安定したアパート経営を実現!初心者のための賃貸経営ノウハウ事典
- 賃貸経営ノウハウ
アパート経営で起こりうるリスクに備える
アパート経営にはリスクもあります。事前にリスクを把握しておくことで対策が可能です。
空室リスク|空室が出る前に空室対策を
一度満室になったからといって入居者がずっと入居し続けるわけではありません。空室ができてすぐに入居者が決まればいいですが、空室期間が長引くほど収入が減ってしまいます。ローンの返済や管理会社への支払いなど、支出は変わらないため、最悪の場合赤字になることも。
入居者が退去しないような対策や築年数が過ぎても満室経営を続けられるよう、継続的な空室対策を行うことが重要です。
建物の老朽化リスク|計画的な大規模修繕を
建物の老朽化は資産価値の低下や競争力の低下につながります。大規模修繕には多額の費用がかかるため、事前に準備をしておかなければ必要になったときに焦る原因にも。
10年、20年スパンの長期的な観点から考えておくものですが、10年以内でも塗装の塗り替えなど軽微な修繕が必要になります。修繕の周期や修繕箇所、費用などを知っておくことで事前に備えることが可能です。
アパート・マンションの大規模修繕って、いつやるの?周期・費用の目安はどのくらい?
災害リスク|もしもの場合に備えて保険加入を
火災や台風、地震など、天災によるトラブルが発生するリスクもあります。災害が発生したときに頼りになるのが保険です。ローンを組む際に加入していることが多いので、内容をチェックしておきましょう。補償対象は必要性に応じて選べるようになっています。入居者の加入する住宅総合保険でカバーできない範囲に限定することで、無駄なコストを抑えることが可能です。
地震による火災は火災保険では補償されないため地震保険にも加入しておく方が安全です。災害が起こった際の対応も確認しておきましょう。
【台風・地震・火災】賃貸オーナーに知ってほしい自然災害への備えと対策
賃貸経営トラブル|入居者はもちろん管理会社や建築会社とのトラブルも
上記で挙げたリスク以外にも突発的なトラブルが起こるリスクがあります。入居者トラブルは管理会社が対応してくれますが、最終的な決断は賃貸オーナーが下すことも。また、管理会社とのトラブルや建築会社とのトラブルなど、様々なトラブルが起こる可能性もあります。トラブルが起こらないような会社を選ぶとともに、トラブルが起こったときにどう対応するかを事前に確認しておくことが重要です。
アパート経営で知っておきたい税金のこと
賃貸経営には様々な税金の知識も欠かせません。どのタイミングでどのような税金がかかるのかといった基本的なことは把握しておきましょう。税金の問題は複雑なため、詳しい内容については税理士に相談することをおすすめします。
アパートを建てるときにかかる税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税)
賃貸経営をスタートさせるときには様々な契約を結びます。不動産の売買契約や建築工事請負契約、ローン契約など。これらの契約書には金額に応じた印紙税がかかります。
相続や購入などの事情で土地を取得したり、物件を新築した場合、所有権の移転登記や保存登記などが必要です。また、ローンを組む際には不動産に抵当権を設定するため、抵当権設定登記も必要になります。この際にかかるのが登録免許税です。
さらに、不動産の取得に対して都道府県から課税されるのが不動産取得税です。アパート建築については軽減措置があるため、税額が0円になることもあります。
経営中に毎年かかる税金(固定資産税、都市計画税、所得税、住民税、個人事業税、法人税)
土地・建物などの固定資産を持っていると毎年課税されるのが、固定資産税や都市計画税です。固定資産税評価額に税率をかけて計算します。標準税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。
個人で賃貸経営を行っている場合、所得に対して所得税と住民税がかかります。所得とは、収入から経費や控除金額を引いたものです。アパート経営の場合、不動産収入のほか、給与収入なども合わせた全ての収入から経費や控除を引いたものが所得になります。
また、一定規模の事業を行っている場合には、税率5%の個人事業税がかかります。アパート経営なら戸数が10室以上で不動産所得が290万円を超える場合です。
不動産管理会社を作るなど、法人化して賃貸経営を行う場合には、法人所得に対して法人税がかかります。法人化することにより、所得の分散効果や税率の低減効果などがあり、節税や相続対策として法人化するオーナーは増加傾向です。ただし、法人化することによって増えるコストもあるため、具体的な試算をしてから判断しましょう。
