記済権利書(もしくは登記識別情報通知)と固定資産税評価証明書、贈与を受ける人の住民票などを準備します。登記事項証明書は登記所または法務局証明サービスセンター窓口の他、郵送、オンラインでも交付請求できます。

贈与契約書等の作成

必要書類が揃ったら、「贈与契約書」(登記原因証明情報)を作成します。これは贈与があったことを証明する書類で、贈与契約の内容を明記し、贈与する側と贈与される側の2名の署名と押印が必要です。決まった書式はありませんが、必要な記載事項が明記された、第三者が見て内容が分かるものでなくてはいけません。

所有権の移転登記

書類と贈与契約書をもって法務局へ所有権移転登記を申請します。所有権の移転登記を申請するのは、贈与をする不動産の所在地を管轄している法務局となりますので、法務局のホームページ「管轄一覧」で確認するようにしましょう。

登記申請には上記の書類と合わせて「贈与登記申請書」を作成し、提出します。この際、登録免許税を収入印紙で納めます。登録免許税は贈与の場合、不動産の固定資産評価額の2%で、申請書にも登録免許税額の記載が必要です。

不動産の生前贈与にかかる税金の種類と計算方法

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不動産の生前贈与には、贈与税の他にも様々な税金がかかることがあります。トータルで相続税よりも安くなるように計算して生前贈与を行うようにしましょう。

贈与税とは

贈与税とは

たとえ親子間でも、現金や不動産などの財産を渡すことで「贈与税」がかかります。贈与税は以下の計算式で出すことができます。

(贈与する金額/不動産は固定資産評価額-基礎控除110万円)× 税率 - 控除額 =税額

贈与税の申告や納税の期限はいつまで?

贈与税の申告と申告は、原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日~3月15日までに行うことになっています。申告書は郵便やオンラインなどで提出できます。また、納税も現金の他、オンラインやクレジットカード、コンビニエンスストアで納付することができます。

贈与税の計算に必要な「評価額」とは

不動産を贈与する場合は、贈与税のベースとなる不動産の評価額を明らかにする必要があります。というのも不動産の価格は「一物五価」と言われ、目的によって調べる価格が変わってくるからです。土地の相続税や贈与税を調べたいときは路線価、建物の場合は固定資産税評価額によって計算します。

暦年課税

暦年課税制度とは

暦年課税とは、その年の1/1~12/31までの一年間に受けた贈与に対して課税する制度です。贈与される人1人につき110万円の基礎控除があるため、その範囲内であれば税金はかかりません。

暦年課税の贈与税の税率と計算方法

贈与税は「累進課税」といって課税額が増えるごとに税率が上がっていく方式で課税されます。贈与税の税率は一般税率と、18歳以上の子や孫が両親や祖父母から贈与を受けた場合の特例税率に分かれています。

課税価格=受贈額-基礎控除110万円
税額=課税価格×税率-控除額

課税価格 一般贈与財産 特例贈与財産
一般税率 控除額 特例税率 控除額
200万円以下 10% 0 10% 0
~300万円以下 15% 10万円 15% 10万円
~400万円以下 20% 25万円
~600万円以下 30% 65万円 20% 30万円
~1000万円以下 40% 125万円 30%以下 90万円
~1500万円以下 45% 175万円 40% 190万円
~3000万円以下 50% 250万円 45% 265万円
~4500万円以下 55% 400万円 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

※特例贈与:実の父母や祖父母から18歳以上(2022年3月31日までは20歳以上)の子や孫への贈与

贈与税は相続税よりも高い累進税率が採用されており、特例税率でも課税価格4,500万円で最高税率の55%に達してしまいます。相続税も最高税率は55%ですが適用課税金額は6億円超ですので、贈与税の方が厳しいことが分かります。

相続時精算課税

相続時精算課税とは

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などへ贈与する場合に選択できる制度で、累計で2,500万円までが控除されます。

将来、贈与した人が亡くなった時に、それまで贈与された財産を相続財産に加算して相続税を払います。すでに支払い済みの贈与税額は控除され、もし、相続税額から控除しきれない分があれば、申告をすることにより還付を受けることができます。

不動産などを相続時精算課税で贈与した場合の価格は、相続時ではなく、贈与時の評価額が適用されます。

相続時精算課税のメリット

相続時精算課税は、累計2,500万円という大型の控除がある点がメリットの1つです。さらに、基礎控除2,500万円は贈与者ごとのカウントとなるため、父母と祖父母それぞれから贈与を受けた場合は2,500円×6で、1億5,000万円までは非課税となります。

また、2,500万円を超えた分は、一律20%の課税となります。累進課税である暦年贈与の場合、2,500万円の贈与に対して特例税率でも45%(控除265万円)となることと比較するとメリットといえるでしょう。

さらに、税制改正で、2024年1月1日以後の贈与について、毎年110万円の基礎控除が創設されました。年110万円を超える部分の累計額について、特別控除額2,500万円が適用されることになります。

