安定したアパート経営を実現!初心者のための賃貸経営ノウハウ事典
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アパートを建てる準備・手順|既存物件は建て替えの検討も
ここでは、財産を相続した方やこれからアパート経営をスタートさせる方が初めにやることを紹介していきます。アパートを建てるための準備を5つのステップにしました。すでに物件を所有されている方も建て替えを行う際の参考にしてください。
【ステップ1】目的や方針を明確にする
アパート経営を始めようとしてすぐに建築メーカーやコンサルティング会社に相談に行く人が少なくありません。しかし、何も準備をせずにいきなり相談に行くのはおすすめしません。
何も知らずに相談に行ってしまうと、住宅メーカーならアパート建築、銀行系なら借入金を高くできる大規模案件、不動産会社なら等価交換や資産組み替えなど、相談先の利益や得意分野へと誘導されがちです。
そのため、なぜ賃貸経営をするのか、アパートを建てるのか、経営の目的や方針を決めておく必要があります。よくある目的は、
- ・相続税対策をしたい
- ・資産形成をしたい
- ・老後の生活資金にしたい
- ・相続した土地の税負担を軽減したい
- ・老朽化したアパートをなんとかしたい
などです。複数の目的がある場合にも、優先順位をつけることでこの後の準備を進めやすくなります。
基本方針としては、
- ・土地を守りたいのか/財産規模を守りたいのか
- ・自己資金と借入金のバランス
- ・活用想定期間
- ・事業を引き継がせるのかどうか
- ・管理方式はどうするか
は考えておくべきです。これらを決めておくことで、土地活用の方法や事業方式が自ずと決まってきます。
【ステップ2】土地活用の選択肢を知る|アパート以外の選択肢も
土地活用の種類は3つに分けられます。また、賃貸住宅の企画や施工会社の選定などを誰が行うのか、資金の調達をどのようにするかなどで事業方式が分けられます。親から物件を相続した方は、建て替える場合の選択肢として捉えてください。
土地活用といえばアパートやマンションのイメージが先行しがちですが、数多くの選択肢があります。大きく分けて、住宅系、事業系、その他の3種類。
住宅系は、マンションやアパート、戸建賃貸住宅や高齢者向け住宅など、借主が住居として使用するものです。収益の安定性や税金対策のバランスが取れています。
事業系は、貸しビルや貸し倉庫、医療・介護施設、ロードサイド店舗など、借主が事業を営む場所として使用するものです。高収益と将来性が見込めます。
その他に分類されるのは、駐車場やトランクルーム、野立て太陽光発電など、上記2つ以外のものです。初期費用の少なさや現金化のしやすさが特徴です。
アパート経営だけにとらわれず、最初に定めた賃貸経営の目的や方針に合わせて柔軟に選択しましょう。
事業方式は大きく分けて5つあります。
- ・自己建築方式
- ・事業受託方式
- ・等価交換方式
- ・リースバック方式
- ・定期借地権方式
自己建築方式は、賃貸住宅の企画から施工会社の選定、融資の取付などを自分で行います。この場合、入居者ニーズの把握や施工会社選びの知識が重要です。
事業受託方式は、コンサルタントや住宅メーカーなどに企画や施工会社の選定などを依頼します。賃貸経営の知識がなくてもスタートできるメリットがありますが、コンサルティング料などの経費がかかること、事業のコントロールがしにくいことがデメリットです。
アパート建築に関しては上記2つの方式から選びます。もし他の土地活用を検討される方は、さらに詳しい情報を別の記事でご紹介しています。
【ステップ3】市場調査|マーケティングは賃貸経営の基本
施工会社がプランの提案をする際には、事前にマーケティング調査が行われているのが一般的です。しかし、全てを施工会社任せにせず、建築予定場所の賃貸住宅市場については調査しておくべきです。
調査項目は、①人口動態、②マーケットの基本情報(賃貸住宅のストックや新築着工件数、事業所の増減など)、③立地の利便性や周辺施設など。役所やインターネットで調べることが可能なものがほとんどです。
これらのデータを元に、入居者ターゲットの絞り込みを行い、ライフスタイルに合わせた間取りや設備を決定。プランに応じた適正家賃の調査、設定をします。
賃貸住宅の差別化方法!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸
【ステップ4】会社選び|複数社から提案を受け見積もりチェックを
建築会社を選ぶ際にチェックをしたいのが、現場力、経営の健全性、プランの説得力です。大手、中小を問わず、倒産や耐震偽装などの問題は発生しています。建築現場に足を運んで現場を確認したり、財務状況の確認をしたり、複数社からプランの提案を受けて内容の根拠や説得力を測ったりして建築会社を選びましょう。
また、見積もりのチェックも大切です。見積もりの書式は各社でバラバラなため一見して比較するのが難くなっています。総工事費と内訳明細の確認は必須です。〇〇工事一式と総額だけが記載されている場合、詳細を求める必要があります。
さらに詳しく!アパート建築で知っておきたい建築費と建築会社選び
【ステップ5】資金計画|資金の調達や収支シュミレーション
ここはステップ4と同時進行になります。パートナー候補の会社を選定すると、その会社から基本設計や見積もりを元にした収支計画を提案されます。自己資金と借入金など、自分の予算と当初の目的や方針と照らし合わせながらチェックを行いましょう。
賃料の設定が適切か、築年数の経過による賃料の下落が盛り込まれているか、空室率が盛り込まれているかなど、収入については必ず確認してください。施工会社は仕事を受注したいがために、ここを甘く設定して見かけの収入を増やしてくることがあります。
借入金については、アパートローンの金利の違いやメリットデメリットについて知り、どの方法を選択するのかを決めなければいけません。また、必要な資金は建築費だけではありません。資金がいくら必要になるかは、アパート経営にどんな費用がかかるのかを知ってく必要があります。
詳しい内容については別のページで解説をしています。
【アパート経営の実務】賃貸経営ってどんなことしてるの?
