住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸

建てる/融資
  • アパート
  • マンション
  • 戸建賃貸
  • 高齢者住宅
  • シェアハウス
  • ガレージハウス
この記事が気になる

【この記事が気になるとは】
会員様限定のサービスです。 会員の方は、「ログインする」そうでない方は、
会員登録して再度アクセスしてください。

ログインする ⁄  会員登録する
閉じる
公開日:2018年10月9日
更新日:2019年10月6日
住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸1

相続対策として賃貸住宅の建築は有効だ。しかし、空室率増加のニュースや今後の市況の不透明感から建築を躊躇しているオーナーも少なくないのではないだろうか?空室が出る理由は、間取り・設備仕様・賃料水準が入居者のニーズと合わないプランだから。そこで、長期的な入居を期待でき、勝ち続けるために必須のポイントを紹介しよう。

賃貸経営プランの見極めは、入居者ターゲットの特定から

賃貸経営を長く安定的に続けるには、そのエリアの賃貸ニーズを正確に把握した上でプランを作ることが大切だ。これから建築を検討しているなら、周辺エリアの市場動向や需要の高い物件の特徴をつかみ、どこにターゲットを定めるかを想定する必要がある。「詳細な市場調査は、建築会社が行うから…」と思うかもしれないが、オーナー自身も経営判断をする上で知っておくべきだろう。

ニーズを知るには、1)インターネットを活用する、2)賃貸仲介管理会社に聞く、3)足を使って調べる、の3つの方法がある。

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

ネットは情報の宝庫、かなりの精度で市場をつかめる

まず、もっとも手早く情報を得られるのがインターネットだ。地域の人口動態や居住者の属性などは、統計局のホームページなどでわかる。また、部屋探しポータルサイトで、最寄り駅を入力して検索すれば、周辺にどんな物件が出ているかが感覚的につかめるだろう。

さらに掘り下げた情報を得られるサイトもある。たとえば、LIFUL HOME’Sの「見える!賃貸経営」では、エリア内の賃貸物件の分布、面積別・築年別の家賃相場の推移、敷金礼金の状況、入居者が希望する家賃帯や間取りなどがマップやグラフで表示される。SUUMOの「賃料・設備相場チェッカー」では、附帯設備の装着率や人気度が一目瞭然だ。

希望の多い設備は、部屋探しサイトの「こだわり検索」でチェックされる。その設備が付いていなければ、検索ではじかれてしまう。逆にまだ装着率が低い設備を導入すれば、差別化につながる。

さらに周辺環境を知るなら、地図サイトが役に立つ。学校や企業、コンビニなどの様々な生活施設や街の情報を得ることができる。

生の情報も欠かせないプロの視点と自分の目線

次に、欠かせないのが賃貸仲介・管理会社からの情報だ。「建築計画があり、賃貸管理や仲介の会社を探している」と伝えて、店長や営業幹部にヒアリングしてみよう。

入居者の収入や職業、募集家賃と成約家賃の違い、敷金や礼金などの設定、空室率、入居決定までの期間、家賃アップを期待できる人気の設備など、知っておきたいことは山ほどある。

ニーズの変化も確認したい。たとえば、最近の単身者は、間取りがワンルーム・1Kから1LDKへ、面積も20平米以下から25平米以上へと広めのタイプを希望する傾向があるといわれるが、エリアや家賃水準によっても違うだろう。各エリアが持つ特有の傾向をつかみたい。

最後に、自分の足で歩き、目で見ることも大切。ネットでは得られない発見があるはずだ。通勤通学時間帯の駅の乗降客の様子、街の雰囲気を感じ取ろう。近隣のアパートの管理状態や駐車場の利用状況、新たな開発計画の動き、夜道の安全性などは、現地を見ないとわからない。

具体的な入居者ターゲットをイメージ、物件のプランを決定

市場調査で現状が把握できたら、自分が対象としたいターゲットを絞り込んで行く。単に、シングルかカップルかファミリーか、といった大ざっぱなくくりではなく、「20代後半の収入高めの社会人シングル女性。セキュリティとゆとりを重視」など、具体的にイメージすること。それによって間取りや広さ、想定する家賃水準が自ずと決まり、外観やインテリアのテイストも浮かんでくる。

差別化コンセプトで物件の付加価値を高める

建築する時点の賃貸ニーズに合っていれば、新築から数年は満室経営も期待できる。しかし、より長期的に考えるなら、さらに一歩先を行くプランに挑戦してみたい。趣味嗜好や特定のライフスタイルにフォーカスして、「うちのアパートはここが売り」と胸を張ってお勧めできるような特徴を出せば、付加価値が高まり、長く競争力を保てるはず。

下図をヒントに、物件広告で謳える魅力のあるプランを考えてみよう。

差別化を図る賃貸住宅の例

入居者を想定し、選ばれる賃貸住宅を作ろう。

楽器可能・防音

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

音楽好きの入居者向けに、防音・防振性能を高めた構造・工法を採用。建築コストもアップするが高めの家賃設定も可

犬・猫共生

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

床や壁に傷みにくい素材を使い、キャットタワーやドックラン・足洗い場など、人もペットも快適に暮らせる設備を併設

IoT活用

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

インターネットに接続して遠隔操作できる機器を装備。スマートキー、エアコンなどの設備オンオフ対応、防犯カメラなど

DIY可能

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

入居者が内装を改修できるDIY賃貸。壁1 面のみ可にしても。棚やフックをつけて趣味のものを飾るなど、利用者は増加

コンセプト付き

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

特定の趣味嗜好を持つ人に。ガレージ・家庭菜園・スポーツなど、多様に展開可能。コミュニティの醸成で長期入居を図る

こだわりデザイン

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

モダンなデザイナーズや、伝統的ヨーロッパ風、アールデコ調など、経年しても古びない個性的なデザインが魅力となる

学生向け

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

大学全入時代といわれ学生人口の増加を受けた、学生寮のニュータイプ。共用ラウンジや食事付き、家具家電付きなど

子育て世代向け

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

少子化対策で子育て世代応援プランも注目。保育園併設で入園権付き、キッチンのベビーガードや玄関の土間付きなども

単身ミドル向け

住宅の差別化方法を解説!市場調査とコンセプトで入居者に選ばれる賃貸2

今後、40 代以上の単身者は増加。高収入層が多く、広めの間取り、大きな収納、高級感のある設備仕様を求める傾向に

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2018年6月5日時点のものです。

文/木村 元紀 イラスト/アサミナオ

この記事をシェアする

関連する企業レポート

関連するセミナー・イベント

関連する記事