相続時精算課税のデメリット

相続時精算課税のデメリットは、一度でも相続税精算課税を使うと、暦年贈与は使えなくなってしまう点です。また、贈与税がかからない場合も税務署への申告義務がある点にも注意しましょう。

さらに、不動産を生前に贈与した場合、相続時にはかからない税金がかかる場合があります。以下にまとめました。

贈与税以外にかかる贈与時の税金

不動産取得税

土地や建物を買ったときにかかる税金のことで、「課税標準額×税率」で計算されます。税率は原則4%ですが、土地と住宅については2024年3月31日の取得までは3%の軽減措置がとられています。

さらに、宅地の場合は同じく2024年3月31日まで、評価額の2分の1が課税標準額となり、建物も築年数に応じた控除が適用されています。そのため、2023年現在は以下のような式で計算できます。

建物の不動産取得税 = (固定資産税評価額 − 控除額) × 3%
土地の不動産取得税 = (固定資産税評価額 × 1/2 × 3%) − 控除額(下記AかBの多い金額)
A =  45,000円
B = 土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2 × 課税床面積 × 2(200㎡が限度) × 3%

登録免許税

登録免許税は登記手続きの際に収める税金で、税額は「固定資産税評価額×税率」で計算されます。贈与による所有権移転登記での登録免許税の税率は2%です。

登録免税額 = 固定資産評価額 × 2%

例えば、不動産の評価額が1,000万円ならば、登録免許税額は20万円です。

譲渡所得税

譲り渡すと書いて「譲渡」ですが、この場合は「売買」と同じで、対価を払って不動産の権利を移すことになります。そのため、不動産の元の持ち主側に「譲渡所得」が生じたことになり、譲渡所得税と呼ばれる所得税と住民税がかかります。譲渡所得は次のように計算します。

譲渡所得=譲渡価額-取得費(購入代金や手数料)+譲渡費用-特別控除50万円

先祖から代々受け継いできた土地などで取得費がわからない土地の場合には、売却金額の5%相当額を取得費として譲渡所得の金額を計算します。

所得税と住民税は「長期譲渡所得」になるか、「短期譲渡所得」になるかによって税率が変わり、その年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超えている場合は長期、5年以内の場合は短期となります。さらに、2037年12月31日まではこれに復興特別所得税(所得税率×2.1%)が加わります。

長期譲渡所得の場合の税額
=課税長期譲渡所得金額 × 20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)

短期譲渡所得の場合の税額
=課税短期譲渡所得金額 × 39.63%(所得税30%+住民税5%+復興特別所得税0.63%)

投機目的の不動産売買を抑えるために、短期譲渡所得の方が税率は高く設定されています。

贈与税を減らす方法は?

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過度な節税を防ぐ目的もあり、贈与税が相続税より高い税率が設定されていることが分かりました。それでは、贈与税を減らす方法はあるのでしょうか?

実は、控除や特例を利用することで贈与税を減らすことは可能です。それには以下のような方法があります。

贈与税を減らす方法

少しずつ財産を移す

暦年課税の基礎控除110万円の枠を使って、少しずつ時間をかけて財産を移転することがひとつの方法となります。10年で1,100万円を無税で贈与が可能です。

ただし、暦年課税で生前贈与した財産のうち、贈与した人が亡くなる前3年以内の分については、相続財産に加算されてしまいます。暦年課税による生前贈与については他にも注意点があるため、次の項で詳しく触れていきます。

特例を使う

住宅取得等資金贈与の特例
父母や祖父母などから住宅取得のために贈与された財産については一定金額が控除される特例です。贈与を受けた人ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。

条件は、贈与を受ける側が18歳以上で合計所得金額が2,000万円以下(取得する住宅の床面積が40m2以上50m2未満の場合は1,000万円以下)であること、取得する住宅は登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、床面積の1/2以上が居住用であることです。2023年12月31日までの贈与が対象です。

教育資金の一括贈与の特例
父母や祖父母から30歳未満の子や孫に教育資金に充てるための贈与を受けた場合の特例で、1,500万円までが非課税になります。

条件は30歳未満で所得税に係る合計所得金額が1,000万円以下であること。資金のための専用口座の開設や領収書等の提出が必要です。2026年3月31日までの贈与が対象で、子や孫が30歳を超えると終了します。

教育資金とは入学金や授業料の他、学用品や給食費、留学のための渡航費なども該当します。

結婚・子育て資金一括贈与の特例
父母や祖父母が18歳以上50歳未満の子や孫のために、結婚や出産または育児に要する資金を一括で贈与した場合、1,000万円まで贈与税が非課税となります。

手続きについては教育資金の一括贈与の特例とほぼ同じで、用途は披露宴や出産以外にも、引っ越し費用や不妊治療などもあてはまります。目的外で引き出したお金や、子や孫が50歳になったときに、その口座に残っていたお金は課税対象になります。2025年3月31日までの贈与が対象です。