確定申告は確実に! 戦略的な経費計上で節税を
アパート経営をしていくには、毎年の確定申告が必要です。申告方法は、簡易な白色申告と一定の帳簿が必要な青色申告があります。青色申告は最高で65万円の特別控除が受けられるほか、専従者給与の全額経費計上や損失の繰越などメリットが多数あります。
【税務講座】経費算入や節税対策にも!「青色申告」のメリットと注意点
経費計上を確実に行い、戦略的な経費の使い方をすることで無理なく節税をすることが可能です。不動産所得の主な経費については下の画像を参照、または下のリンクから詳しい内容を確認してください。経費と減価償却の判断なども間違いのないように行いましょう。
アパート経営は相続までがセット! 相続準備や受け入れ準備を
賃貸経営は後継者へと相続するまで続きます。この記事を読んでいる方の中には、特に準備をせずアパートを相続したために苦労しているという方もいるのではないでしょうか。相続は物件を残す側と引き継ぐ側の両方の準備が必要です。そのため、必要に迫られてからでは遅く、計画的に準備を進めることをおすすめします。
下の図は、相続準備をする手順の一例です。アパートの相続では「何を」「誰に」「どうやって」引き継ぐかを決めておくことが重要になります。
【何を引き継ぐか】アパート経営では「金」「人」「情報」を引き継ぐ
賃貸経営で重要な資産は「金」「人」「情報」です。
「金」は、預貯金や不動産の価額、生命保険、ローンなど、金銭的な資産のことです。相続といえば、この資産を配偶者や子供に引き継ぐという認識の方も多いのではないでしょうか。おろそかになりがちなのは、他の2つです。
「人」は、賃貸経営の相談相手となってくれる人や賃貸経営のパートナーのことです。いざ物件を引き継いだとき、管理会社や仲介会社、清掃会社など、経営のパートナーとなっている人たちのことを知らないとスムーズに経営が行えません。また、相談相手がいることで不足している知識や経験を補うことができ、安心して賃貸経営が行えます。
「情報」は、契約者情報や物件情報、帳簿などです。入居者の情報は退去の予測やトラブル時の対応で必要になります。また、物件の図面や修繕内容を把握しておかなければ、次の修繕がスムーズに行えず、余計なコストの増加原因にもなります。
これらを事前にリスト化して、いつでも開示できるようにしておくことが重要です。さらに詳しい内容は下の記事を参考にしてください。
アパートの相続準備はいつから? 何をする? どうやる?|賃貸経営の相続
【誰に引き継ぐか】後継者を決める
賃貸物件を誰に引き継ぐかは重要な問題です。配偶者と子供が数人いるなど相続する人が複数いる場合には、誰か一人に継がせるのか、それぞれに分けて継がせるのかも決めなければいけません。
後継者の決定は、家族とコミュニケーションをとりながら少しづつ進めましょう。自分の意向を伝え、相続する人たちの意向も聞くことが大切です。賃貸経営を少し任せてみたり、アイデアを聞いてみたりするうちに興味が湧いてくることもあるので、すぐに決める必要はありません。
【どうやって引き継ぐか】財産の移転方法を検討する
誰に何を相続するのかがある程度決まれば、どうやって引き継ぐのかを決めます。どうすればスムーズに引き継げるかとともに、相続税対策も重要な問題です。
よく使われる方法は、法人化、信託、贈与など。現在の状況や目的によってベストな選択肢は変わってきます。ここまでの情報をもとに、顧問税理士や不動産に詳しい税理士に相談をして決めるのが安心です。相続の方法について詳しくは下の記事をご覧ください。
全体像を把握して必要な情報の収集と適切なパートナー選びを
賃貸経営を成功させるには、賃貸住宅市場の把握からアパート建築の手順、経営実務、税金、相続と、知っておくべきことが数多くあります。ですが、全てにおいて知識を持っていることや深く理解をしている必要はありません。
大事なのは、賃貸経営の全体像を知っていることと自分の置かれた状況で必要な情報を取れることです。賃貸経営の全体像がわかっていれば、自分が何をすべきか、何を人に依頼すべきかが判断しやすくなります。また、自分で必要な情報を収集することができれば、建築会社や管理会社に言われるがままにならず、最適なパートナー選びも可能です。
信頼できるパートナーと連携しながら常に情報をキャッチできるようにしておきましょう。
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