ターゲットに狙いを定め新築にない特徴で惹きつける

大きなコストをかけずに入居者にアピールできるという点で、新しい設備の導入は、空室対策の定番です。しかし、最新モデルにすれば付加価値になるとは限りません。

「築10年を過ぎた頃から、入居者が入れ替わる度に、古くなった水まわりの設備やエアコンは交換してきた。基本的な住宅設備は新築に劣らないはず。それでも次第に空室が埋まらなくなってきたのは、どうして？」といった声をよく耳にします。

周辺に新築や築浅の競合物件が多いオーナーにとって共通の悩みとも言えます。しかし、基本的設備が同じなら、築年も新しくデザインの見栄えも良い方に目が行くのは自然のなりゆきと言えるでしょう。

築古物件のオーナーは、今ある空室を埋めることが目標です。自分の物件に合ったターゲットを見定めて、そこに照準を合わせましょう。

価値観が多様な若者の間で、特定の設備やサービスが心をワシづかみにするかもしれません。物件自体の魅力が強ければ、長期入居にもつながります。

入居者ニーズを先取りする設備は？

具体的には、どんなアイテムが想定されるのでしょうか。今回は、大がかりな工事なしで採用できる設備やサービスをピックアップしました。セレクトのヒントは、全国賃貸住宅新聞の人気設備ランキング2023年版。あわせて調査された「今後、需要が生まれると思われる設備」のランクが興味深い結果になっています。

その他、防犯カメラ、エアコン、見守りセンサーなど
出典：日本賃貸住宅新聞「入居者に人気の設備ランキング2023」

1位は「宅配ボックス」、3位は「高速インターネット」と、すでに人気の高いおなじみの設備です。ところが、2位には「EV充電器」がランクイン。4位の「スマートロック」と6位の「IoT」も注目株です。

ただし、紹介した設備やサービスを付ければ、誰でも空室が埋まるとは限りません。アイデアの種として、オーナー自身で次なるキラーコンテンツを見い出しててみてください。

付加価値になる最新サービス＆設備｜室内編

仕事も趣味も音を気にせず！「防音室」

音楽好きを始め、在宅ワークやネットの動画配信など、室内の防音性向上へのニーズは高くなっています。各社で様式なども多彩です。

編集部おすすめ！ヤマハ「 セフィーネNS」

遮音性の高さに加え、音の響きを調整する機能を持つ独自パネルも装備。本格的に楽器を演奏したい入居者にもおすすめです。
価格：726,000円〜（税・配送費用などは別途） ☎ 0570-070-808

デジタル機器に欠かせない！「USBコンセント」

スマホやタブレット、ノートPCなどモバイル装置に直接充電できます。多様なデジタル機器を使う若者の心をとらえます。

編集部おすすめ！パナソニック（株）「アドバンスシリーズ」

モバイル機器で世界標準化しつつあるUSBタイプCに対応。ノートパソコンも充電できる最大60Ｗのポートも搭載しています。
価格 :２ポートタイプ 19,200円（ 税抜） ☎ 0120-878-082

多機能な生活環境を実現！「IoT照明」

リモコン不要で、スマートフォンから照明を操作できるIoT機器の一種。調光調色や見守りセンサー付きなど機能が様々です。

編集部おすすめ！（株）日昇「TOLIGO LEDスマート電球」

中継用のIoT機器が不要。電球交換のみで稼働し、調光調色・天候やスケジュールによる自動化がアプリから設定できます。
価格:2,800 円（税込） ☎ 089-983-5771

断熱性・省エネ性をアップ！「内窓」

現状の窓の内側に設置するだけで手軽に二重窓にできます。断熱性能を高め、騒音も低減。環境省の補助金対象商品もあります。

編集部おすすめ！YKK AP（株）「プラマードU」

アルミの1400 倍も熱を伝えにくいフレームを採用。窓の開け閉めでカギを施解錠できる仕様も。補助金対象で、製品価格20万円～ ※工事費など含む価格はお問い合わせください
☎ 0120-208-308（株）自笑堂

防犯対策と内見効率アップ！「スマートロック」

スマホなどを使いタッチレスでカギを施解錠できます。合カギ共有などの機能があり、内見にも便利。カギ交換も不要になります。

編集部おすすめ！Qrio（株）「Qrio Lock」

ハンズフリー解錠やオートロック機能、遠隔操作用の「Qrio Hub」と連携してリモート操作が可能。ドアに後付けでき、工事が不要です。
価格: 写真左／ 25, 300円（税込） セット（写真左右） 47,300 円（税込） ✉lockR-sales@qrioinc.com

付加価値になる最新サービス＆設備｜屋外編

移動効率アップで魅力向上！「シェアモビリティ」

駅遠物件の入居率向上、デッドスペース活用に有効。事業者が工事・運用費用を負担し、実質０円で導入可能なサービスもあります。

編集部おすすめ！OpenStreet（株）「ハローサイクリング」

自由に貸し借り可能な電動アシスト自転車のシェアサイクリングサービス。自転車２台駐輪可能なスペースがあれば導入できます。
導入費用：０円 ☎ 050-3821-8282

省エネ環境にも対応する「EV充電器」

電気自動車の普及で需要増加。東京都は来年4月以降、新築マンションで駐車台数の2割以上のEV 充電器設置を義務化しています。

編集部おすすめ！Terra Charge（株）「テラチャージ」

電気自動車充電器の設置工事から管理運営までワンストップで提供。充電時間の設定や料金決済を行う専用アプリがあります。
導入費用: 0 円※補助金使用など条件あり　☎ 03-6823-4959

所有物件に合わせてターゲットを絞ろう

上記で紹介した設備・サービスを所有物件に導入するか否かは、物件に合わせたターゲットを絞ってから判断していきましょう。

まずは潜在ニーズをモノに翻訳してみること。街と物件の調査から、ここに住みたい人が望む暮らしを浮き彫りにし、「あるとうれしい設備」を見抜きましょう。

次に、データと観察が重要です。物件の入居者属性を改めて確認。近隣を観察し、住民のファッション、繁盛店、自転車・クルマの傾向を知りましょう。

今後、安定経営をしていくためにも、ぜひ参考にしてみてください。

※この記事内のデータ、数値などに関して本記事は、2024年2月15日時点の情報をもとに制作しています。

文／木村 元紀　イラスト／アサミナオ

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