これらの特例を使って贈与した財産は、相続開始前3年以内でも相続財産に加算する必要がなく、贈与した時点でほぼ完結できます。(ただし、教育資金と結婚・子育て資金の場合で、被相続人の死亡時に使いきれなかった分などは相続財産に加算されます)

生前贈与をするときの注意点

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ここまで述べてきたように、贈与には控除や特例があり、それらをうまく利用すれば贈与税の負担を減らしながら生前に財産を子や孫に渡せることが分かりました。それでは、生前贈与をするときはどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。注意点を以下にまとめました。

相続開始前3年以内の贈与に注意

暦年課税の項にも触れましたが、生前贈与した財産のうち、贈与した人が亡くなる前3年以内の贈与分は相続財産に加算されてしまいます。

これは、相続税対策のための駆け込み贈与対策として定められたルールで、税制改正により、2024年以降に贈与される財産については、この期間が順次7年まで延長されることになりました。そのため、暦年課税で生前贈与をするのであれば、なるべく早めに始めて、時間をかけて実行するのが効果的です。

分割贈与のリスク

基礎控除内で、例えば毎年100万円ずつ贈与すれば、10年で1,000万円の非課税での贈与ができますが、注意したいのが「連年贈与(定期贈与)」とみなされてしまう場合があることです。

連年贈与というのは、例えばあらかじめ10年間で1,000万円贈与する約束をして、毎年100万円ずつ贈与するケースを指します。年間の贈与額が基礎控除の110万円より少なくても、一定の資金を提供してもらう約束をしたことで、税務署からは1,000万円の贈与と同じとみなされてしまい、贈与税がかかる可能性があります。

連年贈与の認定を避けるためには、以下のような手続きをしておくとよいでしょう。

・贈与契約書を結び、贈与者と受贈者(贈与を受ける側)の双方が自ら署名捺印しましょう。
・資金が贈与者から受贈者へ移った証拠を残しておきましょう。現金の場合は、受贈者名義の預金通帳などに振り込み、本人が通帳と印鑑を管理し、お金の使用や処分ができる状態にしておきます。贈与者が自らの管理する印鑑で作った口座は、たとえ口座名義人が受贈者だったとしても認められない場合があります。
・毎年同じ時期に同じ金額を振り込むと、連年贈与とみなされる場合があります。贈与する金額や時期はずらすようにしましょう。
・基礎控除の110万円を少し超える金額を贈与し、申告して贈与税を納めておくのも1つの方法です。その年の節税にはなりませんが、相続全体を見ると、相続税額と比べてトータルの税額が安くなる場合があります。

 

登録免許税の税率

登録免許税の項でも触れましたが、不動産を生前贈与する場合は、登記手続きに課税されます。贈与による所有権移転登記での登録免許税の税率は2%ですが、実は相続の場合は0.4%で、贈与の方が税率はかなり高いのです。

例えば評価額が3,000万円の不動産を贈与した場合、相続と比べて48万円も差が出てしまいます。

親子間の贈与でも贈与契約書の作成は必須

贈与は口頭でも成立しますが、たとえ親子間だとしても贈与契約書を作っておくと安心です。もし税務調査が入ったときも贈与の事実を証明できますし、将来の相続発生後にも、より公平に遺産分割を行う事ができるからです。

贈与契約書の書き方に厳密なルールはありませんが、「誰が」「誰に」「いつ」「何を」「どのように」を明確に表記する必要があります。また、不動産の贈与については印紙が必要になります。さらに信憑性をもたせるなら、公正証書として作成することもできます。

2023年度税制改正で大きな見直しあり。動向を注視しよう

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贈与をうまく利用することで、適切な節税効果も得ながら、若い世代に財産を継承していくことができそうです。しかし、相続まわりの税制にはここ数年で議論が続けられており、特に2023年度の税制改正では、生前贈与の課税ルールで大きな見直しがありました。

例えば、相続直前に生前贈与された財産は相続財産に加算して相続税を計算する「持ち戻し」の期間は現行3年ですが、7年以内までが対象に。延長された4年間に受けた贈与のうち、総額100万円までは相続財産に加算されません。2024年1月1日以降に受けた贈与から適用され、7年間さかのぼるのは2031年1月1日以降となります。

さらに、相続時精算課税についても2,500万円の特別控除枠とは別に、年間110万円の基礎控除が新設されました。これにより、相続時精算課税制度が利用しやすくするのが狙いとみられます。

ここ数年は、暦年贈与の撤廃が税制改正の議論のひとつに挙がっており、今後は、生前贈与加算の年数がさらに伸びるなど、相続税と贈与税を一本化する動きが活発になるとみられています。現時点ではどうなるか不明ですが、生前贈与に大きな影響があります。今後の動きに注視しつつ、財産の把握をできる限り早めに行い、対策を立てるようにしましょう。

文/木村 元紀

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