アパートが完成すればオーナーとして賃貸経営がスタート。と言いたいところですが、完成する前にやるべきことが残っています。賃貸経営は具体的にどんなことをしているのか知っていますか? 実務を理解することで、やるべきことが明確になります。
賃貸経営は入居者管理と建物管理がメイン
賃貸経営の主な業務は大きく分けて二つ。入居者管理と建物管理です。
入居者管理は、入居者の募集や家賃の徴収、入居者トラブルの対応など、入居者のマネジメントをする仕事です。賃貸経営の根幹に関わります。建物管理は、入居者の住環境を整え、賃貸住宅の資産価値を保つための修繕など、メンテナンスをする仕事です。
管理を自分でやるのか? 管理会社に依頼するなら知っておきたいこと
この2つの管理を自分でやることを自主管理、管理会社に管理してもらうことを委託管理と言います。完全な自主管理を行なっている大家さんは全体の2割程度です(国土交通省:賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)2019年)。
全てを管理会社に任せずに一部だけを委託するケースも含めると、8割以上の大家さんが管理会社に管理を委託していることになります。管理会社は賃貸経営において重要なパートナーです。そのため、管理会社をどこにするかでその後の経営に大きな影響を与えます。管理会社に委託をする場合は、管理会社の選び方やチェックポイントを参考にしてください
また、家賃決済代行や24時間の入居者対応など、賃貸管理の一部分だけを代行する独立系の会社も出てきています。必要なサービスだけを予算の範囲内で選べ、コストダウンを図れます。
もちろん自主管理で成功している大家さんもいるため、自分に合ったスタイルを選ぶことが重要です。
【大家さんインタビュー】独自の入居者管理ノウハウで空室ゼロ経営成功
アパート完成までに入居者募集を行う|重要な仲介会社選び
入居者募集を管理会社に委託しない場合、自分で積極的に動かなければいけません。近年では新築でも完成までに満室にならないことはあります。そこで重要な役割を果たすのが仲介会社です。
仲介会社を選ぶ際に大切なポイントはインターネットに強いことです。入居希望者はネット検索をして物件を探し、問い合わせをするのは1社から2社程度。検索に引っかからなければ契約から遠のいてしまいます。大手不動産ポータルサイトに物件情報を掲載するだけでなく、自社のホームページを用意してインターネットでの問い合わせにもスムーズに対応できることが重要です。
また、仲介会社の所在地もチェックしておきたいポイントです。
仲介会社が決まれば、どこのポータルサイトにどのように情報が掲載されているかも確認しましょう。ポータルサイトそれぞれの特長があります。
賃貸経営のほとんどを任せられるサブリース|一括借り上げで収入も安定?
サブリースは、一括借り上げや家賃保証などとも呼ばれます。管理会社や保証会社がオーナーから物件を借り上げて入居者に転貸する仕組みです。空室が出てもオーナーには毎月決まった金額が入るため収入が安定すること、賃貸経営の細々とした判断を全て任せられることがメリットとされます。
しかし、リスクや注意点もあります。新築時には入居者が決まりやすく、空室の心配は少ないです。それなのに、手数料は15%程度とられてしまいます。また、定期的な家賃の見直しや設定賃料が相場より低くなっていることもあり、収入がかなり少なくなってしまうことも。
メリットとリスクを把握したうえで利用することが大切です。